大山・蒜山・氷ノ山(1992/05)

 

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タイムテーブル

4/30 品川バスターミナル 19:30 日本交通「キャメル号」

5/1 6:50 米子駅 7:51- (JR伯備線・普通)- 8:20 伯耆溝口(ホウキ ミゾグチ)

 

天気 晴れ

8:40-(県道 溝口・桝水高原線)-9:55 桝水高原(800メートル)-(大山周遊道路)-

 

11:00 鍵掛峠(910メートル) 11:15- 11:50 新小屋峠 - 12:10 見返峠 -

 

蒜山高原 - 14:30 塩釜温泉 走行 45km

 

 

5/2 塩釜温泉 9:00- 10:00 津黒 -(美作北2号林道)- 11:00 大谷峠(900メートル) 11:15

 

(ダート 約6km) 12:00 泉源 - 13:50 岡山県立・奥津森林公園 14:10-

 

湯ノ谷林道・木戸線 (ダート約 3km) - 上斎原(カミサイバラ) - 16:30 辰巳峠(685メートル)

(雨つよし)

-用ケ瀬(モチガセ) -(国道53号) - 智頭(チズ) 走行 97km(うちダート 9km)

 

 

5/3 智頭 9:00 -(国道53号) - 10:40 志戸坂峠(シドサカ) (トンネル入口:581メートル) -

(旧道を探して ミスコース 50分)

-11:00 西粟倉村 - 県道 大茅・西粟倉線 - 12:10 峠 - 13:00 鍋ケ谷 -

(ダート 3km)

-13:30 千草町・川井(500メートルの谷底) - (大通中江林道) - 15:20 大通峠(1000メートル (ダート 岡山側 6km, 鳥取側 2kmくらいか?) - 16:40 若桜 - 17:50 八東

 

走行 73km(うちダート 11km)

 

5/4 八東 8:50- 国道29号- 若桜・氷ノ山分岐 - 氷ノ山スキー場-

(曇りのち晴れ)

-11:20 氷ノ越(ヒョウノコシ)(1000メートル) -(東因幡林道・河合谷林道)

 

-17:00 上山高原(900メートル) - (海上林道) - 海上 -(国道9号 ・ 県道湯村浜坂線)

(晴れ 風つよし)

-18:50 浜坂温泉 走行 88km(うちダート 45km)

 

5/5 浜坂 9:00 - 国道178号 - 桃観峠(200メートル) - 余部 - 香住 - 柴山漁港 -

(晴れ) (蟹を買う)

-(第二但馬海岸道路) - 竹野 -(但馬海岸道路) - 城崎(キノサキ)

(いずれも自転車無料)

走行 54km

 

城崎 15:51 -(JR山陰本線 特急「あさしお10号」)- 18:4X 京都 延着

 

19:07 -(JR東海道新幹線) 21:39 東京 22:40 帰宅

 

 

※ ざっとこんな所です. 山陰は走りでがありましたねえ.山は低いんですが

好ましい峠が数限り無く連なっているようです.

 

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始まりはいつも雨…

 

もう2週間もたってしまったんですね. あの素晴らしい山陰ツーリングより…

いつものように 手短に記録しておきましょう.

 

今回の私の行程はちょうど 鳥取県と隣県の県境をジグザグに辿るようなコースであ

ったと言えましょう. 県境の峠を行きつ戻りつしていたのですね

 

さて,出発は4月30日(木)の晩. 春先から関東地方は不順な天候が続いており,

この日もかなり強い雨が降っていました. 19時30分 品川バスターミナル発の米子行き

キャメル号が私の乗るバスです. 18時ころ 恵比寿の会社を出て,コンビニエンス ストアで食購し

ながら帰宅すると もう18時30分近く. 10分ほどで着替えて 合羽を着て 高輪経由

でバスターミナルまで走ります. 今回導入した,クリアレンズのゴーグルが 雨の夜にたいそう重宝

でした.

 

スリップしないように 久し振りに乗るランドナーを操り, バスターミナルへ駆け込みます.

もう19時10分 これからバラして 発車時間までに手を洗う暇があるかどうか…

というせわしなさ. 案内係からは 「今後一切 夜行バスに自転車の持込みは禁止」

と言われるし, そこは 強引に頼み込み トランクに輪行袋を押し込みます. このバス

は確かに荷物スペースが小さいような気がする. 昼の中央高速バスなど輪行袋 4,5個は

入りそうだったのだが, これだと 3つでいっぱいになりそうだった.

他の客も連休で帰省する者が多く, 大荷物を抱えていた. 混雑する期間でなければ

輪行袋も許されるのではないか,と思うが, これまで重宝してきた夜行バスからも

サイクリストは締め出されるのろうか?

 

ともあれ 乗り込んでしまえばこっちのもの.愛しのヱビス麦酒と黄桜 焙燒つくり

というのを一気にイッてしまう. 日本酒の方はサラッとした飲み心地だが 特に推奨

するほどのことはない. バスは浜松町を過ぎ首都高速, 渋谷駅の遙か上空を通過する.

