こんな旅はいかが?

--キャンピングカーの旅--



地平線に向かって真っ直ぐに延びた道をキャンピングカーで駆ける。好みの場所でキャンプを張り、オーストラリアの食材に料理の腕を振るう。そして、夜は満天の星空の下で眠りに就く。こんな夢のような旅もオーストラリアでは実現できる。今回はまだ日本人旅行者には一般 的ではないキャンピングカーの旅を紹介する。






● キャンピングカーの分類

キャンピングカーは大きく二つの種類に分けることができる。一つは"キャラバン"と呼ばれる動力をを持たない居住スペースを乗用車や四輪駆動車で牽引するタイプ。一般 的に日本人がキャンピングカーというとこの形をイメージする場合が多いだろう。キャンプ地でキャラバンを切り離し、自動車単体で身軽に行動することができる。オーストラリアでは牽引用のフックが付いた乗用車をよく見かける。大型のテントを収納するだけの簡易版から、エアコン、バス・トイレは勿論、衛星放送受信まで可能な豪華版まで実に様々な種類があるが、基本的にはキャラバンはキャンピングカーの中で高級クラスに位 置づけられる。従って、キャラバンで旅するのは中高年の人たちが多い。中でも一式で一千万は優に越える4.5Lのランクルと4軸の大型キャラバンの組み合わせは引退後のステータスと思われる。キャラバンは引退した夫婦が十分に時間をかけて優雅に大陸を旅する、そんなスタイルに最適である。(余談であるが、あんなでかい箱を家に停めておくスペースがある。やはりオーストラリアは豊かである。)

もう一つのタイプは"キャンパー"という。ワンボックスワゴンやトラック、四輪駆動車を改造し、自動車本体に居住スペースを組み込んだタイプである。基本的には運転席から後ろのスペースに台所やベッドなどが効率よく詰め込まれている。限られたスペースなので、ベッドは収納式が多く、ベッドメーキングはキャンパーの就寝前の儀式である。改造元のタネ車もその上に架装するキャビンも多岐にわたり、量 産タイプからハンドメイドの改造車まで、旅人の数だけキャンパーの種類はある。トレーラーに比べ比較的安価に入手できるため若年層に人気がある。特にVWのワンボックスを改造したキャンパーは若者カップル御用達である。しかもトレーラーのように牽引の技術を必要とせず、取り回しも楽なので旅行者へレンタカーとして数多く提供されている。実際、ヨーロッパからの旅行者を中心に人気のある移動手段である。 このコラムではワシの経験を元に、キャンパーを中心に新しい旅の提案をしたい。























● キャンパーに関する素朴な疑問

Q1:特殊な運転免許が必要か?
A1:通常のレンタカーと同じで日本から持参した国際免許でOK。年齢制限等は各社のHPを参照されたい。

Q2:どこで借りることができるのか?
A2:オーストラリアには"Britz Australia"、"Maui"というキャンパー専門のレンタカー会社がある(その他にも中小の会社も有り)。また、HartzやBudgetなどの大手も種類は多くないがキャンパーを用意している。いずれも、シドニー、メルボルン、アデレード、パース、ブルーム、ダーウイン、アリススプリングス、ブリスベン、ケアンズ、ホバートに拠点がある。注意が必要なのはHartzやBudgetなどでは一般 のレンタカーに比べキャンパーを取り扱う営業所が限定されていること。オーストラリア全土に広がる全ての拠点で借りることができるわけではない。

Q3:車内の設備について。何が付いているか?
A3:車内の設備はどの車種を借りるのかにより当然異なるので、詳細は別項にゆずる。最低限、ベット、台所(流し・コンロ)はどの車種にも用意されるので、食う、寝るはキャンパーの中でできる。水タンク、ガスタンクも装備している。備品としては寝具(枕、シーツ、寝袋)、調理道具一式(なべ、フライパン、包丁など)、食器一式(皿、カップ、コップなど)、冷蔵庫のない車種にはクーラーボックスが付く。その他掃除用のモップ、洗濯ばさみと物干し用のひも、給水用のホース、電源接続用コードなどなど。更にオプションで日除け、ピクニックテーブルとチェア、救難用ビーコンまで用意される。従って基本的に食材以外は何も持参する必要がない。

Q4:ベットメーキングについて
A4:これがワシの借りる前の予想とは一番違っていた点。ハンドルのようなものをクルクル回せば天井からベットが降りてくる...?そんな高度な仕掛けはなかった。昼間は向かい合わせになっているソファーの間に板を渡し、その上にマットを敷き詰める。もしくはハイルーフの前方に分割して収納していた板を引き出し、二階にベットを作りマットを敷く。すなわち全て手動、力業である。

