いけない草の町子

目次:いけない草の町子赤ちゃんの神話夏立ちぬウェディング・イブ微笑

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作品名:いけない草(ぐさ)の町子

表紙裏の説明:町子の母はストリッパー。級友たちの冷たい目の中で、町子は”いけない草”のことを思い浮かべながら、孤独に生きていた。いけない草は光の当たらない場所でひっそりと咲く孤独の花。そんな町子に声をかけた少年、貴(たかし)は、いつか町子に恋して結婚を申し込んだ。だが、町子は...。

あらすじ:

町子の愛が生まれたその日に、
療養中の父の死が知らされる。
母はストリッパーをやめる決心をした。
娘の将来を考えてのことだった。

町子は貴をデートに誘った。
その行き先は、母の仕事場の劇場だった。

貴 ひとりの目の前で町子は踊った。
そのとき、貴は
「きみが どうしてストリッパーなんか...」
と言ってしまった。

そして、町子は貴との別れを決意して泣いた。

町子と母はいままでと同じように、
町から出ていった。

「その日
 町子の住んだアパートの路地に
 いけない草の花が咲いた....」

(週刊セブンティーン 1975年 36-40号連載)

******************

******************

(冒頭の文)

「傷ついた いくつかの
 わたしの風景の中に
 摘んでも摘んでも
 絶えることなく
 光の加護を
 うけることもなく

 わたしの足もとに咲く
 一群の草があった.....

 わたしは
 その草を「いけない草」と
 呼んだ....」

*******************

(貴が教室の黒板に書いた文)

「あなたが
 堕ちる種子ならば
 わたしはそれを包む果肉となろう

 あなたが
 この思いを失火と呼ぶのなら
 わたしは
 この身もえつきるまで
 あなたのかたわらに立っていよう」

*******************

(町子が貴の愛を受け入れたときの文)

「友だちがほしかった
 なんでもはなせる友だちがほしかった....
 それをとびこえていま....

 愛が....
 わたしのための愛が....
 ここにある」


「女の子はいつも夢見ている

 愛をたべて生きたい
 あなたの愛をたべて生きたい....

 ねがわくば....

 ねがわくば 愛のともぐい」

*******************

「かあさんのかわりに わたしが踊る番です
 かあさんの血がわたしを踊らせるのです
 あなたの気持ちが もしも 嘘だったら
 そんな気持ちもあります

 かあさんと同じように生きたい

 ...恋をして 踊って...
 
 かあさんだって とうさんが病にたおれなければ
 とうさんとの愛から身を引いたでしょう

 もらうだけの愛は
 捧げるだけの愛より
 女にとってずっとつらいのです

 いまはただ...
 あなたにわたしの踊りをみてほしい

 あなたにあげられる
 わたしのたったひとつのものです

 いけない草の踊りです」

*******************

*******************

なんか気の利いたことを書こうと思ったが、
このまんがを初めて読んでからすでに二〇年が経過している。
昔「好きだった」という記憶があるだけで、
好きだった、その中身に全然共感できなくなってしまってるのだ。

これはつらい。

高校生と、40近いおっちゃんとじゃあ、センチメントが
まったく異なるのも当たり前。
記憶は連綿と続いているのだが、

「若気の至り ができる年代に戻りたい」
と思う年代まできてしまった。
何の成果もなく...

うむ、なんとなく いいかもしれない。

わたしの話をしますと、ですね
いや、聞きたくもないでしょうけれど、
書き出しが決まらないので、こんな切り口で
始めようとしてるんです。

中学、高校、大学と単性生殖、じゃなかった
男子校だったんです。大学は共学のはずだったんだが、
語学のクラスに女子が三人いたくらいで
コンパにも出なかったんで一言もしゃべらずしまいだった。

それから、クラブも自転車旅行クラブで、
ここも女子がいなかった。
女子大のサイクリング部と一緒に走ったこともあったけど
その日だけのことだったなぁ。
走り自体も、自分の嗜好してるものと違って、
「合ラン(合コン形式のサイクリング)」用に
妥協したプランになってしまうので、
気をつかうばかりで実り少なかった。
これは、相手のほうもそう感じてるんでしょうけどね。

