〔新潟ファンクラブ・実りの新潟 体験ツアー〕(1990?/10)

 

 今日は目先を変えて,バス旅行の話です.

 発端は朝日新聞の春先の広告「『新潟ファンクラブ』に入りませんか?」

 というものでした. これは,新潟県農林水産部/新潟県ふるさと産業振興協議会

 の出したもので,

 

 入会資格は,1.新潟県外の出身で且つ県外居住者

       2.新潟県と本人との関係を作文にして提出すること

       3.新潟県産品を愛好し,周囲に普及する意思を持ち,実行する者

 というような感じだったと思います.

 

  で,私自身は,上越市(直江津)に1年半ほど住んだことがあり,そこの風土・人情

が非常に気に入っていたため,その思い出などをしたためて,投稿したのです.

 

 すると,数週間して  入会通知と,会員番号16の カードが送られてきました.

 9月には事務局から 梨と,チューリップの球根など数点の特産品を送ってきました.

 そして,10月27〜28日『実りのにいがた体験ツアー』ということで,¥9000

の会費により,1泊2日のバス旅行に参加してきたのであります.

 

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10月27日(土)  東京:快晴  新潟県魚沼地方(六日町,湯沢など) 雨

 

 上 野 9:32

  上越新幹線『とき407』\6300(金券や神田・大島コインで購入した切符)

              (\7710のところ)

 

            高崎まで混んで,立って行く.最近は,新幹線通勤者が増えて

           いるが,熊谷あたりからだと,座れないらしい.

           渋川あたりまで快晴だったが,トンネルを抜け,柿の木の農家

           しかない上毛高原駅では,どんよりとした曇り空.

            越後湯沢ではとうとう雨になってしまった.

 

浦 佐  11:11  田中角栄の銅像以外,何もない駅.あと国際大学魚沼校があっ

た.若い外国人が多いのはそのせい.不法就労者ではないという

            湯沢と違って,人気がないなあ.

           新幹線に『ガーラ湯沢』というスキー場専用駅ができとりました

           湯沢近辺は徹底的に開発されるみたい.『東京都湯沢町』の看板

           が国道17号線沿いに,いみじくも立っておりました.

 

            巻機山,八海山の運命やいかに……

 

           浦佐駅,12時集合なのだが,ちょうどいい電車は11:11着しかな

い.構内にしょざいなげに残っているのは,大方このツアーの

           参加者たちだった.

 

            白いブルゾンをまとった,新潟県庁のひとたちが,垂れ幕を

           準備しているので,様子を聞く.

 

            事務局の関川氏,大掛氏,大島氏,畑山氏,山本氏などだった

           今晩泊まる「八海山パークホテル」の中型バスにのりこむ.

           30人弱の参加者.平均年令50才くらいで,20代後半の夫婦と

           私を含む20代の男性が二人,ちょっと場違いな雰囲気であった.

八海山神社       城内口(じょうないぐち)の八海山神社に参る.八海山の

           登山口のひとつ. 雨.気温12度

            横の『八海会館』というところで,手打ちの『へぎそば』を

           賞味.2-8そばに,繋ぎは ふのり と 山ごぼうだそうである

           ぜんまいのごま和えのなかから『くさむし(カメムシ)』が

           出てくる.

 

            田中角栄も好んだそばだそうである.

 

            次はいも掘りを予定していたが,畑がぬかってどうしようも

           ないそうなので,カット.

 

 西福寺・開山堂石川雲蝶の彫刻が素晴らしい.(県重要文化財)

(南魚沼郡・小出町) 開創は天文年間(1534)

電話 02579-2-3032

           開山堂:

            建築の様式は桃山式楼閣造り,屋根は千茅葺き二重層,

           入り母屋造り総欅. 天保初年準備に着手し,安政4年(1857)

           6月竣工.この間約20年を費やしている.

            向拝(ごはい)及び堂内彫刻の全部は石川雲蝶 畢世の大作

           彫刻の内容構図は殆ど曹洞宗開祖・道元禅師の伝記である.

           (絵はがきの袋の説明より)

 

           『本物は辺鄙なところにある』という,私のジンクスを例証する

           ような素晴らしい彫刻だった.

 

            実際,東京というところは,カタログ状のものなら何でもある

           DATABASEのような街だ.しかし,本物は何もない.寓意的だが

           わかってもらえると思う.

             本物を体験/間近に見ると,今更ながら迫力が違う.

            食べ物なら味の差は歴然.史跡・遺物・景観などTVで見た物

           と同じものとは思えない.

 

            ほとほと東京には愛想をつかしているのである.

            また,TV,マスコミを信じないのである.

            しかし,安直に・大量にまがいものの情報が手に入るため

            便利だと錯覚して,住み続けてしまうのだ.

           「わかっちゃいるけど,やめられない」というやつ.

           (最近,『クレージーキャッツ』ですね.トレンデェー)

 

            浦佐からバスで20分くらいの山寺に過ぎないのに,西武の観光

           バスが3台もおしかけてくる.

            廊下の羽目板の埋込み細工をじっくり眺めていると,踏み潰さ

           れそうです.

            ここの説明を担当している老婆がユニーク.話術が巧みで

           100人くらいの客を本堂に正座させ,10分は喋って飽きさせませ

マイクはなし.矍鑠としています.

 

           開山堂は僅か10畳ほどのお堂です.明りは天窓から差してきます

           全体に薄暗い.ここに70人くらいが押し込められました.