Q5:どこに泊まるか?
A5:キャンピングカーなので泊まろうと思えばどこにでも泊まることができる。しかしながらいくら治安のいいオーストラリアでも野宿は危険。また電源やトイレ・シャワーの問題もある。そこで強い味方がキャラバンパーク。簡単に言えばオートキャンプ場。但し、日本の一過性ブームとは異なり、オーストラリアではレジャーの宿泊施設として完全に定着している。前述のトレーラーを牽いたおじさんたちもここへやって来る。従って安宿と言うよりもある程度格のある宿泊施設と言える。パーク内には色々なタイプの施設が選択できるが、キャンパーの我々はパワード・サイト Powered Siteへ。番号の付いた芝生のグランドに電源供給用のコンセントの付いたポールと水道がそれぞれある。指定された番号のエリアへ車を停めよう。この時車が水平になる位 置に停めるように、さもないと傾いた車内で頭に血が上り眠れなくなる。それとできれば東側に木があって朝日を遮るエリアを指定しよう。早朝から猛烈な日光の熱で目覚めるのは避けたいものだ。後は電源ケーブルをつなぎ、水道からホースでタンクに水をひく。これで一応の準備は完了だ。 その他一部の国立公園にはキャンピングエリアが設けられており、そこにも宿泊が可能。ほとんどの場所は大自然のまっただ中に位 置し、キャラバンパークに比べ遙かにワイルドな体験ができる。キャンプファイヤーを炊き、満天の星の下で眠る、そんな経験もここならできる。勿論設備は最低限しかない。トイレとバーベキュー台位 のもの。電気の供給はない。巡回してくるレンジャーに料金を払う。

Q6:バッテリーは大丈夫か? 電気系はどうなっているのか?
A6:電気系がどういうシステムになっているのか借りるまで判らなかった。基本的には通 常走行用に使うバッテリーと居住用のものは異なる。すなわちバッテリーは二系統になっているのだ。エンジンからバッテリーへ電気が供給されるのは勿論のこと、居住用バッテリーへは外部の家庭用電源からも給電が可能になっている。従ってキャラバンパークに入ってエンジンを切ってもパワード・サイトにある電源にケーブルをつなげば常に電力の受給と充電を行うことができる。仮に充電をすることができなくても冷蔵庫を動かしたまま24時間位 はバッテリーは持続する。仮に居住用バッテリーが消費してもエンジンの起動には関係ないのでご心配なく。エンジンが動き始めるとバッテリーへの充電が始まる。これだけのシステムが完備されているので基本的にバッテリーにナーバスになる必要はない。車内には家庭用電源のコンセントもついているので、いろんな用途に利用できる。

Q7:台所の設備は?
A7:ほとんど全てのキャンパーには水道、シンク、コンロ、そして調理器具一式が装備される。各車には水タンクも装備されており、そのタンクから車内の水道に水が供給される。水道の蛇口に注意したい。四駆系のキャンパーは"手動ポンプ"式で、蛇口の上のポンプを押しては放し、押しては放しする間、水が出てくる。この方式は片手が常にポンプを動かさねばならないため皿洗い等不便を来す。その他の方式としてシンクの横に電動ポンプのスイッチが付いて、それを押し続ける間水が出るタイプがある。手動ポンプよりは若干楽である。一番いいのは家庭用水道の使用感と同じに蛇口をひねると常時水が出る方式。蛇口のひねりとポンプが連動しておりとても快適である。高級仕様タイプではお湯もワンタッチで出るようになる。使用済みの汚水は車外に排出される。通 常そのままホースを伝って垂れ流しになるので、キャラバンパークでは車載のバケツを排水口にすけるのがマナー。バケツが一杯になったら自分のサイトにある汚水溝に捨てよう。参考までに言えば狭い車内で皿洗いするよりもキャラバンパークの洗い場の方が遙かに楽。状況に応じて使い分けよう。脂っこい汚れは赤土をまぶして土に染みこませる。土ごと脂を取り除き、後は水洗いだけでOK。 コンロは車載のタンクからプロパンガスが供給される。一部の車ではコンロがハンディタイプになっており、状況に応じて屋外でのバーベキューなどにも利用できる。ガス栓は二重になっており、走行中は必ず両方の栓を閉めること。ガスタンクは想像以上に長持ちで二週間三食調理を行っても空になることはない。車を返却する際にガソリンと同様にガスも満タンにすること。チャージはガソリンスタンドで受け付けてくれる。ガスコンロは簡易タイプが多く着火にはマッチを必要とする。ここで便利なのが"チャッカ・マン"。一発で着火できる。キャンパーを借りる予定の方は日本から持っていくといい(但し、飛行機に乗るときはガスを抜いておくこと)。