サイクリングって、孤独が似合う遊びなんだなあ
と思ったものでした。

さて、町子のような転校生がやってきたら
という仮定で考えねばならないんでしょうかね。
書評ということでは。

まあ、ぼくはその他大勢のひとりになるんでしょうな。
ほとんどの男子生徒はそうでしょうね。
町子がどんなに魅力的であっても、挑発的であっても。

その挑発に呼応する、貴みたいな奴がいて初めて
ドラマになるんだよなぁ。

興味本位でストリップ劇場には訪問することでしょう。

*******************

この程度のことを書くのに三時間も費やしてしまった。
先がおもいやらるなぁ。

2000/5/4

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作品名:赤ちゃんの神話

 

あらすじ:

 
俊と久美子は幼なじみで、高校の同級生。

夏休みの雨の日、俊はラグビーの練習、
久美子はバレーボールの練習。
俊の濡れた服を着替えさせていた久美子に
俊が迫って初体験してしまう。

数ヶ月後、素っ気ない俊に久美子が鎌を掛けた。
「あたし、お客様がないの」
真に受けた俊は
「そのときは、そのときだ。
 久美子を守るために一生懸命さ」と言った。

ところが、久美子の妊娠が判明。
こんどの俊の反応は違っていた。
「めいわくだ。今 赤ん坊ができたって
 おろすしかねえだろ。」
(まだ俊は冗談だと思っている)

久美子は赤ちゃんより俊の方を選んだ。
「赤ちゃんさえいなかったら
 そうよ うそにしてしまえばいい」

久美子は赤ちゃんの手袋、靴下を編むための毛糸を買った。

「これがあなたへの
 最初で最後のプレゼントです

 一生延命編みます...
 俊が買ってくれたんです
 
 編み終わったら....
 これが編み終わったら お別れです

 あなたの形見....
 わたし 一生たいせつにします」

編みあがった手袋を見た俊は
久美子の妊娠が事実であることを悟る。

手術の日、病院の待合室から抜け出した久美子は
赤ちゃんとの別れのため雨の日の、休園の遊園地に行った。

動かないはずの回転木馬が動き出す。

追ってきた俊と久美子が抱きあう。

「わたし... わたし
 おかあさんになりたい

 いいでしょ!!
 わたしおかあさんになってもいいでしょ

 俊の赤ちゃん
 俊とわたしの赤ちゃんの

 わたし... おかあさんになりたい....」


*****************

浪花節だよ人生は〜

40近いおっさんが いったいなにを書いてるんだか。

しかし、ここでひいてちゃ
このシリーズは先に進まないのである。
行くぞー!

しかし、寅さん二代目ともいえる
吉村秀隆だったっけ、あいつの生き方も羨ましかったりして。


(月刊セブンティーン 1975年 10月号 掲載)

2000/5/4

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作品名:夏立ちぬ

 

あらすじ:

奈々はおてんばな高校生。
純平は一人暮らしの大学生。
純平は奈々のことを妹のように思っていた。

ある日、純平の母からの手紙を奈々が運んできた。

純平はその手紙を破り捨てていた。
そのことを奈々が諭すと純平は
「子どもにゃ関係ねぇことだ!!
 二度とあの女のことを口に出すな!!」
と俄然 意気まいた。

純平は私生児だったのだ。

母を受け入れない純平にとって奈々のことを
「血はつながっていなくても...
 たったひとりの肉親だと思っている」のだった。

しかし、奈々の気持ちは違っていた。

純平が母を嫌っていた理由は、
自分が乳飲み児の時分に捨てられたからだった。
男から男へ渡り歩く勝手さが許せなず、
女性不信に陥っていたのだ。

別の日、純平はつきあっていた女性を
振っているところだった。
その女性の一瞬の迷いが許せなかったのだという。

「女の子だもの 周囲のことばに
 まようことだってあるわ」

「やがてきみは俺を同じように裏切るだろう
 愛にはやりなおしなどきかない」

「きみが勝手に近づいて勝手に去っていった
 俺はきみの男から男への 一人の男にしかすぎなかった」

純平の母が男と心中したという知らせが入った。
純平は奈々の胸で泣いた。

「俺もはじめて.... 女の人の胸で....泣く」

その時 奈々は「純平にいさん...」と言った。


「風・水・光
 ...そして愛
 ふたしかなもの
 形のないもの...
 ....ならばせめて
 光あるときに
 愛あるときに

  この身をその中に
  ひたせばいい....