 

沿道の会社では まだ残業している所が多い. わが社の入っている恵比寿のビルの

他のテナントは軒並み出払ってしまっているというのに,熱心に仕事をしている人も

いるのだ,と頭が下がる. バスの中では寅さんのビデオをやっている. 美保純が出て

いる.

 

富士川,養老等の休憩でも下車せず寝こけ, 目をさましたのは鳥取県に入った

江府(コウフ)だった. 米子駅には6時50分早着. 天気は良さそうだ.

 

駅の喫茶店でモーニング サービスを食べて 伯備線普通 7:51 新見行きに乗り込む.

オレンジ とグリーンの関東の人間にとっては 湘南電車という車両である. 電化されている

とは… 山陰本線がまだディーゼルなのに.

 

ひとまず プロローグということで 何事もなく 終わります.

 

MHH02276 お座敷サイクリスト

 

342/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 山陰TOUR(2) 田舎家の長閑な昼下がり

( 4) 92/05/16 08:47

 

ヤマアイ

5/1(金) 米子駅から乗った伯備線は 8:09 定刻に伯耆溝口に到着.山間の無人駅

数人が下り, その人々はたちまち視野から消えた. 電車は高校生たちを乗せて

新見方面へ去ってしまった. 空は高く曇っている. 自転車を組立て,水道の水を

汲んで一口含んでみると, 美味い軟水だった. 大山・蒜山はブナの林で 好い水の

宝庫なのだった.

 

4/25(土) 山口市を出発して走り続けている 相棒のSとの第一合流点として

この駅を決めていたのだが 現れないようなので 桝水高原への道を独り 登り始める

ことにした.

 

伯備線の線路を越して真っ直ぐ大山に向かって登り始める.ただ山は中腹から上が

雲の中に隠れている. 緩い登りを3kmも行くと中国横断自動車道・溝口インターチェンジを

通過した. まだ全線開通していないのか,全く通る車もない.

ほぼ一定の勾配で道は直登していく.集落らしいものはなく,黒々とした畑と,造成

したばかりという感じの別荘地が続いていた.

100メートルごとに標高を書いた標識が立っているが, 夜行明けの初日にしてはいい

ペースで登っているようだ. 広域農道をいつ通過したのかもわからないうちに

法人の保養所が立ち並ぶ 桝水原を通過する. 山陰合同銀行の山荘が豪華である..

 

9:55 桝水高原分岐着. ここは桝水原スキー場のゲレンデの真ん前である.. (15.4km)

ここで一服して Sが現れるか? と待ってみたが サイクリストの気配はない.

バイクのツーリストが多い. MTBが二台, ゲレンデの遙か上の方で遊んでいる. 下から

見ていると あまりスピードは出ていないようだが 乗っている方からすれば

きっと ごつごつで あぶなっかしいものなのだろう.

 

水分を補給して,大山環状道路を鍵掛峠に向かう.

スノーシェードなどがあって かなりの豪雪地帯だと思わせる. 緩いUP DOWNを繰り返しなが ら,桝水から100メートルほど高度を稼いで鍵掛峠.

 

11:00 鍵掛峠から大山の弥山(1711メートル)から剣ケ峰(1729メートル)にかけての残雪の

稜線が晴れた空にくっきりと浮かび上がっている. 峠には乗用車10台分ほどの駐車場

があり 天水利用のトイレもあった.

ここで 山を眺めながら一服. 昨日までの 東京の淀んだ空気などすっかり忘れて

しまう. 日差しが眩しく ゴーグルを外せない.

鳥取,岡山ナンバーの車に次いで 大阪,なにわ,京都なども多いようだ.

 

快適に下って 大平原, 御机の小さなスキー場を左手に眺め,更に下る. 途中

新小屋峠というはっきりしない峠があり,鏡ケ成から右折して蒜山大山道路に入る.

この道は鬼女台の展望休憩所までUP DOWNで,岡山県に入ると一気に下る.

 

鬼女台からの展望が素晴らしく, 蒜山の全景, 鳥取県江府(コウフ)町, 岡山県川上村

の町並みが霞んで見える. 売店で「蒜山ジャージー牛乳」(\150)を飲む. ジャージー種という

茶色い牛の乳だそうで, 粉っぽく感じるほど濃いものだった. この乳で作ったヨーグルト

も美味そうだった.

少し涼しかったが ベンチでうたた寝してしまう. 13:00

 

8kmほどの下りを10数分で下ってしまい, \50払って,観光地している 牧場地帯に

走り込む. 中国酪農大学交校の生徒だろうか 長靴に泥まみれのスウェット シャツの若い男女

が 観光客の乗る車の間を歩いている.

 

蒜山センターなど 遊園地になっている所もあり, 中学校の修学旅行のTOURバスが

騒々しく走り回っている. 今日は他にすることもないので, 早く宿の塩釜温泉に

着いて,ゆっくり温泉につかりたいと思っていた. 最短距離で湯船,百合原などを

通って 高度を下げずに塩釜に行こうと思っていたのだが,まがりかどを間違え

歴史民俗資料館のある徳山まで下ってしまう. GSで道を聞き 間違いに気付いた.

