撮影地:チェンバーズピラー(アリススプリングス南方)

● 悪路
チェンバーズ・ピラーまでの道中は、砂利道、枯れた河床、サハラのような砂地、泥濘、急勾配とラリーの訓練のように様相を変え、ワシの前に立ちはだかった。アクセルを踏み込むほどに大荒野の奥深く入り込んでゆく。如何に四輪駆動に乗っていようとも、十分な装備を持っていようとも、奥地への旅では常に恐怖と向かい合う。人里を遠く離れた荒野では何か起きても助けは期待できない。しかしながら、決して引き返そうとは思わない。この先に進みたくて日々働いてきた。人跡まばらな大荒野に立つ夢を毎日見続けた。今、その思いが実現しようとしているのだ。情熱は恐怖に勝る。人々が夢に向けて費やしてきた時間、労力、費用、即ち情熱は現地において推進力に変化する。その力によって様々な探検や冒険、探査などの偉業は達成されたのではないのか。オーストラリア内陸の"おそるべき空白"に恐怖した初期の探検隊もきっとそうだったろう。今も昔も荒野は人々の情熱を惹きつける。かく言うワシもアウトバックに引き寄せられた一人である。

Nikon F4,
Ai AF Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-F4.5S
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F5.6
On The Way To Chambers Pillar, Northern Territory
December, 1995

2001.04.05 掲載
2002.10.24
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