撮影地:イエローウォーター(クーインダ)ノーザンテリトリー

● 嵐の季節(その3)
キャンプ場に戻っても、嵐は勢いを増すばかり。とにかく嵐が去るのを待つしかない。ワシは車に缶 詰、息つく間もなく雷光は天を裂き、すっかり日の暮れた周囲を怪しく照らし出した。いっそ稲光で本でも読んでやろうかと開き直ったところ、車が先に音を上げた。運転席側の窓枠当たりから雨漏り、しかも相当な勢いで。狭い車内の後ろに移動して、台所から鍋を取り出した。こういう時、キャンパーは都合がいい。雨漏り部分に手で鍋をあてがう。満杯になった雨水を外に捨てながらどのくらい時間が経ったろう。一時間ほどだろうか、ようやく雨足は弱まった。外に出ると、嵐の進行方向では依然、雷光が天に踊っている。稲光は上から下に落ちるモノというワシの常識はここでは通 用しなかった。右に左に光が走る、あまりの見事さに空が光るたびに「おっ」と声を上げた。「いっちょ写真でも撮るか」、雷の撮影法なんて知らないので全くの我流である。シャッターをバルブにセットし、光った瞬間にレリーズを押す。雷光の走行時間は体感的には結構長く感じる。光が消えた時点でレリーズを離し、シャッター幕を降ろす。まるで反射神経の試験のようだ。ダメもとで挑戦した中、比較的良く撮れていた一枚。次回は撮影法を勉強して来よう。そうすれば雷さえ友達にできる(かもしれない)。

● その1 >>>

Nikon F5A with MF-28,
Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17-35mm F2.8D (IF),
Fujichrome PROVIA 100F (RDP III)
BULB (a few seconds) @ F2.8
Yellow Water, Kakadu National Park, Northern Territory
October, 2001

2002.02.25 掲載
2003.05.07
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