 

あとは旭川沿いの県道を東進し,市木の交差点を左折して井川を登り返せばよい.

沿道に郷土資料館があった. 廃校となった校舎に民具などを展示してあるもの

らしい.

 

3kmほど登り返して養鱒場の隣の青い屋根が Sと落ち合う最終地点「塩釜ロッジ」

だった. 14:30

 

今晩は 清酒「真澄」をやっています. 冷やがうまいね.

 

MHH02276 お座敷サイクリスト

 

348/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 山陰TOUR(3) ブナの林のうまい水

( 4) 92/05/17 01:24

 

ヒトケ

塩釜ロッジは蒜山登山者用の大きな山小屋という感じだったが, 今は人気がない.

登山ブームの昭和30年代頃の建物だろうか? 青い大きなトタン屋根と外壁は石造り

である. 小さな開き戸を開けると,中は薄暗く, 管理人の老夫婦が迎えてくれた.

Sはまだ着いていない.

 

部屋は別棟で, 今 前を通ってきた茅葺きの民家である. この近くの農家を移築

してきたものだが, 電気,水道が通っており, 囲炉裏も使用可能ということで

よく整備されている.

 

庭に面した 日当たりの好い8畳間を割当てられる. 部屋のぐるりを縁側が取り巻いて おり, 今は人手に渡ってしまった鎌倉の生家を思い出す. 申し訳ばかりの庭も

よく似ている.

たてつけの悪い窓を戸袋にしまい, 繁った松の枝の間から漏れる午後の日差しを

楽しむ. 隣の部屋にはテレビがあり,そちらに移動してねころがりながらワイドショーなど

を見ていたが, 随分涼しく感じるので 布団を出してきて,毛布を被ってしまった.

障子を閉めてしまうと 陰気だし,外の景色も眺めていたいので 開け放ったまま

寝ていた.(ガラス戸がなかった)

 

実に充実した午後である. この昼寝により,かなり体調が回復した. 時間をもて余し

塩釜の湧き水やら 石彫公園のCAMP場を見物に行く. どちらも200メートルほどの所だ.

 

湧き水の池には 大阪,姫路方面から18lのポリタンを提げた人々が水を取りにやって きていた.いずれは下流で水道に出てくる水なのに, この山中まで水運びに来なければ

ならないとは…

 

石彫公園は 20年ほど前に両備バスが造成した 巨大な石の彫刻がゴロゴロしている

公園であり,同じ場所がCAMP場になっている. 公園の真ん中には一際 手のこんだ

「能舞台」のような作品が置かれている. 全体で使用した岩石は1000トンという事である.

 

CAMP場では 岡山理科大学のワンゲル部の諸君が 蒜山に登るべくCAMPしていた.

テントは 昔の三角テントではなく,風に強そうな多角形のものだった. エンジ色の山シャルで

統一している.

 

日の高いうちに 風呂に入ってしまう. 東京より少し日が長いようだ. 特にここ

数日 関東地方で晴れた空を見たことがなかったせいか 清々しい気分である.

冷泉なので 沸かし湯である.小さな風呂で 風情などないが 湯に漬かれば極楽.

涼風の入ってくる窓から 蒜山の白樺林を眺めて 長湯してしまう.

 

Sはまだ来ないが キリン ラガー ビールを散歩しながらいってしまう. 隣の養鱒場を

覗きに行く.2匹 猟犬がいる. ボクサーともう一匹 黒白の長毛の犬だ. ボクサーは雌で,

かなり人なつこい. 頬のにくが垂れ下がっている.その裏側は湿っていた.

私の手と股間の匂いばかり嗅ぎたがった. これは革グラブと革サドルのせいだろうか.

 

毛の長い犬は 人嫌いらしく, 日なたに気持ちよさそうに 寝そべっていたのに,

私が近寄ると 小屋の中にもぐり込んでしまった. ボクサーと遊んでいたら 手が埃に

なってしまい, あまり転げ回ると また風呂に入らねばならなくなるので 大抵に

して 部屋に戻る.

 

6時前, Sが到着.今日は大山寺の辺りから走ってきたという.既に一週間,山口市

から 三瓶,道後,などを走り抜け, すっかり日焼けしている.

ジンギスカン鍋で乾杯. 寒いくらいなので 熱燗である. 隣からニジマスの塩焼(\250)を

分けてもらい ジンギスカンに添える. これでもまだ足りず, Sが弁当としてもってきた

惣菜(フライドチキン, イカテン, イモテン等)を鍋の上で温める.

 

明日からの宿を手配して, 寝部屋に戻る. 少しテレビを見ていたが, 眠さに耐えられず 8時前に眠ってしまった.

 

 

※蒜山(ヒルゼン)・塩釜ロッジ: 電話 08676-6-3959

所在地:岡山県真庭郡八束村大字下福田字中蒜山

 

塩釜ロッジ パンフレットより:

 

春は山菜摘み,夏は避暑,秋は栗拾い,冬はスキーと,登山・ハイキングを兼ねて一年中

楽しめる. たっぷり自然を満喫したら,のんびり,情緒豊かな茅葺きの民家へ.