 外は光の五月.... 夏立ちぬ」

(週刊セブンティーン 1975年 24号 掲載)

*******************

昔、受験勉強してるとき朝日新聞の「天声人語」の
要約をやらされたけど、男女の痴話げんかの要約は楽しいなー。

まんがのプロットって なんていうか 単純なんですね。
いや、ばかにしてるんじゃないんですよ。

この核になる部分に肉付けして、読者の少女(一部に少年も
混じっていたが)の涙を誘うんだから、漫画家って
偉いですよねー。

2000/5/4

SS425も捨てがたいなぁ。手の小さいぼくには
この妙に小さいキーボードがしっくりくるんです。
幅が8ミリしかないENTER KEYもOK。

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作品名:ウェディング・イブ

 

あらすじ:

 


「楽しい日には☆(お星さま)の印
 悲しい日には涙の印
 日記の代わりのカレンダー

 きっとあしたからは
 ☆☆☆ お星さまばかり」

英生(ひでお)と柚麻(ゆま)は婚約している。

=============


「あなたを好きになった日
 あなたにセーターを編みたいと思いました
 お日さま カンカン 夏の日でした
 不器用なあたしだから
 いつのまにか秋は過ぎ

 なんどか自分の不器用さに泣いたこともありました
 早く早く 心ばかり急いて
 そんなとき 一目編むたび あなたの名前を呼んだんです

 あなたがにくらしい日にあんだところは
 ほら 乱れたりして 

 そして編みながらいつも思いました
 このセーターが編みあがるまで
 あなたがわたしをきらいになりませんように
 わたしを好きでいてくれますように

 それももうすぐ編みあがります
 クリスマスに間に合います」

町を歩いていた柚麻は、昔の知り合いの女に遭った。
柚麻はかつて水商売の女だったのだ。

「忘れていたわたしの過去が追いかけてきた
 英生の知らないわたしの汚れた過去,....」

柚麻は英生にプロポーズされた。

「わ わたしなんて英生が思ってるほどきれいじゃ....」

「柚麻がなんといおうと おれの気持ちは変わりはしない
 どんなことをしても柚麻を俺の嫁さんにする」
と言った英生だったが。

=============

「あのままでいたら
 不幸せのままでいたら
 こんなに苦しみはしませんでした
 ....あの人に....
 みんなうちあけてしまいたい

 不幸のあとに
 こんなにたくさんのしあわせをくださった
 .....神さま....
 
 わたしはうらみます

 幸せ知らなければ
 あの人を知らなければ
 不幸せでも生きてゆけた.....
 生きてゆけたのに」

================

ある晩、英生は同僚たちと夜の街へでかけた。
そこで英生は柚麻が水商売の女だったことを知る。

「柚麻が... あの柚麻がこんなところで....」

柚麻は母の手術代を手当てするために
いやなお客とも寝たことがあるのだった。

「この笑顔の柚麻が.....
 あんなところで働いていた....
 ほかの男と寝た.....

 夢だ...
 きのう聞いたことが
 夢であってほしい...

 柚麻がそんな....

 いや どんなことがあろうとふたりの障害になろうはずがない......

 母のため
 母を救うためしたことが何の罪になろう
 .....
 それくらい母を知らないおれにもわかるはずだ

 いまおれが愛しているのは柚麻だ
 いまの柚麻だ」

==============

英生はいつになく優しかった

「あれは わたしのひとりよがりだったのかしら
 英生はいつものようにやさしい...
 
 いいえ いつもより もっと....」

柚麻は笑って尋ねた

「英生 あんまりやさしくすると 疑っちゃうよ
 だって 浮気してきた男の人って
 やさしくなるって いうじゃん」

「ばかやろ むかしの生活がでるようなこというな!!」

英生の一言で柚麻はあきらめた。

「あの夏の日から編み続けた
 あの人のセーター
 
 ひとめひとめ 思いこめて....