Q8:冷蔵庫について
A8:冷蔵庫は自炊の強い味方。また、冷えたビールがいつでも飲めるというのはとてもうれしい。ほとんどのキャンパーに冷蔵庫が装備されているのでご安心あれ。容量 はあまり大きくないので収納には工夫が必要。一部の四駆ベースのキャンパーには冷蔵庫の代わりにアイスボックスが付く。オプションでシガーライターから電源を取る小型の冷蔵庫が用意されている。ワシはオプションの冷蔵庫を借りることをお勧めする。食材の詰まった大型のアイスボックスを車内から取り出し溶けた水を捨て、氷を毎日詰め込む作業はかなりの重労働である。

Q9:冷房は付いているか?
A9:運転席は100%冷房完備である。問題は居住スペース。Galleryにも書いたが、南回帰線を越えて熱帯地域を雨期の間に旅すると毎晩凄まじい湿気と暑さ、そして蚊に悩まされる。ワシはブルームまで冷房の付いていない車で我慢したが、その先ダーウインまでは冷房付きのタイプに車を代えた。ブルームまでは夜が憂鬱だった。冷房があるとなしでは天国と地獄である。しかし、いくら快適とは言え、閉め切られた室内でキャンプの雰囲気から乖離していく自分も感じた。おそらく借りる人のスタイルで決めるべき問題だと思う。快適に行きたい人、ワイルドに行きたい人、しかもどの季節にどこを旅するかによって判断が異なる。

Q10:持参すべきもの
A10:既に述べたが、必要なものは基本的に車に付いている。それ以外に先ほどのチャッカマンのようにあると便利なものをいくつか紹介しよう。まず第一は蚊取り線香。夜どんなに注意していても車内に蚊が進入する。それを退治するには蚊取り線香が一番。現地のスーパーで入手できる。シンクの上に置けば夜でも火事の心配がない。その他の虫対策として、スプレー式の殺虫剤と肌に塗る虫除けは持っておきたい。キャラバンパークに着いたら虫除けを塗ろう。陽が西に傾くと蚊の襲撃を受ける。 冷蔵庫のにおいが気になる人は日本からキムコを持ち込むこと。オーストラリアでキムコ(脱臭剤)を見つけることができなかった。




● タイプ別 キャンパー紹介
ここではこれまでにワシがレンタルしたことのある車種を紹介する。

Bush Camper Four Wheel Drive (Britz Australia)
ランドクルーザーを改造したアウトバック仕様。タネ車のタフな足回りを活かして道を選ばない本格派である。しかも、渡河用のシュノーケルや予備燃料タンクまで付いて、へたな四駆より気合いが入っている。その気になればリアルアウトバックも思いのままである。 反面、外部からの電源供給を受けられるデュアルバッテリーではないので、電気系の設備は貧弱である。残念ながら冷蔵庫が付いていない(アイスボックスのみ。オプションでシガーライターから給電する小型冷蔵庫がある。)ので食料の保存には不便がある。家庭用電源のコンセントもない。走行用バッテリーから給電する小さな室内灯が付いているが、電気系の設備はそれだけである。従ってこの車ではキャラバンパークのパワードサイトを指定する必要はない。電源供給設備のない通 常の素泊まりでOKだ。 また、その他のキャンパーのように側面のスライドドアが付いていないので居住スペースへの出入りは後部ドアからに限られる。水道が手動ポンプなのも結構つらい。 こう書いてくると、不便が多いように聞こえるかもしれない。しかし、アウトバックでは四輪駆動車に数値や装備リストでは表せない安心感がある。予備タンクを併せて180リットル燃料を積めるだけで、どれだけ気持ちにゆとりができることか。また、国立公園内などでは「ここから先、四駆のみ走行可能」という看板が多く見られる。そこからやむを得ず引き返すときの何とむなしいこと。「四駆を借りておけば」、後悔先に立たずである。更に、豪雨で道路が寸断された場合でも四駆では大きな水たまりを乗り越えて移動できるケースがよくある。 そうした意味で未舗装道路で奥地を目指す場合は勿論、通常の移動は舗装道のみでも、雨期のドライブや国立公園内をつぶさに見て回る場合にBush Camperは最高の選択肢となる。実際アウトバックではこのタイプのキャンパーに数多く出会う。