塩釜ロッジに隣接するこの民家は,移築復元された江戸時代のもので,ゆったりと

心和むひとときをお約束します.

 

料理:ジンギスカン鍋,鱒塩焼,蒜山そば,山菜料理,蒜山おこわ,地酒(銘柄忘れた)

ジャージー牛乳,冷泉コーヒー他

 

石彫公園,CAMP場が隣接している.

 

名水百選・塩釜の冷泉:ロッジより200メートルほど山際に入った所に湧き水の池が

できており, 岡山市に注ぐ旭川の源流となっている.(一度,湯原ダムに溜められて

しまうけれど) (駿河・三島の柿田川のようですが,人があまり来ない)

水質は池の周りに看板が立っていたけれど メモするのを忘れてしまった.

口に含んでみると, うまい軟水だ.

 

この池の脇から蒜山に向かう登山道がついている.

 

こんな事を書いていると また出掛けたくなってしまった お座敷サイクリスト

 

350/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 山陰TOUR(4) 緑濃い 美作(ミマサカ)の山

( 4) 92/05/17 01:32

 

 

5/2(土) 昨晩は随分冷え込んだようだ. 布団から起き出すのが辛い.

体の方は筋肉,関節とも充分休息できたようなのだが… 天気は少し曇りがちである..

 

朝食はロッジの方に移動して取る. たっぷり御飯と山菜の和え物など,納豆があると

よいのだが… 普段 納豆などあまりたべないが, たまにでかけて 卵かけ御飯ばかり

食べていると 納豆が欲しくなってしまう.

 

今日は2本の林道(美作北2号林道,美作林道)を越えて 約70kmをこなさなければ

ならない日である. 空模様が心配なので 急いで出ることにしよう.

 

蒜山高原を横断する県道を東に進み,国道313号に出た.北に向かえば 犬鋏峠を

経て倉吉へ,南へは旭川沿いに中国勝山へ. 国道を突っ切って更に先の西原で国道313号 に合流する.

 

曇空の下,中和(チュウカ)村・津黒より 美作北2号林道に入る. 林道とはいえ,国民宿舎

やらスキー場があって 車2台くらい走れそうな快適な道である.10:00

 

県境が峠になっており まだ舗装は続く.下って 大谷峠(900メートル?).

北の国道179号へ下る道が分かれている. ここから岡山県側がダートとなる.

稜線の南側を細かいUP DOWNを繰り返しながら下り,泉源(センゲン)には12:00に着いた.

 

昼過ぎには 二本目の林道に入っていなければならないと踏んでいたが,実際には

1/3くらいしか消化できていない. 意外と2号林道に時間をとってしまった.

休憩するのに良さそうなCAMP場が曲谷川沿いにあったので あずまや風の屋根の下で

ロッジで作ってもらった弁当を広げる. \500で作ってくれたが かなり多めに入って

いる.

 

生暖かい風が吹き 雨が降り始めた. 気温は下がってくる. 丁度 屋根のある所にいる ので 1時過ぎまで雨宿りする.今日は津山市の東側に宿をとってあったのだが,

この分だと辿り着けないという計算である. どこかで電話をみつけ キャンセルと宿の取り直 しをしなければならない.

 

奥津温泉に南下せず,人形峠方面に北上して,辰巳峠を経由して 因美線・用ケ瀬

方面に出て,明日の氷ノ山越えのアプローチを短くしようと考えてみた.

沿道に釣堀やら民宿などが点在するが, 連休のため休業(!)しており 人気もない.

雨が上がったので少しでも距離を稼ごうと,県立 奥津森林公園まで辿り着く.

不吉にもまた雨が降り始め, 合羽を着始めた. 13:50-14:10

 

ここの管理センターに暖炉があり 合羽を乾かす. 暖かくて居ついてしまう.

電話があったので 宿の手配をしてみる. 智頭の町で一泊二食\5000という所が取れた.

けっこう 連休でも取れるものだ.

 

宿は取れたがまだ 50kmも先だ. 雨はやみそうもないので合羽を着込んで,襟を立て

出発する. すんなり行けば 旧・人形峠(トンネルの上)に出るのだが,横着をして,湯の谷

林道・木戸線を下り上齋原(カミサイバラ)に下りる. この林道の上の部分は新設のもので

道はまだしっかり固まっていない. 15:20

 

国道179号沿いはかなり開けていた. 辰巳峠へ向かう道は向かい風が強く,雨あしが

強まり なかなか距離が稼げない. 靴の中がすっかり濡れてしまったが,ウールの靴下の

せいか ジクジクするものの冷たくは感じない.

 

16:30 辰巳峠(685メートル) 通りすぎる車も 先を急いでいるように見える.二輪は全く

通らない. ここから23km 佐治川沿いの下り道である. 雨の中 散漫な気分で下ると

転倒してしまう. と思っているそばから Sが転倒. MAFAC CRITERIUMのブレーキは

雨の際 全く当てにならない.(昔は吉貝の小さな赤いシューのやつより ましで使って

いたのだが)

 

合羽の数カ所が破れたようだが 怪我はなさそう.かまわず進む. 佐治川のダムで

Sを見失ってしまう. 一本道なので気にせず走るが 智頭には私が先行してしまった

どこで追い抜いたのかは不明である.

