撮影地:イエローウォーター(クーインダ)

● 雷雲
本格的な雨期に差しかかろうとしているカカドゥで、強く印象に残っているのは猛烈な蒸し暑さと、雲の表情の豊かさである。ケアンズのB&Bで主人から「これからどこに行くのか?」と聞かれた。「カーペンタリア湾経由でダーウイン(カカドゥ)へ」というワシの答えに彼は眉をしかめた。「ダーウインに行くのか!」、「途方もなく暑いぞ、しかも湿気が凄い」、「あまりに暑いので自殺者が出るほどだ」と彼はワシを諫めた。「またまた、大げさなことを」とワシは笑っていた。まだ、乾期の終わりで過ごしやすい気候のはずだ...。しかし、蓋を開けてみると彼の言葉通りになった。自殺しようとは思わないが、カメラのファインダーを覗いているだけで汗が噴き出す。頭痛がする、脱水症状の兆候だ。沸き立つ雷雲が濃厚な大気に拍車をかけているように思われる。とは言え、夕陽に照らされた雷雲は壮観である。暑さの代償に美しい眺めが見えるならプラマイゼロにしておこう。ゲータレードで水分を補給して、ワシは迫り来る雷雲にレンズを向けた。

Nikon F4 with MF-23,
Ai AF Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-F4.5S,
Fujichrome Velvia ISO 50 (RVP)
Aperture-Priority Auto @ F11
Yellow Water, Kakadu National Park, Northern Territory
October, 2001

2002.03.04 掲載
2003.05.07 レイアウト変更・
アクセス解析対応