南会津 駒止峠・山スキー(199X/03)

3/19(木)23:00池袋西口東武百貨店の工事中の壁の前に来たのは2年ぶりの事だった.山岳会の人々と会うのは正月の会津山行以来の事だが,そんなに時間がたったという気がしない.

 

今回はT顧問が来てくれることとなった.

ところが,時間が過ぎてもTさんが現れない.トレードマークの赤いウェアを探して駅の反対側,西武の方に言ってみるけれど見当たらず,たまたま手帳にのっていたタッキーさんの留守電にメッセージを入れたりする.

そうしているうちに無事Tさんが来て,会のリーダーであるS氏と喋っていた.着ていたのは赤でなく,グリーンのウィンドブレーカだった.

さて,今回の参加者はS氏,K氏(女),Y氏(女),T氏,お座敷サイクリストの5名だった.スキーTOURとしては手頃な人数で,車を運転してくれるE氏があと加わる.

道沿いの酒屋でビールを仕入れ,初顔のTさんから自己紹介をしてもらう.

 

3連休の初日とあって,東北自動車道の浦和入り口,蓮田サービスエリアとも大混雑.だが,Eさんは手慣れたハンドルさばきで駐車スペースを見つけだしてくれる.

SAはスキー場へ向かう若者たちの熱気でいっぱいだった.どこからかギャルの歓声が聞こえてくる.我々中年グループは構わず,粛々と水をボトルに詰めたりしていた.

車の床にマット,シュラフカバーを広げ,寝床をつくる.ここから目的地の大曽根山の麓までべったりと床に寝ていこうというのである.

Tさんはシートの上で寝たが,頭上にヒーターの吹き出し口があり,のぼせてしまったそうだ.

さてあまりよく眠ったという記憶はなかったが(←記憶がないからよく眠っている)塩原温泉郷,尾頭トンネルを知らないうちに抜けて,車は福島県南会津郡糸沢の路傍に停まっていた.

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3/20(金) 5:50 既に明るく,周囲の山,田畑には雪が溶け残っていた.アイドリング中の車から外へ出てみると,あり寒くない.高曇りといった感じである.

S氏が起き出し,今日の宿「小野島(おのしま)」の所在を確認した後,大曽根山へ向かう林道に乗り入れる.田圃が終わるところで除雪は止まっており,6:30頃スキーにシールを履いて歩き出す.大した勾配ではないので,かういテレマークの人たち(S,K,T)が先行する.というより,Tさんがダントツのハイペースで無駄のないすりあしでか向こうを登っていく.

私はといえば,シールをつけているにもかかわらずガニ股気味にバタバタと歩いてしまい,峠を乗り越して大曽根山へ向かう林道の分岐点では左のシールのテールが8割方千切れて,フックが取れそうになっていた.金具をなくすと厄介なので手で残りの部分を切り取ってしまい,糊の接着力に頼って更に登り始めた.

山スキーはシールをつけていると下りに弱い.緩い勾配では全然滑らないし,勾配がついてくると急にすべりだし,どうも具合がよくない.車が走れるくらいのUPDOWNだったら,XCまたはテレマークの方が好いと思う.

大曽根山の鞍部に着いたがまだ9時である.天気は快晴.サングラスをしていてもかなり眩しく感じる.道端にザックを下ろし,大曽根山の向かいの無名の山に登ってみる.Tさんは広い斜面で大きな弧を描いてテレマークターンの練習をしている.

登りきってみると,頂きは平坦で,360度の展望が開けていた.さっき登ってきた

糸沢の家並がかにみわたせる.沢を一気に滑り降りて,皆がのおりはじめた大曽根山へ向かう.登りでヒールフリーにしていて,ダウンヒルで踵をとめてしまうと,何か違和感があり,シュテムで慎重に下りてきた.

大曽根山は無名峰より低く,沢をつめた所がもう頂上という感じだった.眺望はさきほどの山の方いい.

 

12:00このまま下ってしまっても時間が余るので,おまけとして鳥越山に登る事にする.尾根伝いにUPDOWNを繰り返し,鳥越山の狭いピークに到着.福島・栃木県境の山々が並んでいる.記念写真を撮って,シールを外し,軽快に下る.近道をしようとして沢に入り込んでしまい,藪っぽくなってきて,スキーが枝にひっっかかり難儀した.

私は林道に下りるのが最後になってしまい,Tさんのビールの残りを少し頂いた.二口ほど口に含んだだけだったが,これは最高にうまかった.

