人生の軌跡

この世には、自分が何者であるのか語るようなWWWページが非常に数多くあるのですが、 それ自体は別におかしいことではありません。 会社のページには沿革や財務状況が書かれているのがふつうですし、 公開を前提とした文章を書くことで、自分を見直す機会にもなります。 もちろん、本来の目的は自分を見直すことではなくて、 自分の名刺代わりになるようなものを提供するということになるとは思います。

プロフィールを「自分の通ってきた道」として書くならば、書式は非常に多様になるでしょう。 「自分が作ってきた作品リスト」「自分が通ってきた学校リスト」 「自分が聴いてきた音楽のリスト」「自分が読んできた本のリスト」 「自分が観てきた映画のリスト」など、それはもう、全く自由なわけです。 その気になれば、「自分の通ってきた道路」を全て書き出すというのも可能になるとは思います。 実際、国土地理院の地形図に、自分が歩いたことのある山道に印を付けている人がいるようです。

とはいえ、全ての道をリストアップするのも面倒ですし、 WWWに載せるときの形式を整えるのが面倒くさくてたまりません。 そこでこのページでは、全ての道を挙げるのではなく、 「自分が行ったことのある土地」をプロフィールとする場合を考えてみます。

自分が行ったことのある土地のリストの方法として、行ったことのある土地と 行ったことのない土地に印をつけて並べていくというのが可能です。 こちらのページの管理人氏は、僕の知人なのですが、

(凡例)
S =居住したことがある都道府県
A =宿泊したことがある都道府県
A−=Aと同じ意味だが、それが「昔の話」である場合(修学旅行とか)
B =宿泊したことはないが、何らかの活動をしたことがある都道府県
C =通過したことがある都道府県
D =足を踏み入れたことすらない都道府県

という基準で半生を振り返っています。 この基準で書くならば、僕のこれまで (2003年11月中旬まで) の半生は こんなふうになります。

北海道A 青森D 岩手D 宮城B 秋田D 山形A 福島C
茨城S 栃木S 群馬B 埼玉B 千葉A 東京A 神奈川A
新潟A 山梨B 長野B 富山A 石川S 福井B
岐阜A− 静岡S 愛知S 三重A−
滋賀A 京都A 大阪A 兵庫A 奈良S 和歌山A
鳥取B 島根A 岡山B 広島C 山口C
徳島B 香川A− 愛媛D 高知D
福岡B 佐賀C 長崎A− 熊本S 大分A− 宮崎D 鹿児島B 沖縄A−

この方式で統一するのも面白いのですが、広い北海道や岩手であっても、ちょっと足を踏み入れただけでカウントしてよいのか、など、 公正さを期するとこの方法にも問題があります。 べつに公正さを期する必要も面倒くさい手続きを踏む必要もないのですが、 それを言い出すと先に進めないのでとりあえずさて置きます。

ところで、最近読んだ井上ひさしのエッセイ(*1) に、 5万分1地形図のうち、自分が行ったことのある地図の枚数を数えるという話がありました。 再度国土地理院の出番となります。国土地理院は数種類の地図を出しており、 比較的使いやすい大きさとしては、2万5千分1と5万分1地形図、20万分1地勢図があります。 この、20万分1地勢図で130枚、5万分1地形図で1291枚、2万5千分1地形図で4358枚によって、日本全国が網羅されるわけです。 従って、この中で何枚行ったことがあるかリストアップすることで、 人生の軌跡を辿ることができるわけです。

ただし、僕は幸か不幸か蒐集癖は持ち合わせていないので、 全ての地図を購入して行った場所を選びだすことは、財力的にも趣味的にも不可能なので、 もうちょっと手軽で安価に済ませることにしました。 国土地理院のページで、全ての地勢図と地形図を閲覧できます。 20万分1地図単位で一つ一つ見ていかなければならないので手間がかかるのは確かですが、人生の軌跡を辿ろうとする人間がその程度の労力を惜しんではいけません。

なお今回は、上の凡例でいうところのB以上、つまり、単に通過しただけではないというのを基準にしました。 つまり、車で移動している場合でも鉄道で移動している場合でも、少なくとも地上に足を下ろしたことがある、というのがリストに入る条件としました。 いくらなんでも2万5千分1地形図でこれをやると夜が明けてしまうので、 20万分1地勢図と5万分1地形図に関してやってみることにしました。

まず20万分1地勢図の場合のリストが以下の通りです。

札幌、 函館、 酒田、 村上、仙台、 輪島、長岡、 七尾、富山、高田、日光、 金沢、高山、長野、宇都宮、水戸、 松江、鳥取、 宮津、岐阜、甲府、東京、千葉、 京都及大阪、名古屋、豊橋、静岡、横須賀、大多喜、 岡山及丸亀、徳島、和歌山、伊勢、御前崎、 福岡、田辺、木本、 長崎、熊本、大分、 八代、 那覇

