箱根峠->静岡 中途撤退記(1991/12)

 

東海道中膝栗毛を道半ばにして,帰ってきてしまったお座敷サイクリストでございます。

まずは順を追って ご説明致しましょう…

 

12/29(日) 珍しく寝坊もせず, 意気揚々と新宿発 7:31の小田急・普通急行に乗り込む.

9:10 箱根湯本着. 小田原−箱根湯本間は 標準軌の箱根登山鉄道と同じ線路を

小田急は走っている. 小田急は狭軌なので,3本レールになっているところが

珍しい. 車体の小さな登山列車が標準軌で,図体のでかいロマンス カーが狭軌の

上に載っているのも 滑稽である.

 

この区間,カーブもきつく 軋み音を発しながら,100メートルを登って箱根湯本着.

 

風は少し 冷たいが,天気は上々. よいサイクリング日和だ.

既にTさんが自転車を組上げて,荷物を付けようとしているところだった.

前サイドバッグを付け, 後ろは上だけだが,かなりの大荷物だ.冬にCAMPをやると

なると,これだけの量になってしまうのだろうか?

 

私,お座敷サイクリストの装備はテントとストーブ関係をTさん, Kさんに頼り

寝袋と食器くらいしかないので,いつものパスハンティングの時と変わりません

 

Kさんが,小田原からウオーミング アップのために自走してきました.

4サイドで持ち上げられないほどの荷物です. さすが 百戦錬磨のサイクリスト

 

何やかやで出発は10:30になってしまいます.

旧東海道で箱根峠を登ろうというので,少し小田原方へ下り,早川を渡って

旧東海道に入ります. いきなりの急坂に目覚めていない足の筋肉がピクピクしま

す.

 

TさんはFRAMEのウイップに悩まされている模様.

東海道53次をRUNNINGで走り通すという人々を追越します.彼らは何人くらい

いるのだろうか, 2,3人のGROUPで走ったり(殆ど歩いていますが)してます.

 

皆,D PACKの上に「東海道53次RUN」のゼッケンを付けています.

(彼らとは 翌日の静岡駅でも逢った)

 

箱根新道と並行した道ですが,交通量は圧倒的に少なく,自転車向きの道

杉並木も好い風情です. いやなのは勾配の取り方が急だという事かな?

 

少し,2人と離れてしまったので,古道(これがほんものの東海道,今は

ハイキング コース)の入口で待っていると, TさんでもKさんでもない人が,

自転車を押してきます.

 

その人が追いついたところで聞いてみると,茅ヶ崎から四国の高知まで走る

のだとか… ALL ROUNDER BARのプロムナード車で4サイド.CLIPはなし.

何とも すごい,と思いました.

 

輪界の常識に毒されていない,というか… 前ギアは3枚ついているのですが

ミドルのままにして 押していたのでした. その人とは 1.7km先の畑宿で昼食で

も一緒にしよう,と約束して 先を急ぎます.

 

11:30 畑宿の寄木細工の土産ものや兼食堂にはいります.まだ走り始めてから

4kmしか進んでいないというのに,もう昼食. とろろそば,山菜定食などを

頼みますが,いまいち量が足らず, 燃費の悪いKさんは 箱根峠越えの時

HUNGER KNOCKに悩まされ, QUICK QUENCHのガムで頑張りました.

 

食堂の窓の外を眺めると,小雪が舞っています.随分寒くなったのだなあ

と思いつつ,今日の宿を心配します. こういう食堂の土間にでも寝かせてくれ

たら, 最高なんだが,と思いました.

 

茅ヶ崎の彼は,今日 静岡辺りまで行ってしまいたい,と言ってましたが,

あと100kmを残し,もう昼です. 日照は4時半くらいまでしかないのだから

到底不可能と思われましたが, どうしたのでしょうか?

 

12:30 お互いの無事を祈って 出発.

 

七曲がりのあたりでは,10%の坂と向かい風の中の降雪に悩まされました.

しかし,それも 長くは続かず,甘酒茶屋で長い休憩

 

13:00 甘酒茶屋は旧東海道にポツンと一軒だけ建っているのですが,バス停も

あり,観光ポイントとしてなかなか繁盛しているようでした.

