帰国報告 --2001年アウトバックの旅-- |
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無事、帰国しました。渡豪中にメールをいただいた方々には十分な対応ができず、誠に申し訳ありませんでした。ご質問などには随時ご返答いたします。
テロ事件の直後の出発で、何かと心労が多かったのですが、オーストラリアの大自然は変わらず豊かで雄大でした。予告編ぽく旅の概要を報告します。 ● 旅の概要 期間:62日間 走行距離: ケアンズ〜ケープ・トリビュレーション:768km ケアンズ〜アデレード:9,488km (4WDキャンパーでのキャンプ生活=40日間) アデレード〜クーパー・ピディ〜アデレード:1,814km 主な訪問地と内容: ● ケアンズ北方(デイントゥリー、ケープ・トリビュレーション) 前回の旅ですっかり魅せられたカワセミの撮影を目的にケアンズ北部へ。この時期この地域で観察可能な8種類の内、7種類までも目にすることができた。予想以上の成果 に大満足。ワシの訪れた9月下旬、この地域の気候は素晴らしく(温暖で低湿度)、滞在したディントゥリー・ヴィレッジの牧歌的な雰囲気と併せて、楽園とはまさにこのことかという思いを強くした。 ● カーペンタリア湾 オーストラリア大陸を初めて縦断した探検隊バークとウイルズ一行はメルボルンから大陸北海岸のカーペンタリア湾に到達した。記録によると、彼らはマングローブ林と泥濘に阻まれて、実際には海を見ることなく、川の水が塩辛くなったことを手がかりとして、大陸縦断達成を確認せざるを得なかった。彼らが到達し得た最北の地点を訪れたい。伝説の探検家達の足跡を追って、ワシの大捜索が始まった。果 たして結果は如何に?ワシはバークとウイルズと同じ眺めを目にできたのか? ● カカドゥ・ナショナル・パーク 乾期が最も進み、湿原の広がりが最小化された時点でワシはカカドゥを訪れたかった。何故なら残された湿原に水を求めて野鳥が集結し、撮影には絶好の条件になる からだ。しかしながら、ワシの到着は遅かった(オサマビン・ラディンのために出発を一週間延ばした)。既に季節は乾期から雨期への移行期に入り、凄まじい湿度と、強烈なサンダー・ストームの洗礼を受けた。それでも、野鳥は非常に豊富で、過去三度訪れた乾期の始まる時期とは違う、別 なカカドゥを経験できた。撮影行は暑さと湿度との戦いの様相を呈し、ワシは自然との消耗戦に突入した。撮影成果 は如何なものか?乞うご期待! ● ウルル・カタチュタ・ナショナル・パーク(エアーズロックとマウント・オルガ) カカドゥでの消耗戦の後、デビルス・マーブルズでの野宿で気温は急激に低下した。前日のタイヤバーストによる交換作業で疲弊していたワシの体力は限界に達し、アリス到着の翌日は20時間近く寝て過ごした。アリスで体力回復を果 たし、レインボー・バレー経由でウルルへと向かった。そこにはどうしても撮りたい幾つかのカットがあった。出発前から頭に描いていたレッド・センターの集大成をお届けしたい。 ● ウナダッタ・トラック Oodnadatta Track 今回のハイライトの一つウナダッタ・トラック。このルートにはアウトバックの魅力が凝縮されていた。ダート・ルートを旅されたライダー諸氏は「今頃そんなことを言っているのか」と嘲笑されるかもしれないが、ワシが荒野を旅し始めた頃、心に描いたアウトバックのイメージが数多くちりばめられて、これぞアウトバック!と叫びたくなるほどだった。「どうして今までここに来なかったのか」と何だか恥ずかしい気持ちしきりある。この魅惑のルートについては、思うところ多く、今後じっくりと語っていきたい。 ● マレー河下流域 ウナダッタ・トラックを抜け、フリンダース・レンジに入った時点で、ワシの魂は既に燃え尽きていた。これまで何度もオーストラリアを旅してきたが、今回のように何もかもを撮影のために捧げるという一大決意で臨んだ旅は初めてだった。夜明け前に起きて日没後床につくという生活、一枚一枚の撮影に魂を注いだ、結果 はどうであれ、やれることはすべてやったという満足感がある。アウトバックを抜け、終点のアデレードが間近に迫り、ワシは魂の完全燃焼を感じた。そして財布も空になった。従って、マレー河下流域を訪れたものの、出発前のコラムで予告したハウス・ボートでの旅は実行しなかった。こうして、マレー河の畔で今回の旅は終わるかに見えた...だが、しかし...。 ● クーパー・ピィディ 予定通りキャンパーをアデレードで返し、予備日にとっていた時間をワシはアデレードで過ごすことになった。本当なら帰国を早めるところであるが、同時多発テロを受け、ワシは日本の出発を一週間遅らせ、フライトも直行便に変えていた。このチケッ トは帰国便の変更不可だったため、長期のアデレード滞在となってしまった。ワシはアデレードでは何もしなかった、何もする気にならなかった。すっかり燃えかす状態だった。そんな時、ワシの目にとまった新聞記事、「獅子座流星雨」、「生涯一度のチャンス」、「一時間に数千個の流星」等々。この記事はワシの魂に再点火するには十分すぎた。好条件を求めて一路北へ。日本ではこれまでさんざん苦い思いをした獅子座流星雨、だが、結果 はどうでも荒野で見たい。結果はニュースなどで既報の通りである。生涯これ以上の流星雨は目にすることはもうできないのではないだろうか。最後の問題は写 真の出来上がり具合である。 使用機材等: ● カメラ: Nikon F5A + MF-28 Nikon F4 + MF-23 Nikon F801S + MF-21 ● レンズ: Ai'D Fisheye Nikkor 16mm F3.5 Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17-35mm F2.8D (IF) Ai AF Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-F4.5S Ai AF VR Nikkor ED 80-400mm F4.5-5.6D Ai AF Nikkor 85mm F1.8S Ai AF Micro Nikkor ED 200mm F4D (IF) ● ストロボ: Speed Light SB-26 ● フィルム: FUJICHROME Velvia FUJICHROME PROVIA 100F FUJICHROME PROVIA 400F |
出来上がってきたばかりの写真を見ると、風景90点、野鳥や動物50点(但しカワセミは10点)といったところか。魂を込めただけの成果は上がったと思う。但し、撮り始めて1年ほどしか経たない野鳥の写真はまだまだレベルに達していない。やはり、山屋はにわかに鳥屋にはなれないのである。 |
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2001.11.27
掲載
2001.12.11 追補 |