図書館情報学って何だって何だ

複数の中学校を卒業したり幼稚園を退学になったりするほどの インパクトがあるわけではないにせよ、 出身大学が複数ある人というのは、全体の中から見ると比較的少数かも 知れません。でも、全くもって少数派というほどの少数派ではありません。 僕の周囲にはどういうわけだか一風変わった人間が多いので あまり統計的に意味があるかどうか不安ですが、 複数の出身大がある人はかなり多くいます。

さて、僕の出身大学も学部の方と大学院の方の合わせて二つありますが、 どちらも世間的にあまり知名度の高くない、 よく言えば「知る人ぞ知る」大学ということになっています。 大学院の方の出身大学はこの文章のテーマではないのでさておくとして、 学部の方の大学は、図書館情報大学といいます。 あまり知名度の高くない大学なので宣伝も兼ねて強調しておきます。 電気通信大学と共に(*)名称に地名の入っていない大学であり、 図書館情報学の専門大学で、茨城県つくば市にあります。 「知る人ぞ知る」というからには一部では少しは知られており、 「女子学生が男子学生の倍以上いる」「司書の資格が取れる」 「学生数がとても少ない」 「ハッカーの巣窟かと思えばUNIXを全く使えない卒業生もいる」 など、当らずと言えども遠からずな認識を持ってくれている人もいるようです。 僕の知人の言う印象だからその時点で既に一般人の認識と 比較すると偏っているかも知れませんけど。

(*) 友人から、総研大もあるとの指摘をうけました。(2002.03.02)

というわけで、図書館情報大学の話題になると非常に頻繁に尋ねられるのが、 「なんでその大学を選んだの」ということと「図書館情報学って何」ということ になります。一つ目の質問に答えるのは簡単で、 「図書館情報学を勉強しようと思ったから」で済んでしまいます。 つまり、ふつうの高校生が 数学や物理学や化学や電子工学や機械工学や電気工学や 医学や法学や経済学や語学や史学や文学を学ぼうと思って大学を選ぶように、 図書館情報学を勉強しようと思って大学を選んだだけです。 ときどき「ほかに志望はなかったの」と更に聞かれることはありますが、 そういうときは「だってピアノの練習する気なかったし」と答えるようにしています。 嘘ですけど。いや、ピアノの練習をする気がなかったのは本当です。 バルブが三本で抜差管二本を動かすだけのラッパに慣れているせいで、 指を六本以上使わないと扱えない楽器は弾けないんです。

閑話休題 (と書いてここでは「それはそうとして」と読んで下さい)。 二つめの「図書館情報学って何」という質問は回答するのが実に難しい問題です。 ここで回答するのが難しいと言うのは、 「図書館情報学という概念自体が難しい」 「図書館情報学の概念を説明するのが難しい」 ということもありますが、さらに、回答することそのものが難しいという 問題もあります。つまり書き直すと以下のようになります。

図書館情報学は確立した学問ではなく、従って研究者によって 図書館情報学の概念の理解が異なっている。 従って、「私にとっての図書館情報学」は説明できるが 図書館情報学自体を図書館情報学の研究者の全てが納得できるように 回答するのは、少なくとも僕にとっては難しい。

ちなみに僕の「私にとっての図書館情報学」は 「情報媒体(つまりメディア)の視点からの情報流通の研究」 というあたりになりますが、まあそれはどうでもいいことです。 なんにせよ、図書館情報大学の関係者は、教官にせよ学生にせよ 「私にとっての図書館情報学」を説明できる形で持っているか、 あるいは持っていないかだったということです。 さすがに説明できない教官はいないでしょうが、 学生にしてみると「これが図書館情報学だ」という決定的なものが あるわけでもなかったので説明もできなかったわけです。 「図書館学と情報学を足したもの」とか 「図書館学を流行に乗せて名称変更したもの」などでは ちょっと物足りないなという意識もありましたか。それは僕の場合ですけど。

ちょっと話はずれますが、図書館情報大学は小規模な大学とはいえ 学生のサークルはそれなりにあって、それぞれに活動しております。 そんなサークルの中に、「新聞部」というサークルもありました。 「ありました」というからには今は無いわけで、 (OBに) 惜しまれつつ2001年に廃部になったようです。 新聞部というからには新聞を作っていたわけですが、 不幸にも平和な小規模大学であるがゆえに大したニュースを扱うわけでもなく、 学内コミュニティ紙としての立場を確立していた新聞でした (ちなみに「The Feedback」という立派な名前がついていました)。

話は戻って、図書館情報学って結局のところ何なんだろうという疑問は 伝統的なものだったらしく、僕が入学するずっと過去から、 The Feedback には「図書館情報学って何だ」という連載記事がありました。 これは大学の教官に「図書館情報学って何ですか」とインタビューして その内容をまとめて掲載するというシリーズでした。 僕は図書館情報大では吹奏楽研究会という 少人数編成の吹奏楽団に入っていたのですが、 それとは別に新聞部にも入っていたので、過去の記事も 存分に読むことができました。そしてこの「図書館情報学って何だ」シリーズが 非常に気に入りました。つまり、 図書館情報大学は比較的新しい大学なので色々なバックグラウンドを持った 教官がいるため、図書館情報学の概念も教官によって非常にバリエーションがある ということがよくわかる記事だったといえます。 未熟な学生記者による編集の手が加えられているので 精読するとかなり疲れますけどね。 大先輩をつかまえて「未熟な学生記者」呼ばわりもあったもんじゃありませんが その辺りは可愛い後輩の顔に免じて許してもらいましょう。 僕も無能な学生記者として「図書館情報学って何だ」シリーズの 編集をしたこともありますし。

ここまでが長い前振り

図書館情報大学は隣の筑波大学と合併して名前が消えることになりました。 それに先立つかたちで新聞部も解散することになったため、 この「図書館情報学って何だ」シリーズも中途半端な形で終わることになります。 しかしこのまま消えるにまかせるのはあまりにも勿体ないシリーズなので、 後に残る形で公開したいと思うようになりました。 とはいえ初期の「The Feedback」は和文タイプライターで書かれていたため、 インターネット時代での公開には電子化という山が待ち受けていますが、 それもなんとかなりそうです。 記事の内容は古いものもありますし、 学生記者の編集は要点を分かりにくくしている部分も多々あります。 それでも公開する価値は十分にあると思います。

というわけで、「図書館情報学って何だ」電子版、勝手に近日公開予定。 まだ先生方の掲載許可も全く得ていませんが、乞う御期待

2001年10月1日付で図書館情報大学と筑波大学は統合され、 新しい筑波大学になりました。図書館情報大学だった敷地は 筑波大学春日キャンパスになっています。 学部教育組織としての図書館情報学部は図書館情報学群に、 大学院としての情報メディア研究科は図書館情報メディア研究科に、 研究組織は図書館情報学系にそれぞれ改組されて 春日キャンパスに存在するようです。 また、現時点で図書館情報大学に在籍する学生が全て卒業または修了するまで、 組織としての図書館情報大学は存続します。


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