あとは先程の道を引き返すだけ.しかし,足にマメができはじめており,いうことをきいてくれない.シールをつけず,ヒールフリーでスケーティングしながら行くが思うように進んでくれない.登りでは逆ハの字で強引に行く.息が切れるような事はないが,足が上がってくれない.

沢筋の雪崩た林道を行って近道をする.少し勾配があるので快適にスキーが滑ってくれる.かなり盛大に雪崩ており,道が単なる斜面になっていて,沢まで流れこんでおり,転ぶとこわそうだった.

14:30朝来た林道と合流.ゆき緩み我々のトレールは消えてしまっている.往路を引き返してくるS,K両氏を待って少し休憩.Tさんは休まずテレマークターンの練習をしている.

かな稜線上に二人が現れ,ゆっくりとこちらに下ってくる.コブのところで転げたりして下から見物しているとすこぶる面白い.

15:005人が揃い,宿で待機しているEさんに無線を飛ばし,迎えに出てもらう.

下りの山スキーは快適で,ストックで加速してやるとひとりでに下っていく.私はこのくらいの斜面がいちばん楽しいと感じた.自転車ほど景色の流れかたは速くないが,10km/hくらいでているのではないだろうか?

楽しい林道の下りはすぐ終わり,Eさんがビールを持って待っていてくれた.

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今日の「おのしま」は満員のようだった.何やらスノーボードの大会があるらしく,白人も泊まっている.そのせいかどうか,我々5人は納屋(?)の二階におしこめられてしまった.階段の登り下りがきついのに,水場は母家にしかない.

スキー場から帰ってくる泊まり客に先行して,4時ころ風呂に入り,足のマメの治療をしながら,コタツでトロトロする.

夕食はこの地方の民宿に多い,煮物とそばそして何故かサイコロステーキが付いた.昼間からビールをのみづめであまり食が進まないのだった.

8時前には部屋に戻って,アニメ「秘密の花園」を見て,お茶ばかり飲んでいた.

日に当たって脱水症状になっているらしく,私がジュースの掻い出しに行くことになった.しかし宿の周りはKさんが探索済であり,他に明かりは疎らだった.

結局長い橋を渡って,川向こうの酒屋まで行ってしまった.風はなくそれほど寒くはなかった.こんなに広い夜空を見たのは久し振りで何か気分が良かった.

3/21(土)S氏は朝から三杯飯をかきこんで気合充分.Tさんの納豆まで取り上げてしまう.今日のターゲットは昨夜,寝ながら話した「駒止峠旧道」である.

天気は雪,手っ取り早く切り上げて温泉に入りたい.

 

9:00

旧道の入り口にで着いてみると,全く除雪されておらず,車は皆トンネルを通っているようだった.早速スキーをつける.テレマーク組はステップに雪がくっつき,ゲタ状になってしまったというので,雪をかきおとし,ワックスを塗る.私のテールのないシールも不調で,クラストしているところで剥がれてしまい,いよいよダメになってきた.

ガムテープを貰い何とかまっすぐ歩けるようにする.S氏より叱責.またEさんにトラブル発生をつたえる.

こんな状態ではあったが,道は最高のコンディションで楽しめた.11:30には風の通り抜ける寒い峠に到着.休憩するでもなく,写真だけ撮ってそそくさと下り始める.

ところが,勾配が緩すぎてスキーが滑ってくれない.特に接着剤を滑走面に塗った私の片方のスキーはシールを付けたままのようである.テレマーク組はスケーティングをリズミカルに繰り返しながら軽やかに下っていく.

500メートルほど下ると,峠の茶屋があったが,無人のようだった.道は新雪が積もったままであり,うっすらとスノーモービルの轍が付いているだけだったのだ.

歩くような滑るような速さで沢沿いの林道を下る.足は痛いがワカンで歩くより2,3倍の速さで進める.息が上がらないので景色を楽しむ余裕もある.

13:00ころ,林道のかなり奥までEさんが入ってきてくれていて,我々は無事二日間の山スキー山行を終えたのだった.

かえりがけに,会津高原駅の向かいの斜面にある,三滝(さんたき)温泉で一浴.

いつもの塩原のラーメン屋でラーメンを食べ,東北自動車道では雪が降ったり止んだりするのを見た。

19:00池袋の雑踏に到着.荷降ろしして,JRの改札で皆と別れる.

 

帰宅してみると,足のマメと膝の裏の痛みがひどかった.しかし,破れたシールが心配で,翌日神田タマキスポーツでテールにリベットを打ち直してもらった.

靴を新調せねばなるまい.

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