地理データで比べる
日本とオーストラリア
Part 2

前回掲載した「地理データで比べる日本とオーストラリア」が非常に好評だったため、今回も引き続き地理データを題材にコラムをお届けする。前作はオーストラリアの国土に関するデータ、すなわち自然に関連するものを中心に扱ったので、今回は人為的なもの、人口や州の面 積を切り口に「Part2」としたい。

●　各州の面 積
オーストラリア各州の面積は表の通り。

首都特別地域（以下ACT）を含む8州の内、日本より面積の小さい州はビクトリア、タスマニア、ACTのみ。日本の地域にあてはめると、ビクトリアは本州、タスマニアは北海道、ACTは沖縄とほぼ同じ面 積となる。

逆に日本よりも大きな州はニューサウスウエルーズの2.1倍を最小に、西オーストラリアの6.7倍まで、それぞれの州が十分に国を名乗れる面 積を有する。中でもオーストラリア総面積の三分の一を占有する西オーストラリアの大きさはこの国の中でも図抜けている。西オーストラリア州（2527.2千km2）よりも広い国土を持つ独立国は、わずか10カ国（ロシア、カナダ、アメリカ合衆国、中国、ブラジル、オーストラリア、インド、アルジェリア、アルゼンチン、カザフスタン）のみ。独立すれば世界第11位 の面積を誇る国となる。第10位のカザフスタンの面積は271.7千km2である。参考までに、スーダン（2505.8千km2）、アルジェリア（2381.7千km2）、コンゴ（2344.9千km2）のアフリカ各国が西オーストラリアに準じる面 積を持ち、サウジアラビア（2149.7千km2）、メキシコ（1958.2千km2）、モンゴル（1566.5千km2）という"広い"イメージの国より西オーストラリアは広大なのである。まさに木星並みに大きな州と言えよう。

クイーンズランド（1727.1千km2）はイラン（1646.2千km2）・リビア（1759.5千km2）、ノーザンテリトリー（1347.4千km2）はペルー（1285.2千km2）、南オーストラリア（984.6千km2）はエジプト（1001.4千km2）、ナイジェリア（923.8千km2）、（この州にはスイス一国より大きな面 積を持つ牧場がある）、ニューサウスウエールズ（801.6千km2）はパキスタン（796.1千km2）、トルコ（774.8千km2）の国土面 積にほぼ等しい。

アメリカ合衆国最大の州アラスカ（1593千km2）はクイーンズランドとノーザンテリトリーの中間の大きさに相当する。合衆国の中でアラスカは例外的に大きく、次に大きいテキサス州は692千km2である。合衆国本土（アラスカとハワイを除く）とオーストラリアはほぼ同じ面 積であり、そこに48州と8州なのだから、当然オーストラリアのほうが、州当りの面 積ははるかに大きくなる。

●　各州の人口と人口密度
オーストラリア各州の人口・人口密度は表の通り。

面積が広いのに反して、人口は驚くほど少ない。面積と同様、ここにおいても日本の物差しは使えない。最も人口の多いニューサウスウエールズでも千葉県一県並みの人口である。

ビクトリアが続いてほぼ福岡県と同じ人口を持つ。人口が最小のノーザンテリトリーの面 積は日本の3倍以上ありながら、地方都市と変わらぬ人口しか住んでいない。

州別の人口構成を見ると、ニューサウスウエールズとビクトリアの2州を合わせるだけで、全人口の半分を超え58%に達する（面 積は全体の13%しかない）。さすがに、シドニー、メルボルンの二大都市を擁する両州である。両州とも州都の人口は、州の全人口の半分を超える。昔からオーストラリアの人口は東海岸に集中していると言われてきたが、この2州にクイーンズランド、タスマニアを加えた東南海岸沿いの州人口は全体の80%に達する。まさにナラボーから西には巨大な過疎が存在するのだ。

人口密度を見ると、日本全体の人口密度340人/km2を持ち出すのがバカらしくなるほど低い。その中ではビクトリアがずば抜けて高く（ACTを除く）20人/km2、全体の値の10倍に達する。それでも北海道（72.6人/km2）の三分の一以下でしかない。サッカーワールドカップでカメルーンのキャンプ地として一躍脚光を浴びた大分県中津江村の人口密度は15.87人/km2、オーストラリア内で非常に人口密度が高いと言っても、日本の山村並みでしかない。ACTの134人/km2と比較しても日本のおおそ三分の一でしかない。

人口密度の低い国は下記の表を参考にしていただきたい。人口密度が1人/km2台もしくはそれ以下のクイーンズランド、南オーストラリア、西オーストラリア、そしてノーザンテリトリーはトップ10どころかトップ3に十分にランクインする。更に1人/km2以下の西オーストラリア、ノーザンテリトリーの州都を除くエリアは更に桁違いの過疎地域であることがご理解いただけよう。そこは地上でもトップクラスの人跡疎らな地である。

●　各都市の人口
オーストラリアと日本の人口上位都市は表の通り。

かなり大きな表になってしまったが、オーストラリアの各都市別 人口を記した資料はなかなかお目にかかれないので、手元にある資料に記載されている全ての都市を掲載することにする。抜けている都市があるかもしれないが、その際はご容赦いただきたい。

日本の都市との順位比較はほとんど意味がないと思われる。第五位位まではいい勝負だが、その後は各順位 同士の比較が十倍以上になってしまう。何せ20万人人口があればオーストラリアではベスト10に入ってしまうのだ。

表を作りながら知らない街が多いことに少々驚いた。ワシが旅で巡る街と、人口や産業の集まる都市とはやはり異なるようだ。 これまでの旅の中で大きい街と思っていたのに選から漏れているところがいくつもある。ポートオーガスタ、エスペランス、スワンヒルなどなど、人口が1万5千人位 はありそうな気がするが、上記の表には入っていない。

ダーウインを出発して西海岸を南下すると、何とパースまで上の表に記されている都市はない。同様にスチュアートハイウエイを下ると、ダーウインの後はアリススプリングス、その後はアデレードまで大きな街がないことがわかる。 これからも西部、中央部の過疎を推察いただけよう。

オーストラリアでは人口の割に街が大きく見える気がする。バララットの街など10万人クラスの街に来たように感じたが、実際にはその半分程度の人口である。 この錯覚はワシだけのものだろうか？

ということで、今回のコラムはここまで。地理データ関連もネタが切れてきたようだ。 次は趣向を変えてお届けしたい。
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