(まだ借りたことはないが、Hertzで用意している四駆キャンパーはデュアルバッテリーで冷蔵庫も装備している。参考までに紹介しておく。)




Hitop Campervan (Britz Australia)
小型キャンパーのスタンダードと言える存在。アウトバックから都市近郊まで多くの場所で目にすることができる。スタンダードと呼ぶにふさわしく充実した装備とリーズナブルな価格が魅力で、難点を探すのが難しい程である。デュアルバッテリー、冷蔵庫、家庭用電源コンセント、ガスコンロ、電動ポンプ式水道など必要な装備が揃う。居住スペースに冷房がないのは仕方ない。但し、雨期に熱帯地域を旅するのであればもう一つ上級タイプの冷房付きにした方がいいかもしれない。 組み立て式の二段ベッドは無理すれば最大三人まで寝ることができるが、やはりきつい。この車は二人用と考えるべきである。前述の通 り台所からの排水は垂れ流しなのでバケツを忘れないように。更に、キャンプ場から出発するときにこのバケツの回収も忘れないように。ワシはバケツ一つを車で踏みつぶしてしまった。 高い車高が災いして走行性能は高くない。横風やロードトレインとのすれ違いにはくれぐれも注意を。また、この図体に2.4リッターのエンジンなので非力である。エンジンに余裕がないので無理な追い越しなどは避けた方が無難である。エンジンが座席下にあるので、点検の際、エンジンベイの開け閉めには慣れを要する。いざと言うときあわてなくていいように、事前に習得しておこう。 ワシはこの車でシドニーから大陸を横断してパースへ、更にブルームまで北上し、2ヶ月以上をこの車で起居した。それだけ長期に利用できたのもひとえにこの車が快適で優秀なキャンパーであるからに他ならない。オーストラリア人が時間をかけて試行錯誤を重ねたキャンパーレイアウトの集大成であろう。余談であるがキャラバンパークには実に様々なキャンパーが集う。それを目にするときオーストラリアの人々のレジャーにかける情熱、執念を思い知らされる。人々は遊ぶことに金、暇を惜しまない。 シドニーで車を借りるとき「おまえの車は新車だからラッキーだよ」とスタッフに言われた。試しにオドメーターを見てみると5万キロも走っている車じゃないか!どこが新車だと思ったが、ここはオーストラリア。何もかも物差しが一桁違うのである。




Elite Campervan (Britz Australia)
メルセデスの大型バンを改造した上級キャンパー。快適性では二人乗りキャンパーの中で最高である。車内にトイレ・シャワーを備え、運転席だけでなく、居住スペースにもエアコンが効く(エンジンを止めていても)。7メートル近い全長を利して広大な室内空間を提供してくれる。車内で背を丸めることなく歩くことができ、ウォークスルーの車内ではそのまま運転席に移動できる。前述のHitop Campervanから乗り換えるとまるで別世界、キャラバンパークで知り合ったおばさんがこの室内を見て宮殿のようだと言ったのも、まんざら誇張ではない。 水道は家庭用と全く同じ感覚で蛇口をひねるだけで利用できる。これなら皿洗いも楽だ。しかも汚水タンクを装備しているのでバケツが満杯になることを気にする必要がない。グリルは四つも付いておりワシの部屋より上等だ。しかし、ワシはトイレ・シャワーは使わなかった。キャラバンパークではトイレ・シャワーは自由に利用できるし、何より汚物タンクを処理する方が面 倒だ。 全長7メートル、全幅2メートル、全高3メートルの巨体に最初取り回し厄介だったが、慣れれば大丈夫。テークアウエイの店で、軒が車道に張り出しているところでは要注意、ルーフを軒にぶつけないように。メルセデスのターボディーゼルはこの大きなボディにも十分な動力性能を与えている。さすがにドイツの車だけあってミッションやスイッチ類のタッチが固い。不思議なものでこれに慣れると日本車が貧弱に感じてくる。ワイパーやライトなどスイッチ類の操作方法が日本車と異なるので注意が必要。 アウトバックを旅するのにこれだけの豪華仕様車は必要ないというのが本心である。しかし、一旦慣れると離れがたくなる。麻薬のような存在だ。本質的な話をすればこの車を選ぶ唯一最大の理由は冷房付きということ。熱帯地方を特に雨期、快適に健康に旅をしたい人には最善の選択と思う。

