特許から見たゴルフ
弁理士 遠山 勉 (2004/4/24)

第14話 IN 14番ホール

プロの発明品


平成14年8月26日に出願された特願2002−245072特開2004−81407記載の練習用のゴルフクラブを紹介します。

その発明者は、「一家明成氏と、泉川 ピート氏」。泉川ピート氏は、往年の名プレーヤ。

 この発明は、ゴルフの打撃練習場にて初心者がゴルフボールを打撃練習を行う場合に、ヘッドのフェースに設けられたセンサーによりインパクト時におけるゴルフボールに対する打撃の有無、打撃方向、飛距離等を確認しながらインパクトでの姿勢を正し、練習に役立てるためのものとのこと。


ヘッド2のフェース3にインパクト時にゴルフボール5に対する打撃位置#1,#2,#3,#4・・・毎に検知可能なセンサー4と、ゴルフクラブ1のシャフト9の上方部に取付けた表示部8とを備え、該表示部はセンサーが打撃位置毎に検知する信号に対応して点灯可能な複数の点灯表示部11A,11B,11C,11D・・・と、ゴルフボールの衝撃強さに応じて衝撃力を表示可能な衝撃量表示部12とよりなる。
センサー4のセンサー構成片4A,4B,4C,4D・・・がゴルフボール5に対する衝撃を検知した時に、発生される電気信号により点灯表示部11A、11B,11C,11D・・・の何れかが点灯される。従って、ヘッド2から離れた手元の表示部8にてゴルフボール5をフェース3の如何なる打撃位置#1,#2,#3,#4・・・にて打撃したのかが一目瞭然に迅速かつ確実に分かる。



【特許請求の範囲】

【請求項1】
ヘッドのフェースにインパクト時等にゴルフボールに対する打撃位置毎に検知可能に設けられたセンサーと、ゴルフクラブのシャフトの上方部に取付られた表示部とを備え、該表示部は前記センサーが打撃位置毎に検知する信号に対応して点灯可能に設けられた複数の点灯表示部と、ゴルフボールの衝撃強さに応じて衝撃力を表示可能に設けられた衝撃量表示部とよりなるゴルフクラブ。
【請求項2】
センサーが検知する打撃位置とゴルフボールの打撃強さとに応じて制御部を介して打撃距離を表示部に表示可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載のゴルフクラブ。
【請求項3】
前記センサーは、圧電体によりなる複数のセンサー構成片を所定組合わせに配列して形成されることを特徴とする請求項1または2に記載のゴルフクラブ。
【請求項4】
前記センサーは、圧電体により半径が異なる複数のセンサー構成片を同心円的に配列して形成されることを特徴とする請求項1,2,または3に記載のゴルフクラブ。
【請求項5】
前記センサーは、両面接着テープによりヘッドのフェースに取付られるか、またはフェースに埋込まれて取付られることを特徴とする請求項1,2,3,または4の何れかに記載のゴルフクラブ。
【請求項6】
前記センサーは、水晶、またはチタン酸バリウムとチタン酸鉛或いはチタン酸カルシウムとの固溶体、亜鉛酸鉛とチタン酸鉛との固溶体等のセラミック系固溶体、ポリ弗化ビニリデン、PVC、ビニリデンシアナイト系共重合体等の有機高分子圧電体、亜鉛酸鉛とチタン酸鉛を合成樹脂やゴム等の結合材にて結合した無機−高分子混合系材料のうちから選ばれる1種または何れかの混合材料よりなる圧電体にて形成されることを特徴とする請求項1,2,3,4,または5に記載のゴルフクラブ。
【請求項7】
前記点灯表示部は、ランプまたは発光素子の何れかにより形成され、制御部に接続されることを特徴とする請求項1,3,または4の何れかに記載のゴルフクラブ。
【請求項8】
前記衝撃量表示部は、必要に応じて電池を電源として表示される液晶表示であり、制御部に接続されることを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,または請求項7の何れかに記載のゴルフクラブ。


