すっげえ門--マウントコナー

エアーズ・ロックを最初に訪れた時、それに劣らずマウント・コナーにワシは興味を惹かれた。地図を見ても道は通じていない。キャンプ場で、「麓まで行ったライダーがいる」という噂話を耳にした。まだ怖いもの知らずの頃である。「行けるところまで行ってやれ」ワシはパジェロを駆って、マウント・コナーの方に向かってそうな、脇道（あぜ道）に片っ端から分け入った。しかし、どれも目的を果たせず途中で引き返すことになる。写真はその途上で撮った一コマ。鉄パイプを組んで作った牧場のゲートには"SHUT THIS BLOODY GATE PLEASE. "とある。"BLOODY"とはオーストラリアでよく耳にする単語で、ここでは「すっげえ」という感じの訳になるだろうか。この日気温は40度を優に超え、砂の深い道は常にスタックの危険があった。高い外気と下手くそな運転で高回転を強いられたエンジンは水温の上昇著しい。周囲に人の気配はなく、ワシは現在地の把握さえできていない。一本だけのミネラルウォーターを口にした時、急に怖くなった。「引き返さなければ」。"すっげえ門"はリアルアウトバックへの入り口か?、軽々に近寄ってはならない場所を初めて知った時である。