 

外は寒いので,薄暗い 茶屋の中で3人の到着を待っていました.甘酒がうまそう

ですが, \300と高い. 袋入り4人前\500というのを買って,生姜を貰い,Tさんの PRIMUSで自作しました.

 

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115/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 東海道中膝栗毛・中途撤退記(2) お座敷

( 4) 91/12/31 15:49

 

 

AUTO COMの文書はあまり長くなると (60行程度?) 自動的にFD書き込みが起こって

しまうので ちょっと厄介であります. まあ 300行,いっぺんにUPするよりは,

この位の分量の方がいいのかな? と思ったりもしますが…

 

さて,生姜入りの美味い甘酒を飲んだ我々は コッヘルをロール ペーパーで拭き,再び

出発. 旧東海道・最高地点のお玉ケ池付近(786メートル)では 先程の雪のためかなり路面が 濡れています.

 

下って,芦ノ湖畔(725メートル). 観光バスと外人観光客が多い. 暮れだというのに芦ノ 湖はなかなか賑わっています. Tさんが箱根の関所を見たことがない,というので

ちょっと寄り道. 単に門が立っているだけのところですが, 資料館やら,関所の

中に人形がいたりして観光地しています.

 

箱根峠(846メートル)までの登りは,交通量は多いものの路肩が広くとってあり,快適

に登れます. 箱根の外輪山越しに見える富士の嶺は真っ白に雪化粧していました.

 

峠付近で,箱根新道と交差する箇所がちょっと怖い. こっちがヒイコラ登っている所へ

左から新道の車が合流してくるのです. 合流区間がだいぶ長く,左右両方から追い抜 かれて 生きた心地がしません. それでも峠に着くと,風は強いながらすっかり晴れて

清々しい雰囲気です.

 

14:00 - 14:30

 

峠が交差点になっており,見晴らしのいい 安全地帯の車止めの上に腰掛けて

2人を待ちます. 吹きさらしで寒かった.

 

Kさんは,さっきも書いた通り,まさやん現象(=HUNGER KNOCK)に悩まされたとい

っていました. 寒い時は充分にカロリーを確保しなければいけないのですな. ジっと

しているだけでも,消耗しているものです.Tさんは始終 紅茶飴を嘗めていました. さて,峠を越えると,三島までの18kmの豪快な下りが待っています.国道1号なので

極端なカーブや勾配はないし,年末とあって,大型車は殆どいません. 手がかじかむので

握ったり開いたりして,血行を促しながら下ります.

 

富士山と田子の浦湾を一望するポイントで記念撮影. 伊豆半島の西側ではよく晴れて

いて, 雲一つありません.

 

三島市内に入り,テント場になりそうな所を探しながら,とりあえず駅へ.楽寿園という

公園がテント場に適当かと思っていたのですが,有料の公園でしかも年末休業ということ

でした. 結局,駅から近くて 静かな住宅地の真ん中にある「こも池公園」にします.

 

16:30くらい 水とトイレがあり,人通りは少なく,最適な場所でした.

 

夕食は外食にするか,などと言っていましたが,テントの中で暖房兼用で調理をした方が

暖かいだろう,とコンビニでおでん鍋,モツ煮鍋,レトルト御飯などを買い込み,済ませてしま

います. Tさん,Kさんのストーブを両方点けるとテント内は蒸れてくるくらい暖かに

なりました.

 

レトルト御飯は戻し方が難しく,餅状になってしまいましたが,なんとかいけます.

鍋から水を掬うのに 『おたま』が必要だ,という事を忘れていました.

 

7時にはお茶も飲み終え,ストーブを消すと,急に冷えてきますから,明日の日程について

K子姐さんに電話をかけて 早々にシュラフに入ってしまいます.

シュラフの中は暖かい. 頭もスッポリ覆って紐を引くと,蒸れてくるくらい.頭を出して

寝ます.

 

夜中にアベックの声やら,酔っぱらいが隣家の犬に吠えつかれていたりして,なかなか

賑やかな夜でした.

 

空気は清浄ですが,駅前のOPPEN化粧品やら,α-1ホテルなど,周囲の明かりで☆彡はあま

り見えなかったようです.

