撮影地:ウルル(エアーズロック)、ノーザンテリトリー

● 赤い存在
そのスケール、神秘、歴史が故に岩は存在感を与えられ、永らく信仰の対象とされてきた。いや人間が存在感を与えたのではなく、人間に存在を意識させたのである。なるほど、この岩には気配がある。ウルルに近づくと、そこに何かが存在する明らかな気配を感じる。その正体は分からない。答えを知るには人類は若すぎるのか、それとも野生を失い老いすぎてしまったのか...。千年紀の黄昏をワシはウルルで迎えた。岩肌を赤く染めてその存在がひときわ輝き、やがて闇の中に姿を消す。全てが何万何億回と繰り返されてきたこと。ワシは悟った。ミレニアムなど取るに足らぬこと。目の前の巨岩は誕生以来千年紀を60万回過ごしている。赤く輝く存在は我が思考の尺度を越えて神々しい。

Nikon F4,
Ai AF Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-4.5S,
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F5.6
1/3 EV Exposure compensated
Sunset Point, Uluru, Northern Territory

Jan, 1996

2001.01.11 掲載
2001.09.20 写真サイズ拡大

2002.08.07 レイアウト変更・写真サイズ拡大