以上、130枚の内42枚に足跡を残しています。32.3%です。 やはり、北海道では33枚のうち僅かに2枚しかクリアできていないというのが効いています。

5万分の1の場合、全部並べると分かりにくいので、相当する20万分1地勢図に合わせて並べることにしましょう。 各20万分1に対して、最大16枚の5万分1地形図が入ることになるのですが、 1枚のものも、10枚以上入るものもあります。 これは、その周辺での活動の濃さにほぼ比例していると考えてよいでしょう。 以下に、そのリストを挙げます。

札幌 (4)
石狩、札幌北部、札幌、千歳
函館 (2)
大沼公園、五稜郭
酒田 (2)
酒田、鶴岡
村上 (1)
湯殿山
仙台 (3)
山形、仙台、上山
輪島 (1)
輪島
長岡 (4)
弥彦、三条、柏崎、長岡
七尾 (7)
釼地、穴水、富来、七尾、氷見、津幡、石動
富山 (6)
小口瀬戸、糸魚川、三日市、泊、富山、魚津
高田 (7)
小千谷、高田西部、高田東部、松之山温泉、十日町、越後湯沢、四万
日光 (3)
那須岳、男体山、日光
金沢 (12)
金沢、城端、小松、鶴来、下梨、三国、大聖寺、白峰、白川村、福井、永平寺、越前勝山
高山 (6)
八尾、立山、白大峰、上高地、高山、乗鞍岳
長野 (3)
長野、上田、軽井沢
宇都宮 (12)
足尾、鹿沼、宇都宮、前橋、桐生及足利、高崎、深谷、古河、小山、熊谷、鴻巣、水海道
水戸 (9)
真岡、水戸、ひたちなか、真壁、石岡、礒浜、土浦、玉造、鉾田
松江 (1)
松江
鳥取 (1)
鳥取北部
宮津 (2)
網野、宮津
岐阜 (5)
鯖江、今庄、敦賀、長浜、大垣
甲府 (2)
八ケ岳、甲府
東京 (11)
大宮、野田、青梅、東京西北部、東京東北部、八王子、東京西南部、東京東南部、秦野、藤沢、横浜
千葉 (10)
竜ケ崎、佐原、潮来、佐倉、成田、八日市場、銚子、木戸、姉崎、茂原
京都及大阪 (10)
北小松、篠山、京都西北部、京都東北部、京都西南部、京都東南部、神戸、大阪西北部、大阪東北部、奈良
名古屋 (10)
彦根西部、名古屋北部、近江八幡、桑名、名古屋南部、水口、亀山、四日市、上野、津東部
豊橋 (4)
岡崎、豊橋、浜松、磐田
静岡 (5)
御殿場、清水、沼津、静岡、掛川
横須賀 (4)
小田原、平塚、横須賀、富津
大多喜 (4)
大多喜、上総大原、鴨川、勝浦
岡山及丸亀 (1)
岡山南部
徳島 (7)
西大寺、寒霞渓、明石、高松、草壁、洲本、鳴門海峡
和歌山 (10)
須磨、大阪西南部、大阪東南部、桜井、尾崎、岸和田、五条、吉野山、高野山、山上ヶ岳
伊勢 (7)
名張、松坂、答志、鳥羽、大台ケ原、尾鷲、島勝浦
御前崎 (1)
御前崎
福岡 (1)
太宰府
田辺 (3)
田辺、那智勝浦、串本
木本 (1)
木本
長崎 (1)
長崎
熊本 (3)
菊地、熊本、御船
大分 (4)
別府、臼杵、阿蘇山、竹田
八代 (5)
本土、牛深、水俣、人吉、出水
那覇 (4)
沖縄市北部、那覇、沖縄市南部、糸満

1291枚中199枚です。僅かに15.4%です。 検算していないので多少数字はずれているとは思いますが、 どうみても高い割合だとは言えないでしょう。

さて、遺書代りにするのでない限り、人生の軌跡を振り返ることの目的は、 これからの人生に対する参考となるでしょう。 もちろん話の種としてだけ使うのも十分ありえるのですが、 それだと折角数え上げた苦労が今一つ報われない気がします。 そんなわけで、僕はとりあえず、プロのミュージシャンになったら、 全国の小さな町の小さなライブハウスを回るようなツアーをすることを 目標にしようと思います (前提部が偽なので全体は真になるらしい)。


(*1) 井上ひさしの「一二五五」というエッセイ。 一二五五というのは「昭和四十八年十月現在での」5万分1地形図が 日本を覆うのに要する枚数とのことで、僕の調査とはちょっと誤差がある。 所収: 井上ひさし. 巷談辞典. 文藝春秋, 1984. (文春文庫)


Created: 2003.12.07

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