雪の鳥居峠,氷の二度上峠(1992/02)

2/22(土)は予定通り 信州・上田 鳥居峠, 上州・嬬恋 二度上(ニドアゲ)峠に行ってきました.
昨晩は酔いがまわってそのまま寝てしまいましたので、これから書きたいと思います.

******************************

いつものように 目黒 午前4時33分の山の手線 外回りに乗って上野へ.
渋谷,新宿あたりからは 金曜の晩の続きを終えた酔客が 疲れた顔で乗り込んできます.
アジア系外国人が1割以上はいる.

池袋,田端周りで 上野へ.
5時13分発の 高崎線・普通の始発に乗り込みます.
この時期,青春18きっぷで スキーに行く人々がいて けっこう乗る人があります.
立つほどではないし, 人がある程度いてくれると 車室内が温かくなるので助かります。

うつらうつらしながら 高崎へ. 6時59分.
スキー場へ行く臨時列車なども出て, なかなか賑やかです.

碓氷峠を越える数少ない鈍行列車 7時13分発に乗って 上田へ.
横川での機関車付け替えにも気付かず ねこけていました.
軽井沢に着くと プリンスホテルのスキー場に行く人々が降りて起こされます.
積雪はないが, 道路は白く凍り付いており, ちらちらと風花が舞っています.

「今日の 最高気温は 0度だって」と 高校生が言っています.
1000メートルの軽井沢から 500メートルの上田まで 信越本線は軽やかに下っていきますが,
御代田,小諸の辺りで 降雪が本格的になり サイクリングの断念も脳裏をよぎります.

その場合, 別所温泉につかって 前山寺(ゼンザンジ)で, 胡桃おはぎをつつきながら
塩田平(シオタダイラ)の冬枯れた 情景でも眺めて 一日過ごそうか…
などどいう不埒な観測も生じてきます.

8時51分 定刻に 上田到着. 雪は降ったり止んだり.
駅前は 道路が濡れていて 雪は路肩に避けてあります.
菅平口辺りまで バスに乗せてもらえないかなあ… と思い、時間を見ますが 9時40分発とちょっと遅いので, 仕方無く自転車を組み始め ます.

9時20分 出発. 菅平ダヴォススキー場方面へ向かう車に追い越されながら 38 X 20,23 でトロトロと登ります. 路肩は雪が寄せられていて走りにくいので, 歩道に乗り上げてしまいます.
すると 歩く人もいないためか 新雪 5センチくらいの上を走ることになります.
この程度の雪でもけっこう抵抗になるものです.

菅平口で 1000メートルほどもあり まわりの山々はうっすら雪化粧しています.
上田,9時40分発のバスに追い越され 漸く菅平口の分岐に到着.
多くの車はスキー場の ある菅平方面に向かっていき,鳥居峠・長野原方面はぐっと空いてきます.

11:10 最後の集落 渋沢に到着.
ここを訪れるのは5年ぶりくらいですが 村の入口に「渋沢温泉」なる公衆浴場ができています.
(\300 TEL 72-4323,10時AM-11時PM)
坂の途中の集落を抜けると いよいよ路面凍結が本格的になってきました.

車のTRAIL を選んでジワジワとSITTINGで詰めていきます. STANDINGはDRIFTしてしまい 全くだめで す. 菅平へ抜ける 十ノ原林道が分岐しています.
こちらは 全くの圧雪路でMTB向きと いえましょう. 菅平から下ってくる方が より楽しめると思います.

その道をサニー四駆が元気に登っていきます. さて私がジリジリと詰めている 国道144号の方もところどころアイスバーンなどがあって 退屈しません.
勾配は緩く, 周りを眺める余裕もありますが, 浅間山は雲に隠れて見えません.

11:45-12:20 鳥居峠(1352メートル) 22.5km 道の両側は XCスキーに好適な雪原です.
ありがたいことに茶屋が営業しているので うどんを注文し 暖まらせてもらいます.
ちょうど オリンピックのフィギュアスケートの場面を TVでやっていました.

私は伊藤みどりよりクリスティ・ヤマグチの方が好きなのだ. あの顔立ちは愛嬌がある.
しかし,化粧が米国風なのか 目がタヌキになっているなあ.
(スケートのうまさには言及しない (^。^;)
店は 峠越えでスキーに行く人々でけっこう賑わっています. さすがに四駆の車が多いようです.

駐車場の路面もザクザククラストした雪で埋まっており, 一度嵌まってしまうと厄介そうでした.
窓の外は 雪が水平方向に降っており 出掛ける決心を鈍らせましたが,もうここは 峠であり
「エスケープして長野原に下ってしまえば あと27kmしかないんだ」と 自分に 言い聞かせ 出発.

下り始めると 手足の末端が冷たい! 体全体が強張りアイスバーンで
防御姿勢をとるのも一呼吸後れて仕舞います.
5km/hくらいでトロトロ下りますが、おもいがけずズルッと滑る時があり
そういう時はパッチリ目が覚めます.
出帽にサングラス,ヘルメットという、
コンビニに入ったら間違いなく警報ボタンを押されてしまうような走行スタイル.
しかし この寒さと氷の世界も 鹿沢(カザワ)の集落まででした.
標高1000メートルほどに下り 路面は乾いています.
鹿沢温泉,角間(カクマ)温泉などが近くにあり 怠け心を くすぐります.