 ゴルフクラブ1を用いて初心者が打撃練習を行う場合を代表的に説明すると、先ずゴルフクラブ1のシャフト9の上方部に取付られている表示部8の外側に設けたスイッチ14をオンし、衝撃量表示部12の液晶表示を点灯する。
【0025】
次いで、両手でゴルフクラブ1を把持し、ゴルフボール5に対して所望のスタンスにてアドレスし、ゴルフボール5の打撃撃練を行う。
そして、ゴルフクラブ1を所望高さに振り上げ、ゴルフボール5を打撃すると、ヘッド2のフェース3には、圧電体6により中心Oから半径R1、R2、R3、R4・・・が大小異なる複数のセンサー構成片4A,4B,4C,4D・・・が同心円的に配列したセンサー4が設けられているので、このセンサー4のセンサー構成片4A,4B,4C,4D・・・が打撃位置#1,#2,#3,#4・・・毎にゴルフボール5に対する衝撃を検知し、衝撃力の強弱に応じた電気信号が、発生される。
【0026】
そして、ヘッド2から離れた手元に近いシャフト9の上方部に取付けた表示部8には、ゴルフボール5に対するフェース3の打撃位置#1,#2,#3,#4・・・に対応してランプまたは発光素子よりなる点灯表示部11A,11B,11C,11D・・・が設けられるので、センサー4のセンサー構成片4A,4B,4C,4D・・・がゴルフボール5に対する衝撃を検知した時に、発生される電気信号により点灯表示部11A、11B,11C,11D・・・の何れかが点灯される。従って、ヘッド2から離れた手元の表示部8にてゴルフボール5をフェース3の如何なる打撃位置#1,#2,#3,#4・・・にて打撃したのかが一目瞭然に迅速かつ確実に分かる。そして、フェース3の先端側位置にてゴルフボール5を打撃した時には、ゴルフボール5はスライス気味になり、またシャフト9の基端側のフェース3にてゴルフボール5を打撃した時にはフック気味になるはずが、実際に打撃されたゴルフボール5の打撃方向が如何なる方向かにより、本来ゴルフボール5をフェース3の打撃位置#1,#2,#3,#4・・・のうち、如何なる位置にて打撃すべきであったかを会得することができる。
従って、ゴルフボール5のインパクトでの打撃姿勢が、スイング中にヘッドアップする等崩れることなく、しかも力むことがない自然なフォームにてねらいとする打撃方向へゴルフボール5を打撃することができる。
【0027】
また、ゴルフボール5を打撃してフェース3が衝撃を受けると、この衝撃強さを前述のようにフェース3に設けたセンサー4が検知するので、ゴルフクラブ1のシャフト9の手元に近い個所に取付られている表示部8の衝撃量表示部12には、センサー4のセンサー構成片4A,4B,4C,4D・・・が受圧する衝撃強さに応じた電気信号が発生するため、この電気信号が制御部CPUを介して例えば液晶表示のセグメントにより衝撃力として数値表示されたり、棒グラフにより量的に表示される。従って、この衝撃量表示部12の表示内容の大小により、ゴルフボール5の飛距離を把握することができる。
従って、ゴルフボール5のインパクトでの打撃姿勢が、スイング中にヘッドアップする等崩れることなく、しかも力むことがない自然なフォームにてねらいとする飛距離を出すことができる。
【0028】
また、衝撃量表示部12は、記憶素子を備えた制御部CPUに接続されているので、センサー4が受けた衝撃力の有無に伴うデータに基づき打撃動作に対するゴルフボール5の実際の打撃回数を表示することもできる。
【0029】
なお、パター1Cを用いてグリーン上でゴルフボール5をパッテイングを行う場合にも打撃姿勢や打撃の強弱には相違があるが、ゴルフボール5に対してセンサー4が打撃位置#1,#2,#3,#4・・・毎に検知する信号に対応して点灯表示部11A,11B,11C,11D・・・の何れかが点灯されることにより打撃方向を会得できる。また、センサー4により検知するゴルフボール5に対する衝撃強さに応じて衝撃量表示部12に表示される衝撃量によりカップインを目指したゴルフボール5の距離を習得することができる。