 このセーターに耳を当てたら
 英生 英生
 わたしのつぶやきが聞こえるかしら

 このセーターができあがるまでのわたしの願い

 かなえられなかった私のたったひとつの願い....

 わたしのぬくもりをこのセーターに焼き付けて
 少しの間でも長く あの人にからみついていたい」

=============

英生が工場の事故で足を折って入院したという。

病室の英生のつぶやき

「外はクリスマス
 子どもの頃....クリスマスになにがほしいって聞かれた

 家族がほしいって答えた

 かあさんやとうさんだけじゃなく
 妹や弟が ねえさんやにいさん
 .....
 とにかくたくさんの家族がほしかった....

 誰かがかけてもかならず....
 おれのそばに誰かがいてくれる
 そんな家族

 家族... こんないいことば ほかにない」

柚麻が病室にやってきた。

「わたし ずるい女よ
 あなたが知るまでむかしのことかくしてた 悪い女よ

 でも あなたのこと 本当に好きだったの
 わたし..... 本当にしあわせだった
 十分すぎるくらい....

 一生の間にちりばめられたしあわせ
 いっときで使い果たしたくらい....

 だから.... もういいの
 わたしのことはもういいの

 でも

 せめて あなたのケガがなおるまで ここにおいて
 あなたの役に立ちたいの

 あなたの足が....
 あながた歩けるようになったらわたし....
 すぐにでていく」
 
 それまで それまででいいの....

 そばに そばにいさせて」

「ずっと いてくれ 一生
 柚麻がいてくれないなら
 おれ 一生びっこでいる....
 病院にいる

 おれにとって ...柚麻....
 おまえは最後の愛だ
 おまえも同じはずだ

 柚麻 おまえはうなずけばいい....

 おれのいうとおりにすればいい....

 今夜はおれたちのウェディング・イブだ」


***************

ありゃりゃ、あらすじを書いてるはずが、
せりふ(ネーム)を丸写しにしてしまった。

ううん、これをまとめると無味乾燥になるし、困った困った。

2000/5/4

SS425も捨てがたいなぁ。手の小さいぼくには
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作品名:微笑

 

あらすじ:

警察の取調室

ヌードモデルのエミは、写真家 早川哲 殺害の容疑で
取り調べられている。

エミは哲を愛していた。

哲には以前 別の恋人がいた。
その女はエミと哲の部屋に乗り込んできたこともあった。

そのとき、哲は女を追い返した。

「あのときのおれはもういない
 そんなに騒ぐなら なぜ あのとき俺を殺さなかった」

=============

エミの独白。

「哲 待って 朝まで起きてたとき
 ベランダで聞いたよ
 花の開く音は ぱんって 紙風船こわしたときみたい

 つるがのびて からまってゆく音は
 不思議な音ね
 あばら骨がキシキシ痛いような音

 あれはわがままの音ね
 あの日... わたしの体の中でその音がしたの

 でも わたしのわがままだけじゃないのよ
 
 哲だっていってたもん

 どうしておまえの写真をとるのか....

 おまえをとどめたいからだ
 おまえの愛を 美しさをとどめたいからだ.....

 もし 俺が写真を知らなかったら
 おまえを殺してでも いまのおまえのままとどめようとするだろう

 愛するものをとどめたい.....

 そして また心のどこかに愛するものにとどめられたい.....
 そんな...

 そのときね 哲は死にたいんだなって思ったの

 ね..... 白血病ってどんな病気....
 白い血って書くんだって....

 哲がのぞむんだったら
 そして これからずっと 私の哲でいてくれるのなら
 哲がいちばんしあわせなとき......」

(エミは眠っている哲の胸を一刺しにする)

 哲の血 赤かったよ....
 白い血なんてうそだよ....

 赤い鳥がお部屋中に飛んできれいだった.....

 哲 ねむったままだった
 もうキスしてくれないのが悲しかったけど....

 こんどはわたしからキスしたよ
 哲が吸ってくれないからわたしが吸ったの....

 わたしの哲....
 もうずっと わたしの哲だっていうのに....
 涙がでたの...

 うれしいのか悲しいのかわからなくて.....」

===================

調書に張る写真を撮るとき、エミは微笑んだ。

****************


2000/5/4

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