撮影地:カルンバ〜ノーマントン

● カーペンタリアへの道-2
カーペンタリア湾岸の街カルンバへの最後の行程、この地域の中心地であるノーマントンからカルンバは約70キロ、最果ての海はもう間もなくである。ノーマントンを出て、しばらく走ると、道路の両側に茂る背の高い木が消え、枯れ草に覆われた広大な低地へと出た。はじめワシはこれを見て、放牧用に人工的に切り開かれた土地だと考えていたが、どうも様子がおかしい。走れども走れども、同じ景色が延々と続く。何か別世界に入ったようだ。もちろん、初めて目にする光景だ。これだけの面積を切り開くなんて人間業ではとてもできそうにない。ここは自然が作り出した氾濫原なのだ。おそらく雨期に道路は水没する。いたるところに見られる「FLOODWAY」(冠水注意)の道路標識が何よりの証拠だ。この地域が"ラスト・フロンティア"と呼ばれる所以、川は氾濫を繰り返し、時にその流れの方向や場所さえ変える。ここに人為は存在しない。異次元の世界に迷い込んだような光景に当惑しつつ、逃げ水に先導されながらカーペンタリア湾へとラストスパートをかけた。

Nikon F5A with MF-28,
Ai AF VR Nikkor ED 80-400mm F4.5-5.6D,
Fujichrome PROVIA 100F (RDP III)
Aperture-Priority Auto @ F5.6
Normanton~Karumba, Gulf Savannah, Queensland
October, 2001

2002.09.13 掲載