 

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116/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 東海道中膝栗毛・中途撤退記(3) お座敷

( 4) 91/12/31 15:53

 

 

12/30(月) 6時半くらいから 明るくなってきました.おしっこはしたいけれど,

外は寒そうだなあ…と思っていると,隣のKさんのテントからラジオの音と,ゴソゴソ

やっている音が聞こえてきます.

 

意を決して ,上半身を起こし,テントの入り口のファスナーを開けます.(~。~")ウウム。日差しが

眩しい. 視界がはっきりしないので,水飲み場の水をまぶたにチョンチョンとつけます.

(顔を洗ったつもり)

 

シュラフの胸の部分が,吐いた息のためにだいぶ濡れています.乾そうと思ってベンチに

被せておいたら,却って凍ってしまいました.

犬の散歩に来たおばさん達に聞いてみたら,今朝は-3度まで冷え込んだそうです.

自転車をたてかけたおいた木の回りには6センチくらいの霜柱ができていました.

霜柱を見るのは久し振りです.

 

朝食はレトルトの鮭粥のみ. 足りないのは明白なので,早く駅に行って蕎麦でも食おうと

言いつつ,この粥と紅茶などでおざなりの朝食を済ませ,PACKINGにとりかかります.

 

テントを畳まねばならない二人はなかなか時間がかかり,K子姐さんとの約束の9時丁度

くらいに「こも池公園」を出発.

 

******************************

 

9:05 三島駅にて K子一家と合流. ご主人(ルパン氏?)は往年の加山雄三を彷彿とさせる

美男子でありました. K子姐さん ナカナカ ヤルノウ!

 

(今日はお子さんと一足先に車で帰省するとのことで,新車に白文鳥の籠をのせて

別行動です.)

 

K子姐さんは,白いヘルメットに赤いウィンド ブレーカ, 自転車用にはもったいないような

タータン チェックのパンツという,決めようでございました.

PINKのPANASONIC LE MAILLO とよく合っていますな.

ちょっと,自転車を貸してもらって乗ってみると,(K子姐さんと私はサイズがほぼ同じ) かなりハンドルが近く,前上がりになっていましたが,荷物を満載したCAMPING車

から乗り替えると, 雲の上を歩いてるみたいに軽いのでした.

事実, 我々は走行中ずっと,K子姐さんの後塵を拝したのでございます.

 

さて,慢性的HUNGRY状態の我々は駅蕎麦を探しますが,ない! HOT DOGなぞを売って

いますので,これでごまかします. 道中,早めに7-11などを見つけて食糧を調達せ

ねばなりません.

 

三島市内を抜けるまで,狭い道をバスと並走したりして,気を使います.

伊豆急・三島広小路駅の南側踏切を渡り,国道1号に合流.

ご主人の車に信号待ちの時,追い越され,手を振って別れます.

 

八幡交差点から県道380号(旧国1通り)に入り,やっとお喋りしながら走れるような

状況になりました.時速22-23kmで巡航していますが,K子姐さんには物足りない様子

代わって牽いてもらうことにします.

 

沼津の駅前を通過し,千本浜の旧東海道へと入っていきますが,ここは防砂林の

内側なので,まったく海が見えません(九十九里浜の道路と同じ状況ですな)

 

適当な所で浜の方にでると,堤防の上が立派な道路になっており,富士,愛鷹,伊豆

半島が間近に望め,絶景です. 記念写真を一枚. (^。^;)ヨホホホ アシタカ

 

HYPALONの合羽の中が蒸れているので,脱いでしまいます.

(これが 仇となってしまった. 発熱の原因ですな)

 

堤防の上は多少,風があって寒いけれど,予想された強い西風は全くなく快適その

ものです.富士山の西斜面の滑らかな曲線を愛でながら時速20kmで和やかに並走し

ます. ここでもK子姐さんは足が余っている様子.

 

気分よく走った走った千本松原の堤防上道路も10kmほどで絶え,田子の浦港付近で

ちょっと迷います. 富士由比バイパスに乗ろうとしますが, 入り口まで行って

自転車通行禁止の看板を見て,国道1号に戻ります. この辺の国道1号は路肩も狭く

年末の閑散期でなければ,走りたくない箇所でありましょう.