大笹から 北軽井沢へSHORT CUTして行きます.
国道146号を通れば 道を間違うこと はありませんが 標高差で100mほど損してしまいます.

あえて 別荘地の迷路のような 道を通り抜けることにします.
5万図では 一直線につながっていませんが,
途中から 「県道 大笹 北軽井沢線」の標識が導いてくれます.
この道は 別荘地の中を1100mくらいの平坦な標高で貫いています.

13:50 北軽井沢 郵便局を通過. 軽井沢,軽井沢と言っていますが
北軽井沢は 群馬県・吾妻(アガツマ)郡・嬬恋村にあるのです.
長野県の軽井沢町とは 国道146号の 峰の茶屋のところで 境界となっています.
真冬の別荘地なんてゴーストタウン化しているかと思いましたが,けっこう人がいるもんで,
コンビニもやっています.
さて 時間も十分あるのでエスケープはせず、計画通り二度上峠に向かいます.
道は 「県道 北軽井沢 倉渕(クラブチ)線」に変わります.

***************************

北軽井沢を出て暫くダラダラ坂を進んでいると、目指す二度上(ニドアゲ)峠が見えてきます.
駒髪山の右側を削った道路で地図の様子がはっきりわかります.
勾配はゆるく、まったくプレッシャーを感じさせません.
何せ登り始めの北軽井沢が1200メートルで峠が1380 ですから.

10年前 この辺りを走った時,中軽井沢(追分)の小瀬(コセ)から
草軽交通の軽便鉄道 軽井沢-長野原線の軌道跡を辿りましたが,
その時 藪の中からこの県道にひょっこり 出てきたことを思い出します.

しかし 両側は雪にうづもれていて どこがその道なのか 見当もつきません.
1300メートルを越え,峠も間近になってきますと,アイスバーン多く、なかなか進まなくなります。

最後の1kmほどは 以前と同じダートのままで ,この寒いのに法面の補強作業をしている人達がいました.

14:50 二度上峠 1380メートル。上州側は雲が高く,赤城,足尾連山を見渡せます.

風が強いので体感温度が随分低く感じられますが, 携帯温度計は15度を指したままで壊れてしまったようです.(1ケ \100の品)
テルモスの白湯を飲んているとき、ふと自転車のプラスチックボトルの水はどうなっているのか?と触ってみ ると,氷の塊と化しており,蓋を開けることもできません.
そういえばステンレスのテルモスに素手でさわると手の皮がくっつくような感覚がありました.
どうも-5度以下に下がって いるような気がします.
登りで暑いのでフロントバッグに押し込んでおいた目出帽の鼻と口の部分がゴワゴワと凍っ てしまいました. こうしたことを思うと 今回テルモスを持ってきたのは正解でした.
(前の晩 12時に詰めたお湯がまだ 熱く感じられるので…)

さて,完全武装して下りにとりかかります.
と言ってもアイスバーンが多く,10km/hくらいで足を着きながらソロソロ下ります.
るとブラインドカーブの向こう側に、90度横を向いて道いっぱいにランドクルーザが停まっています.
危うく突っ込んでしまいそうになりますが なんとか 倒れずに 直前で停止しました.

この車、アイスバーン上で無茶な操舵をしたようです.
前後とも余裕がなく方向転換できず立ち往生しています.

私は無情に 山側,車の鼻先をすりぬけて通過しまてしまいます.
下が氷で 滑るので,人手で向きを変えるのが簡単だと思ったのですが,
どうやって 脱出したか,興味あるところですね.

それにしてもカーブの入口で誰か立っているとか 三角板を出しておくとかしないと
四輪,バイクだったら 完全に突っ込んでしまうでしょう.
(車には5,6人が乗っていた) 上州側は北斜面になるのでアイスバーンが続きます.
群馬バスの最初のバス停「新開」で、ようやく乾いた路面に出会い スピードを上げることができます.
ここからは加減速とも要らない道が延々15kmも続きます.
権田辺りから 人里という感じになってきます.
室田の交差点で地図(5万分の1)を裏返しますがスピードメータを落としてしまった事に気付ました.
少し引き返して探しても見つかりません.コードを分割加工したものだけにちょっと未練が残ります.
メータをなくすのは 二度目です.
ときにはメータの距離計の数字をのばすために走ってるんじゃない,と虚しくなることがありますが, 一度付けてしまうと外しがたくなるものです.
同じサンヨー製品が手に入るかわかりませんが…. 他の 2台の自転車についているメータ と共用しようにも 700Cと650Bなので かないません.
レーサーとスポルティフを共用にすればいいのだろうか? と思っているうちに群馬八幡(ヤワタ)駅に到着 17:00 ここで気温 2度です.

17:16という電車がありますが,今日は余裕をみて 50分発のにして、弁当を買ったり します.
泥除けの裏側や,BB周りにこびりついた氷をかきおとし, RD,フリーの氷は 叩いておとし,水気をなるべく取ります.
電車に乗って,フロントバッグに入っていた缶コーヒー(鳥居峠で買った)を開けると 中身がシャーベット状になっている!
高崎より 温かい電車に乗換, 暖気に感謝しながら帰宅. 21:00 われながら つくづく物好きだと思いましたよ…. でも 私にとってゲレンデで滑るスキーより面白いことは確かだな.

戻 る