この壁画は、過去の現場の中で3本の指に入るぐらいの大変な現場でした。
絵を描くというのが大変だった訳ではなく、何を描こうかと試行錯誤する過程で膨大な時間がかかってしまったのです。
現場に入る前日まで他の作業をしていて、そのまま手付かずのこの部屋に入ることとなってしまったのが最大の原因です。
現場に入る前に決まっていたことは、SMの人物を描くということだけでした。
なので、とりあえず最初に人物を描き始めました。しかし、周りの背景や他の壁面をどのようにするかも決まらないままだったので、描きながらも不安でいっぱいでした。
また、SMの世界にあまり詳しくなかったため、参考資料を持ってきてもらう事になっていたのですが、結局最後まで手元に届くことは無く、こりゃダメだと思い、赤いカーテンや窓やランプを適当に描いていったのですが、これがなかなか結果オーライで、怪しい雰囲気の壁画に仕上がったと思います。

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