 

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117/754 MHH02276 お座敷サイクリスト 東海道中膝栗毛・中途撤退記(4) お座敷

( 4) 91/12/31 15:58 コメント数:1

 

 

荒田島の辺りで国道1号に戻った我々. K子姐さんに牽いて戴いて進みますが,何か

PACEが上がらない. KしんはHUNGER KNOCK. 私もそうだ,と思っておったのですが

どうもこの時点で 寒気にやられていたのですな.

クグ

身延線の線路を潜ったあたりでどうにも走れなくなってしまい,K子姐さんに

SNICKERSなどの非常食をいただきます.

 

富士川を渡ったところで昼食にしよう,と言っていたのですが,目の前の7-11に

入ってしまいます. 銘々食購して, 腰を下ろすのに適当な場所を探しながら前進

すると,あっけなく富士川を越えてしまいます.

 

12:30 - 13:30

富士川西岸で 昼食. 東名高速越しに富士山がぐぐっと迫ってくる絶景の地です.

川岸にfamily martがあってなかなか便利な所です.

 

何か腰の辺りがだるく,マットを敷いて寝そべってしまいます.

Tさんのストーブで紅茶を作っていただきます.

各自,弁当やらオニギリを食べます. KしんはESCAなどでよくみる鯖缶とマヨネーズを混ぜ

た物を食パンに挟んだ「専修大学サンド」をうまそうに頬張っています.

センダイ

私は水分がほしくて,桃ゼリーを買ったのですが,ここでは開けませんでした.

 

K子姐さんが年齢の話をしますが これはヤブヘビ. \(^o^")/ワッハッハッ!

 

ここから先はあまり面白くない道.東海道本線と並行して走り,海岸に出るとバイパス

と並行し,排気ガスを吸いながらガラス片の散らばった道をひたはしります.

 

興津の静清バイパスとの分岐点で一本立て, ここで私はWAIST BAGを忘れて引き返す

旧国道1号により内陸に入っていきます. 清水駅前を通過. 南国的雰囲気のある都会

ですな.

ネグラ クサナギ

K子姐さんの今日の塒である草薙駅付近にて別れます. この時,私は「明日,走れる

かどうかわからない」などと弱気な事を口走り,それが現実のものとなってしまいまし

た.

 

再び傾きかけた太陽に向かって走り出しますが, どうも調子がおかしい.静岡鉄道

春日のあたりで,一旦休止. RETIRE宣言をします. まあ,私がいなくなっても,何も

共同装備も持ってないし, TさんとKさんの行程に影響ない訳ですが…

 

冬の野宿.一晩で熱出した,なんて どうも様になりませんからなあ…

実体は,寒気に当たった1時間くらいが仇となったのです.

中の蒸れない合羽,(=GORE TEX)の必要性を 痛感したのであります.

 

RETIRE宣言をすると,急に気分が楽になってしまいました.

 

16:00 静岡駅に到着. 東海道53次RUNの面々が駅名標の回りにたむろしています.

自転車をばらすのも億劫ながら やらねばなりません. 荷台を外すのが特に面倒

TさんとKさん,今日のサイトは,明日の合流地点 国道1号が安倍川を渡る

駿河大橋まで行くのでしょうか? だとしたら,日が暮れる前に少しでも進んでおい

た方がよいのでは?

 

なんとか,輪行袋に自転車を押し込み,記念撮影をして 私は改札をくぐります.

二人には, 明日走る K子姐さん,お嬢さん,Nくんなどによろしく,と言って

別れました.

 

車中では,お茶などを飲んで過ごしました. ちょうど,東京まで直通の電車が

あって(鈍行)助かりました. 輪行袋を担いで階段をのぼりおりするのが辛かった

もので…

 

帰宅したのが 21:10くらい. 早速熱を計ってみると,38.0度 (~。~")ウウム。

すぐ寝てしまいました.

 

12/31 10時ころ 起きて,アクセス 熱は下がっているようです. 会津の山に1/2から行く

LEADERに電話して状況を伝えます.

 

午後になっても 熱は出ないようですので, 「東海道中膝栗毛・中途撤退記」を

綴っておりました. (~。~")ウウム。 締まらない 年の暮れじゃな

 

皆さんには よい 年を お迎え下さいまし

 

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