Spirit 2 (MAUI Australia)
上記Elite Campervanから乗り換えた小型キャンパー。ダーウインから南下するので、少し我慢すればやがて冷房は必要なくなると判断した。Elite Campervanに比べると価格も魅力的である。一見するとただのワンボックスワゴンにしか見えないが、キャンプ場ではルーフ部分が上昇し、十分なヘッドクリアランスを確保できる。また、走行時に受ける風圧も減少し一挙両得である。ルーフの昇降は人力だが馬鹿力を必要とする代物ではない。出発前にルーフのロックを忘れないように。タネ車はトヨタ ハイエース。同じハイエースのHitop Campervanもよくできているが、この車の完成度は更に上を行く。コストパフォーマンスを考えると最善のキャンパーと言えよう。Hitop Campervanで不満だった点が全て改善されているのだ。折り畳み式のソファーはワンタッチでベットに変化する。ベッドメークがめちゃくちゃ楽である。Hitop Campervanではスイッチ式だった水道が蛇口タイプになり、使用感は格段に違う。しかもエンジンの熱を利用していると思われるシステムで給湯も可能なのだ。 更に、温風、冷風の切り替えが出きる扇風機が付属しており、カカドゥの蒸し暑さも、アリススプリングスの寒さも無事しのぐことができた。本当に欠点のない素晴らしい完成度なのだ。とにかく設備、レイアウトともの小型キャンパーの精緻を極めている。そうそう、何とシャワーまで付いているのである。後部のドアを跳ね上げるとシャワーの蛇口がある。Elite Campervanのようにシャワー用コンパートメントは車内にないが、海で泳いだ後に海水を落とす程度には利用できる。勿論、国立公園のキャンピンググラウンドで近くに誰もいないのなら、大自然の中で雄大なシャワータイムを楽しむことができる。
舗装道を一人もしくは二人で、しかもリーズナブルな料金でキャンパーを楽しみたい場合、ワシは間違いなくこの車をお勧めする。ダーウインからアリススプリングスまで借りた車は14万キロを走っていた。おかげで燃費が悪い悪い、リッター5キロしか走らない。唯一の不満点である。借りる前にできるだけ新しい車を指定しよう。

● まとめ

宿泊代が浮くから」などという"せこい"理由で、キャンパーを借りるならそれは間違いだ。相応のレンタル費用がかかるし、毎日のキャラバンパーク代も発生する。キャンパーは貧乏旅行の手段とはなり得ない。単に安く移動したいなら他に方法はいろいろある。かと言って、どんな豪華なキャンピングカーでも車である以上スペースには制約があり、設備、スペースともに通 常の宿泊施設にはかなわない。虫も入ってくるし、蒸し暑さに耐えねばならない夜もある。慣れるまでの2、3日は正直つらい。「借りて失敗した」と思うかもしれない。正直なところキャンパーでの旅はある程度の我慢を強いられる。 それでも多くの人々がキャンパーで旅するのは何故だろう。そして我々が旅先でキャンパーにある種羨望の眼差しを向けるのは何故だろう。
ワシは思う、キャンパーを手にすることは自由を手にすることだと。今日どこまで走るか、どこで昼飯を食べるか、どこに寄り道するか、夕食の献立は何にするか、どこで眠るか、全ての自由を手に入れるためのツール、それがキャンパーなのだ。しかも舞台はオーストラリア、自由を活かす旅のメニューは無限にある。ここまで読んでワクワクしている人は、少し勇気とお金を出してキャンパーの旅を旅程に組み込むといい。キャンパーは自由を欲するあなたにとって最高の移動手段となるだろう。


● リンク集

レンタカー関連

Britz Australia (最もポピュラーな大手キャンパーレンタル会社。各地に拠点を持ち車種も豊富に揃う。)
http://www.britz.com/

MAUI Australia (キャンパーレンタル大手。拠点網はBritzと同等。Sprit 2をはじめ魅力的な車が選べる。)

http://www.maui-rentals.com/

NQ Australia
(QLD、NTに拠点を持つ中堅会社。他にはない独特な車種が多い。HPには車内のムービー有り)
http://www.nqrentals.com.au/

Hertz Campervans Australia and New Zealand
(Hertzの四駆キャンパーは次回試したい。)
http://www.hertzcampervans.com.au/

キャラバンパーク

オーストラリアの二大チェーン。全国規模の展開で充実した設備と素晴らしい環境を提供する。

BIG4

http://www.big4.com.au/

Top Tourist Park

http://www.toptourist.contact.com.au/

その他
Jayco
(キャラバンの大手メーカー。キャラバンに興味のある方はこちらへ。)
http://www.jayco.com.au/


2001.03.05 掲載
2002.11.01 レイアウト変更・リンク情報更新
2004.04.05 レイアウト変更・文章修正