撮影地:チェンバーズピラー、ノーザンテリトリー

● 歴史的眺望
チェンバーズ・ピラーは高さ58メートル。自然の造った巨大な柱である。命名したのはオーストラリア大陸探検史上の巨人ジョン・マクドアル・スチュアート John McDouall Stuart。探検のスポンサーの一人であるジェームス・チェンバーズ James Chambersにちなんでこの"目立つ丘"をチェンバーズ・ピラーと名付けた。1860年4月のことだ。スチュアートはその後の数次に及ぶ探検でピラーを道標として利用している。エアーズロック(ウルル)の再発見にその名を残すアーネスト・ジャイルスやジョン・ロスの目印にもされたという。ワシは不覚にも見逃してしまったのだが、ピラーの壁面 にはオーストラリア探検時代の西暦や人名が刻まれているそうだ。写真は道中にある丘の上からの眺望、中央上方にある細長い塔のようなものがチェンバーズ・ピラーである。大荒野にそそり立つ大きな柱、なるほど、絶好の目印である。スチュアートの訪れた140年前とこの眺めはほとんど変わるまい。過酷な自然が人間を拒み、開発はこの地に及んでいない。厳しい環境は結果 として大きな保存力となったのだ。ここに立つと、大陸縦断ルートを実質的に切り開き、スチュアート・ハイウエイにその名を残す偉大な探検家と視界を共有できる。冒険好きには劇的で何とも光栄な場所である。

Nikon F4,
Ai AF Nikkor ED 180mm F2.8S (IF)
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F5.6
On the way to Chambers Pillar, Northern Territory
December, 1995

2001.03.28 掲載
2002.10.23 写真サイズ拡大・レイアウト変更 ・
アクセス解析対応