           おしくらまんじゅうは満員電車で慣れてるけど,暗いと不安です

            石川雲蝶の彫刻は,梁から天井いっぱいに刻まれています.

           懐中電灯のスポットの方を向きますが,いいかげん首が痛くなっ

           てきます.

            県庁の人によれば,脚光を浴びるまでは,畳に4〜5人が

           寝そべって,のんびり鑑賞できた,とのことです.

 

農協の倉庫で,稲の脱穀・精米体験.

 

           『コシヒカリ共和国』のツアーと合流.

           (米消費者で,魚沼のコシヒカリを契約購入している人々)

           TNN(テレビ新潟)の取材が入る.

 

            クボタのコンバインと,今は使わない足踏み式の脱穀機で

            既に刈り取って束ねた稲穂をこく.

 

             籾すりは,イセキ農機の電動のもの.ベルトが露出していて

            危ない.脱穀した籾をトレーに入れると,玄米と,籾殻とを

            分離する.

 

             精米玄米を精米機の上のロートに入れると,白米が下に

            糠がホースから噴射される.一度搗きである.

 

             大変手間のかかる作業であることがわかる.ダンボールいっ

ぱいの稲から,白米は僅かしかとれない.殆どは藁である.

            当然のことだが,都会育ちの見学者たちにとっては,いちいち

            感心するできごとなのだ.

 

八海山パークホテル    ロープウエイ乗り場のそばの,スキー・ロッジといったとこ

17:00        ろ.2階建て.

0257-75-2228

             夕食は,県内の特産品の料理が前菜として出てくる.

            おけさ柿のワインかけ,まいたけのバター蒸し,のっぺ汁

            等々.これだけでお膳がいっぱい.これらを一通り片づけると

ホテル本来の料理が出てきた.

 

             飲物は,魚沼ワインと,八海山等々.

 

            アトラクションとして,『御実城(ごみじょう)太鼓』

            と,老人会の『佐渡おけさ』

             『御実城(ごみじょう)太鼓』とは,上杉軍勢の陣太鼓.

            映画『天と地と』にも出演したという.

 

             県農協の大島氏と,米市場開放の話を,関川氏とMTBの話

 

            同室は大成建設の課長氏.

 

             しこたま酔っぱらって,9時に寝てしまう.

            この夜は八海山の6合目より上,降雪.今年2度目だそうだ.

 

28日(日)魚沼小雨 ・ 東京 快晴

 

            朝風呂につかる. 温泉ではないが,八海山が目前だ.

            8合目より上くらいが白くなっている.今年2度めの降雪.

 

            朝ごはんは,昨日我々が精米した米. うまい.『甘い』と

            表現したらよいのか……. しかし,2杯だけにとどめる.

             これから,六日町農協の農業祭りで,また 牛のように

            食わねばならないのである.

 

            ロープウエイは稼働している.11/4までは割引もある.

 

金城山・雲洞庵(うんとうあん): 関東管領・上杉家曹洞宗の禅寺

(南魚沼郡・塩沢町)                     (せんびに)

 0257-82-0520     養老元年(717),藤原不比等の正室であった,先妣尼公が

            この地にやってきて,庵を結び,金城山より湧きいずる霊泉で

            沢山の病人を救い,金城山・雲洞庵という尼僧院を建立した.

             以来,女人成仏の庵寺として,深く信仰されてきた.

            室町時代関東管領・上杉憲実公,藤原末裔の因縁で禅宗の寺に

            開創され,越後一の庵寺といわれる.

 

             永享元年(1429) 禅宗・傑堂能勝禅師(俗名・楠正成の孫

            楠正勝)を挿草とし,越後の大禅道場として今日に至る.

             十世(北高全祝)は,上杉謙信公,武田信玄公に禅を教示.

             赤門よりの参道には法華経が一字一石ずつ刻まれ,埋められ

            古来,

             『雲洞庵の土踏んだか』,『関興庵の味噌なめたか』

            といわれた.諸国の修行者が,この二大禅道場で曹洞宗と臨済

            宗の禅を学ばねば,一人前の禅僧といえぬ,という.

             関興庵は同じ塩沢町に在し,臨済宗に属する禅寺である.

 

             何しろ,この杉並木が好い.直径1メートルはあるとみた.

            入場料・¥300

             輪廻の思想を歌に詠み,まんがを添えた注釈が,廊下沿いに

            掲げてある.これが時勢を捉えていて,面白く,1時間くらい

            読み耽ってしまった.

 

             気温10度.襖などの書に,いちいち注釈がつけられ,それを見ているだけでも面白い.

            駐車場に梅宮辰夫のつけものやがあってミスマッチである.

 

六日町・農業祭り    昼食を取るために,六日町・公民会館に向かう.駐車場で

           収穫物のバザールが開かれており,寒空の下,かなり賑わって

コシヒカリ共和国   いる. 11時〜1時昼食とショッピングの時間にしてほしい

               と,バスの中で事務局の連絡があり,僕達は早速,バザ

コシヒカリ勝ち残りサミット  ーの方へくり出そうとした.しかし,公民館の方でやっ

               ていた『魚沼・コシヒカリ共和国/コシヒカリ勝ち残り

               サミット』が気になり,パンフを貰って,会場に入って

               みた. 結局,白熱の議論にひきこまれて,バザーを

           訪れる時間を逸し,ここに居ついてしまったのだった.

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