eveの夜に 「は〜酔った!飲んだ。明日学校だろ?オレそろそろ寝るな。かたずけんの、明日でいいよな」 「へっ?!」 そう言ってたちあがった新一に思わず平次は素っ頓狂な声を上げてしまった。不審な目で新一に睨まれる。酔っているので動作がいつもと違い緩慢だ。 「なんだよ。クリスマスしたろ?基督の降誕祭だろ?酒飲んだし、お祝いもしたし」 「そ、そうなんやけど〜」 新一を引きとめるべく、平次も立ち上がって新一の側に近づく。 今の日本の何処にクリスマス=キリストの誕生日なんて覚えてる人間が居ると言うのだ。 キリスト教徒ならいざ知らず、ほとんど無宗教の人の間ではクリスマス=恋人達のお祭りだ。 もちろん、クリスマスにかこつけてるだけではあるのだが。 平次も誰が生まれてようと基本的にはどうでもいいのではあるが、新一と過ごす口実になるのならなんでも良い。 きっとみんなそんな理由で。 「えっとあの、プレゼント交換とか」 「はぁ?そんなの用意してねぇよ」 「あ〜別になんも欲しいもんがあるわけやないんやけど」 「ならいいじゃねぇか」 「そうやなくて、あ、やっぱり欲しいもんはあるんやけど」 「何だよ。何も無いって言ってるだろ。オレ眠いんだよっ」 引き止めるのに必至で、平次の日本語がおかしくなる。 新一が何故か逃げるように部屋に戻ろうとする。 眠い上にいささか(?)酔っているので冷たい口調もいつもよりゆっくりで。 しかも、目許が酔っているせいか赤い。 「さっき言うたやん?いい子にしてたらプレゼント貰えるんやって」 「うん?」 「せやから、俺も欲しいな〜て」 「いい子が、貰えるんだろ。お前関係ないじゃん」 「何でや〜俺が何したっていうん?。…もしかして、工藤を泣かしたからか?」 ゴッ、と鈍い音がする。 真っ赤になった新一が、頭を押さえて怯んだ平次の側から離れようとしたが逃げられるはずも無く。 「痛てて、も〜ホンマに工藤は乱暴なんやからな〜」 そう言いながらそのまま幾分自分より小さい身体を抱きこんでしまう。 その力強い腕の中で新一が必至にもがいても少しも緩まない。 「〜〜離せよっ!」 ほとんど覆い被さってしまっているので、新一の顔は見えない。 いとおしげに平次は髪を梳きながらそこに唇を落とす。 「いい子や無かったかもしれへんけど」 「当たり前だっ!」 平次の下から篭った声が聞こえる。こんな状態でも新一は新一のままで。 照れているのはわかっているけど、苦笑は否めない。 「エエ男だったつもりなんやけどなv」 「一人で言ってろ、バカ」 「バカでもええよ。…工藤」 声を落として耳元で名前を呼ぶ。腕の中の身体が一瞬震えるのがわかった。 「今度は泣かさんよう、精進するから」 「ナニをだっ!このばかっ」 下を向いていた新一がその拍子に顔を上げる。くす、とイタズラが成功したような顔で平次が笑う。 「そりゃあ…v」 そう言って少し顔を傾けて新一の唇に自分のそれを合わせ、背中にあったはずの大きな暖かい手が背筋を撫で上げる。 「〜〜@×▽■っ!!」 「好きやで…v工藤v」 …そうして恋人達の夜が更けていく。 そしてそれは新世紀にも続いて行くのだろう。 Merry Christmas ! fin.
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