 

周りも見ず 用ケ瀬まで下ってくると 夕日が見えてきた.国道53号「智頭街道」である. Sが先行したものと思い, 周囲を探してみるが いないので夕日が眩しい国道53号

を最後の頑張りで登る. 17:30

 

途中 智頭トンネルという1kmほどの 交通量の多い 登り勾配の嫌なトンネルがあったが

これが最後で 18:00には智頭の町に入った. 鳥取市に注ぐ千代(センダイ)川の上流と

いえばいいのか.

 

かなり大きな町で 商店街も充実している. 岡山県佐用(サヨ)に通じる智頭線の

軌道が高架でできている. 第三セクターで開通するという事である.

 

河内屋旅館という所なのだが, 商店街の中にはなさそうで, 薬屋で日焼け止めを

買いつつ 道を尋ねると 川向こうということだった. そこはすぐに見つかった.

宿にもSは着いていない.

玄関先まで 小さな柴犬と年のいった女将一人が迎えてくれた. 18:30 まだ明るい.

Sの到着を待たず 風呂に入れてもらう. 何せ 体が冷え切っていたのだ.

連休のため(!) 客は我々だけだった. 部屋には炬燵があり,助かる.

 

風呂からあがると 丁度 Sが着いたところで 用ケ瀬の交差点で20分ほども待った

と憤慨していた. そこをなだめ 今日も無事を祝いつつ ビールで乾杯.石油ストーブを

全開にしつつ.

\5000の宿ということで,料理に期待していなかったが,海の幸が豊富であった.

小鯛の塩焼,イカソーメン(新しくて 仄かに甘い),イカの甘煮,天然はまち(養殖ものより

少し黒みがかっていて 身が硬い),甘エビなど たべきれないほどだった.

 

満腹して お茶をいただいていると, 女将に留守を頼まれた.何でも 鳥取まで

カラオケをやりに行くというのだ. もう迎えの車が表に来ている.

我々は生返事をしながら 女将を送り出した. 何とも 悠長な宿屋である.

サイクリストに悪人はいない,ということだろうか?

 

別室のソファの上でうたた寝している柴犬(14歳 雌)を構いに行って,噛みつかれたり

しながら 女将の帰りを待っていると,玄関に飛び込みの客が来た. 8時ころ

 

我々は浴衣がけで 寒いあがりかまちで応対したが, 他に宿がみつけられない

という事なので,上がって 火に当たってもらうことにした.

40がらみの男女であったが,自動車ではなく,姫路から汽車で来たと言っていた.

夫婦でもないし,(結局 二部屋とった) 怪しい二人ではあった.

 

だいぶ 長くなってきたので 次へ続く… お座敷サイクリスト

 

354/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 山陰TOUR(5) 鄙びた宿に,夜の珍客

( 4) 92/05/18 07:40

 

さて,まだ5/2の晩の話が続いている. 智頭の宿の女将が夜遊びに出ている間,

飛び込みの男女二人連れが上がり込んできたのである.

 

私とSは茶の間で 彼らに茶を出した. 女の方は気をつかっていたが,男の方は

傍若無人といった風だった. 二人は姫路から汽車でやってきたといい, 40がらみで

男が無茶な事を言うのを女が諭し,なだめていた.

 

男が言うには 自分は自衛隊にも勤めたことがあるが, 体を壊し 今は病院暮らし

であるとのこと. 今日は外出許可を貰ってやってきたのだという.また彼の言う

汽車賃がばかに安いので 何故か?と問うと,身障者手帳を持っており, 汽車賃は

8割引になるのだという.

 

また 姫路−東京間の距離を2,600kmと言ってみたり,東京の寿司屋の名前を挙げて

批評したり(『江戸っ子寿司』と言っていた. 同名の寿司屋チェーンが神田界隈にある)

どうも奇妙である.

 

女は昨夜 2時間仮眠しただけなので 疲れた と言っていた. 彼の付添い看護婦

なのか? と訊いてみたが 違うという. はてさて と この不可解で話好きな二人の

たわごとに うなづきながら 夜は更けていった.

 

11時20分ころ 漸く女将が帰って来た. 鼻唄まじりでごきげんである. 我々は

玄関まで迎えに出て 足取りのおぼつかない 女将を土間から引き上げた.

女が無断で上がったことを詫び, 部屋を用意してくれるよう丁重に頼んだ.

 

女将は驚いていたが, 嫌な顔もせずに ふらつく足で二階に上がり,布団の用意を

始めた. 我々も手伝おうとしたが プロ意識に徹した 女将は一人でやってのけた.

どうやら 落ち着いたようである. 遅い風呂をつかい, 二人は別々の部屋で休んだ

のだった. 男は早速 いびきをかき始めた.

 

我々は12時過ぎに 部屋に戻り 彼らの素性を想像してみたが 眠気に勝てなかった.

