課題2 ゼンマイ式懐中電灯

 A氏は、TVのニュース番組で、電池がなくともラジオを聞くことができるようにした、ゼンマイ式のラジオの存在を知った。そこで、そのゼンマイを利用した発電器部分を利用して、ゼンマイ式懐中電灯を開発することとした。以下の情報から、ゼンマイ式懐中電灯についての特許明細書を作成せよ。



 図1は、要部分解図を示し、回転力を付与するための装置としては、回転数を増大させる第1平歯車51の小径ボス51aに軸支された巻取ホイール31と、この巻取ホイール31に巻付けられてケース2の外側に挿出した紐部材32と、この紐部材32の端部に取付けられた係止部33とで構成されている。
 41は板ばねであり、この板ばね41は、一端が第1平歯車51の大径ボス51b側面に固定されるとともに、他端はケース2の内壁に固定されている。これにより、第1平歯車51は一定回転方向に弾力的に付勢される。なお、この板ばね41は、渦巻きばねまたはコイルばねにより構成することができる。
 第1平歯車51、第2平歯車52及び第3歯車53が噛み合い、回転力を増大させる。詳しくは、第1歯車51の小径ボス51aは巻取ホイール31の中心穴部31a、大径ボス51bは第1キャリア54の中心穴部54aを貫通しており、そしてその後部は第2キャリア55の中心穴部55aに支持されている。第2歯車52の先端ピン部52cは第1キャリア54の側部穴部54bに、その後部は第3キャリア56の側部穴部56bにそれぞれ支持されており、小径部52aは第2キャリア55の側部穴部55bを貫通している。第3歯車53の先端ピン部53cは第2キャリア55の側部穴部55cに、その後部は第3キャリア56の側部穴部56cにそれぞれ支持されている。また、ダイナモの回転子軸61は第3キャリア56の中心穴部56aを貫通している。
そして、第1歯車51は第2歯車52の小径部52aに噛み合い、第2歯車52の大径部52bは第3歯車53の小径部53aに噛み合い、第3歯車53の大径部53bがダイナモ6の回転子軸61に噛み合っている。 また、回転中心軸Cは前記回転子軸61の中心Sに対して偏心εしている。 これにより、第3歯車53の大径部53bをより大径に構成することが可能になり、前記回転子軸61の回転数増大に寄与する。 そこで、係止部33を摘んで板ばね41の付勢力に抗して紐部材32を牽引すると、ダイナモ6の回転子軸61は、回転数増大手段5の第1歯車51、第2歯車52及び第3歯車53を介して回転数が増大して付与され、一定長さ引出した後牽引を解除すると回転子軸61は、板ばね41の作用により逆方向の回転が付与される。 このように、回転子軸61に正・逆の回転力を繰り返し付与することにより、ダイナモ6による発電が開始される。 また、紐部材32を牽引して引出す際の長さの限界は、板ばね41の厚さにより決まるが、引出し限界近くになると牽引抵抗が大きくなるため携帯者の感触で感じ取ることができ、無理な負荷を掛けることも無くなる。
 ダイナモ6には、電気二重層のコンデンサ8が接続され、電気二重層のコンデンサ8の内部には、2枚の導電性集電電極間に封止用合成ゴムが配された空間に、多孔性有機フィルムを介して活性炭と希硫酸の電解液の封入された基本セル81が多重に重なっている。
 ダイナモ6により発電される交流電気は整流装置としてのブリッジダイオードにより直流電流に変換され、懐中電灯の電球のプラス電極及びマイナス電極に送られるとともに、余分な電気はコンデンサ8に送られる。



弁理士 遠山 勉
(2000/7/11)