撮影地:チェンバーズピラー(アリススプリングス南方)

● ガム・ツリー

アウトバックを旅すると、干上がって河床をむき出しにした川を度々見かける。その川の両岸にはベルトのようにユーカリの木が連なっているはずだ。写真はチェンバーズ・ピラーへの道中で見かけたリバー・レッド・ガムの大木。ユーカリの一種である。川が干上がるほど乾燥した状況でも、緑を絶やすことなく命を繋ぎ、洪水により露出した根は環境との苦闘を物語る。全くタフな奴である。ユーカリは非常に種類が多く、その数600種という。共通の特徴として葉っぱが細長く、上下方向に向いている。大気中の露や微少な雨滴も漏らさず確実に足下の根に落とす形なのだ。自然環境の厳しいアウトバックでは、このように、生物は様々な形に進化している。腹に蜜を貯めるミツツボアリ、体に付着した夜露をすべて口に運べるトゲトカゲなど、枚挙にいとまがない。環境に適応して形作られた生物の形態を見るとき、一般には突然変異の繰り返しと説明されている進化の過程に、人知を越えた意志のようなものが介在するのではと思えてならない。生き物たちの造形は理詰めで、ある種の知恵を感じるのである。

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Nikon F4,
Ai AF Zoom Nikkor 28-85mm F3.5-F4.5S
Fujichrome PROVIA ISO 100 (RDP II)
Aperture-Priority Auto @ F5.6
On The Way To Chambers Pillar, Northern Territory
December, 1995

2001.04.06 掲載
2003.06.23
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