 

だいぶ脱線してしまったが,5/3,4はハイライトの大通峠と,氷ノ山越えです

 

お座敷サイクリスト

 

 

355/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 山陰TOUR(6) 気分爽快 中江大通林道・大通峠

( 4) 92/05/20 00:33

 

 

5/3 今日はよく晴れて 寒い.

 

昨夜は12時頃に寝ついたのだろうか, 襖一枚隔てた ゴタクおっさんの鼾が

うるさかったが 雨の中の走りで消耗した我々は 寝返りを打つこともなく 眠り続け

たのだった. (ホンマ カイナ?)

 

飲み足りなかった私は ねしなに サッポロ麦酒 冬物語をぐびぐびっとやって寝たので

尿意で起きたのだった.

 

朝食にも感激した. 昨夜も出た小鯛が開きになっていた. アジの開きとはまた

違って 薄い塩気が食欲をそそる.

 

9時 国道373号を志戸坂峠を目指して走り始める. 智頭が200メートルほどあり,志戸坂

トンネル入口が581メートルなので 400メートル近く16kmほどを1時間で登ってしまった.

この日がいちばん 脚が回っていたと思う. 38 X 17,20,23 をクルクル回していた.

 

志戸坂トンネルは1.6kmほどある. トンネルの中の排気を嫌って 旧道を探して登ってみる.

旧トンネルは金網で封鎖されており,通過不能. 更にダートのハイキングコースをSが偵察する

が担ぎの道になっていたようで 諦める. この探索のために40分費やす. Sは

ゴーグルを落とす.

 

結局タオルで覆面をして トンネルを通過.岡山県西粟倉村の日差しが眩しい. 11:00

大茅から兵庫県千種町に抜ける. 公営宿舎 ヤマメ荘を過ぎる辺りから勾配がきつくなる.

大茅スキー場のゲレンデを縫って林道が標高を稼ぐ. 舗装の道が吉野川の源流分岐まで

続く. 若森峠の方へ舗装路が続いているが, この道は途中で行き止まりとなって

登山道になっているのだ.

 

東へ折れて岡山・兵庫県境へ向かう. この道は新しいダートの林道である. セダンの四輪 もけっこう入っている. ところが 峠の50メートルほど手前で 建機のバックホーが道を跨いで

腕を延ばしており 四輪は通過不能だった.モーターサイクルと自転車のみ通過する. 12:00

 

千種側も2kmほどはダートだった. 千種高原スキー場は 大茅のように閑散とはしておらず

四季を通じて楽しめる観光地だった. 林道の出口に「ラドンの泉」があり, 取水に来る

人だかりができていた. 大きなレストハウスがあり かなり賑わっていた.

 

ここから 鍋ケ谷CAMP場を経て 千種川沿いに500メートル 颯爽と下る. 大通中江林道の

起点 川井は標高500メートルくらい. 13:30

下りの後は 登りの苦しみが待っている. しかし,今日はそれほど きつくない.

汗は間断なく流れ, 清々しい気分である.

 

三室CAMP場へ向かう道は舗装されているが, 分岐から林道はダートとなった.それでも

所々コンクリで固めてあり 杉木立の中のアプローチは涼しい.

 

なかなか オーソドックスなダートで 楽しめた. 多少ガレた所もあり 押してしまったが

頑張れば 乗っていける筈だ. 上から駆け下りてくるMTB 4台があった. ヘルメット,エルボー

パッド ニーパッドなどをつけて本格的だ. 小石をはね上げながら 豪快に走っている.

こういう使い方をされるMTBは幸せだ,としみじみ思う.

 

15:20 大通峠(1000メートル)に到着. 峠の北, 鳥取県側は 杉林が皆伐されて 禿山に

なってしまっている. また 作業道が縦横に走っていた. ダートは峠から1kmほどまで

真新しい舗装路が登ってきていた.

加地川をひたすら下り,国道29号に合流.姫路と鳥取を結ぶ主要道路だが それほど

交通は激しくない. 八東川を下り 若桜(ワカサ)の町へ走り込む.

 

今日は若桜の祭礼の日であった. 竜の舞と,上から下まで赤い装束で

能面をつけ, じねんじょのような形の杖を振り回して愛嬌をふりまく「酔っぱらい」

の役割の者が奇妙だった. 神輿は関東でも見慣れたものだったが, 山車は,乗っている

モノが創作で なかなか面白かった.

 

町中に 地酒「弁天娘」の酒造場があり 2合瓶を買ってみる. 空きっ腹で 生酒をきいて みると,のど越しが滑らか,PUREな酒だった. 鳥取は米は佳いとは思えないが

水は随分 美味いようだ.

 

明日の氷ノ山越えを考えると 若桜町内で泊まるのが最適なのだが, 祭りのため

宿がいっぱいなのだった. 山里には珍しく 若者が町に溢れていたのは 大阪・神戸

姫路辺りから帰省していたのだろう.

