撮影地:マウントオルガ(カタ・チュタ)Mt. Olga

● 雄大
カタ・チュタ(マウント・オルガ)はウルルと異なり一枚岩ではない。36の巨岩の集合体である。その一つを遠望する。数あるオーストラリアの風景の中でも、雄大さにおいては屈指の眺めである。麓に広がる木々と、一気に立ち上がるドームの対比で、岩の大きさをご理解いただけよう。これまで同じ場所で三度撮影を行っている。しかし、未だに満足できる写真をものにできない。この写真も少しぶれている。写真とは、シャッターを切る以前にどれだけの情熱と労力を費やしているかが結果に如実に現れる。最適な季節にその地を訪れ、撮影場所を吟味する。太陽の動きを読み、最適な光線状態を選ぶ。表現意図に合ったアングルとレンズを選択する。ピントを厳密に合わせるのは勿論、カメラを三脚に据え、ぶれを防止するためケーブル・レリーズを用意する。細心の注意を払うならミラーアップしてぶれを極小化。ざっと列挙するだけでもこれだけの作業が生じる。しかしである、気温40度を超える環境下、ワシの頭脳は正常に動作しない。何かを忘れるのである。この時もケーブル・レリーズを忘れた。撮影中は完璧と思っているが、後で抜かりがあったことに気付く。機材に耐久性を求める前に、人間が耐久力を持たねば、アウトバックで完全な作品は残せない。

Nikon F4,
Ai AF Nikkor ED 180mm F2.8S (IF)
with Ai TC-201 Teleconverter
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F2.8 (Composed Aperture F5.6)
Kata Tjuta Viewing Area, Uluru/Kata Tjuta NP, Northern Territory
January, 1996

2001.08.16 掲載
2002.05.27 写真修正
2003.01.30 アクセス解析対応