 

6kmほど川を下り,若桜鉄道・たんぴ駅前の谷口旅館に宿を取る. ここは Sが

3年前に泊まった 旅館が新装した所で 建材の匂いもまだ残る 新築で, これで

\5,000でいいのだろうか? と疑ってしまったものだった.(但し 夕食にハンバーグが

出たりした)

 

マンネリ気味になってきましたな

しかし, 大通峠は 信州の名のある峠に匹敵しますよ お座敷サイクリスト

 

367/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 山陰TOUR(7) 氷ノ山・扇ノ山の林道

( 4) 92/05/31 00:00

 

 

5/3 鳥取県・八東町の谷口旅館(0858-84-3045)に着いた我々は,青い畳の上に

寝転がった. 妙に新しい建物で落ち着かない気がするが,廊下など広くて自転車で

走り回れそうだ. \5,000で本当に泊めてくれるのか 不安になるくらいの丁重さで

迎えられた.

 

少し肌寒いが 畳の上でうたた寝してしまう. 窓からは 扇ノ山の南西稜の山々が

緑濃く 眺められる. 宵闇と共に,霧が下りてきたようだ.

 

夕食は はまちとイカの刺身 これは定番だろう. そして,サザエの壺焼き,ツブ貝の

煮付け,とハンバーグで増量効果を狙っていた. 小鯛の方が断然良かったのだが…

贅沢は言うまい.

 

布団を延べてもらい, 雑誌など読んでいるうちに 眠ってしまった.

 

 

5/4(月) 今日は長年の懸案だった「氷ノ山・東因幡林道」,「扇ノ山・河合谷林道・

海上林道」を走破する日である. 何本もの林道を繋いで走るので UP DOWNとダートの長さ が予想された. 8:50発

 

今日は弁当を作ってもらっていないので,ピン食を手に入れなければならない.

宿の裏手にあったパン屋で乏しい選択枝の中から マドレーヌ等の甘い菓子を買う.

若桜までは難無く戻り, 舂米(ツクヨネ)川を遡る.

「春」という字の「日」が「臼」になっている

 

茗荷谷にダムができており,ダムサイトまでぐいぐい登らされる.この後も民宿街

のある舂米まで細い道ができており, 氷ノ山スキー場までいっきに登る.

 

ゲレンデまで来てしまうと勾配はほとんどなくなる. 斜面の見晴らしがいいところに

YHがたっている. 水色のユニフォームを着たガールスカウトの少女たちが, YHの前庭で合唱(?)

演習をしている.

 

雪もないスキー場だが,ドライブに来ている車がけっこうある. 西南の若桜側の眺めが

素晴らしい. ゲレンデの上側にも民宿がかなりあり, 最後の「峠の茶屋」の辺りから

ダートとなる.

この茶屋には孔雀が飼われており,特徴のある鳴き声をあげていた.

(「豆スナック」の「マメ〜ッ」という叫び声によく似ている)

 

またここには 水場がある. 林道上にもけっこう水場はあるが,水道水はここが最後

となる.

 

茶屋から平らな道を1kmも行かないうちに「氷ノ越」 1000mほどの峠である.

ここから 兵庫県に入る「桑ケ仙林道」と,鳥取・兵庫県境に沿って北西に進む

「東因幡林道」に分岐している. 11:20

 

今回は「東因幡林道」を行くことにする.

ほぼフラットで 走りやすいダート.道幅は狭い. ゲートが下りているが 構わず進入する.

私たちと一緒にアコード・インスパイアの人が旋回もできない この林道に入ってきた.

進む速度が同じくらいなので鬱陶しい. またこの人は ウドなどの山菜を見つけると

車を停めて スコップでほじくりかえしており,なかなか進まないのだった.

しかし, 徐行して林道を進むうち,路肩の藪の中から山菜を見つけ出す「眼」の

確かさには感心した.

 

前方からランクルがやってきて,斜面に寄せて停まっているのだが, 今にも道側に

転げてしまいそうなきわどい角度になっている. 四輪に付き合っていられないので

先を急ぐ.

 

この山はブナの原生林である. 落葉樹の新緑の色は鮮やかで,杉林を見慣れた

我々は ウキウキした気分になる. ブナのためだろう,水がうまい. 湧き水を

見つけると, いちいち口に含んで試していた.

 

稜線に近いせいか 風が強い.かなり涼しい風.

道は細かいUP DOWNを繰り返し,なかなか先に進んでくれない.

 

尾根の脹らみのような陣鉢山を南西に見て,八東川に注ぐ来見野川の源流を

いくつか通過する.

 

畑ケ平林道への分岐を過ぎたあたりで CAMPING車のグループ 5台に出会う.

扇ノ山への登山道の入口でたむろしていたので, 声をかけると, 鳥取大サイクリング部

だという. 1泊2日で扇ノ山登山を兼ねて 東因幡林道,扇ノ山林道,河合谷林道を

走っているのだという. CAMP装備で この長い林道をこなすとは 若さのなせる業か…

 

昨日 氷ノ山CAMP場で露営した彼らは今日中に鳥取市に戻るのだ,言っていた.

河合谷林道から雨滝街道に入り,西へ進んで 30kmほどの道のりを走るのだという.

 

無事を祈りつつ 別れる. 若桜・八東・郡家(コオゲ)・国府の町の境を越えるごとに

小さな峠があり,各々の境の間には 沢沿いの林道がついている.

ときどき 舗装の路面が現れるが それも長くは続かない. 時間は刻々と過ぎていく

鳥大サイクリング部の面々とは 抜きつ 抜かれつで 喋りながら 進む. 丸石のランドナーが3

台,MTBが2台.

 

さて 我々の今日の目的地は 兵庫県美方郡浜坂町である. 鳥大と一緒に河合谷

林道を下りてしまうと,雨滝街道を北上し,十王峠経由で国道9号に出て,蒲生峠を

トンネルで抜け…という道のりになる. この蒲生トンネルが曲者である. 長いトンネルは

回避したいのだ. そこで 河合谷林道から新しく派生した「海上林道」というのを

通って 蒲生トンネルの東側に下ってしまおう,と考えていた.

 

天神池の上を通るらしいその道への分岐を探しつつ,我々は上山高原に迷いこんで

しまっていた. 1000mほどの高原地帯は八ケ岳の八千穂あたりを思わせ,レタス畑には

10センチほどの雪が溶け残っており,冷たい風が吹き荒れていた. 17:00

 

林道だと信じて 上り詰めていくと, 踏み跡のない雪道に入りこんでしまい,

途方にくれた. 空は晴れ渡り, 日はまだ高い.

遙か彼方にに日本海,鳥取砂丘と鳥取市の湖山池が望める.

 

枝道が多く, 先へ進まない. 突然山影から 地元青年っぽいバイク集団が現れ

目の前の道を下っていった. これが本線であろうと付いていってみると,

河合谷林道に出会ってしまった. Sと二人して顔を見合せ,そこでバーベキューを

していた家族連れに海上林道への分岐はどこか,と詰問する.

地元の人も知らないようだった.

 

諦めて 雨滝街道・蒲生トンネルコースに変更しようと 舗装になった河合谷林道を下り

始めると,Sは道端でたむろしている 車の若者たちを呼び止め, 尋ねてみた.

すると ちょうどそこが 海上林道への分岐点だった.

わかりにくい切り通しであり, 下りの途中にあるので見落としやすそうだ.

新設の林道というわりには 道標は古ぼけていた. また 分岐に標識らしいものは

なかった.

 

海上林道は上山高原の桂の滝より上流の池を巻いて,布滝を経由,海上に至る.

路面はバラスも多くなく,走りやすい.

海上の集落は小さく,牛を名物にしているようだった. 民宿などもある.

兵庫県として 上山高原を観光資源にしたいらしいが, 海上林道を通って車を

登らせるのは無理があるようだった. 高原自体は素晴らしい景観なのだが…

人しれず 静かなままの高原であってほしい.

 

海上から5kmほど下りバス通りの県道に出る. 霧滝に登る道だ. ここからは

Sにとっては二度目の道となる. 気分のよい下り道を快走する.国道9号に出ても,

交通量はそれほど増えず, 更に距離を稼ぐ.

 

湯村温泉に近い温泉町の出合橋分岐で,少し渋滞していたが ものの数ではない.

岸田川に沿って浜坂までの道を急ぐ.

 

今日の宿は 七釜(シチカマ)温泉の「安楽荘」という古い旅館. \7,000である.

浜坂町内に入ると,ほぼ平らになる. 景色は青森・弘西林道の出口に似て, 河口の

両側まで低い山が迫っている.

 

日が暮れかかった 19時, 宿に着いた.

ずっと探し続けていたOASYS POCKETとFDD を繋ぐコード を自転車部品のガラクタの中から

発見した。 これで漸くポケットで書いた文章をUPできるぞ。

 

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 ついにNさんから OASYS POCKETを譲ってもらってしまった。

これをTOURING に持っていって、記録を帰りの列車の中で仕上げてしまおうという魂胆である。 これくらいの遣い勝手だったら、電子手帳のようなフラストレーションはないだろうな。 やはり ミスタッチは多いけれど…

いちばん心配なのは 電池がどのくらいもつか…ということ。ニッカドの電池も

買ってきたけれど…

 最終日がやってきた。 だいぶ間が 開いてしまったがここでキメてしまいたい。

奥丹後自動車道を行く。UP DOWN の続く道でなかなかきついが、こういう所が概して

風光明媚なのである。 余部鉄橋の下には 列車転落事故追悼の観音像が立っている。

 

 鉄橋の直下には今だに 喫茶店などがある。 鉄橋をくぐると 道はすぐに山あいへ

入っていく。 少し余裕をもってゴールの城崎に到着。 湯をつかって、食購し、特急に乗り込む。駅には尼崎のサイクリングクラブ の人々(かなり年齢が上だった)が10数人おり、

挨拶を交わしたりした。

 

 京都で新幹線に乗換。 混雑を避け、グリーン車の通路にうづくまっていたが、車掌に

追い出されてしまった。 座席ではウエイトレスに水割りなどを運ばせて 大声で騒いでいる

ゴルフ 帰りの連中がいた。 資本主義社会のひずみを目の当たりに、フツフツと恨みがましい

気分になってきた。 その後、ビュッフェ に至る通路に新聞紙を敷いて 社内販売のワゴン に脅かされながら、東京の現実の世界へと引き戻されていくのだった。

 

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