アリスという街--アリススプリングス

アリス・スプリングスの街を一望できるアンザック・ヒル、黄昏時若い旅人を中心に訪れる人が途切れない。アリスという街の本質を知るにはダーウイン、もしくはアデレードから車を走らせるのがいい。陸路2日もしくは3日かけて、アリス・スプリングスの街に入った時、この街の何たるかを身を持って感じることができる。スチュアート・ハイウエイの両端の街からともに約1500キロ、途中わずかに街と呼べるのは、北からの場合、キャサリンとテナント・クリーク、南からはポート・オーガスタを過ぎると、クーパー・ピディのみ。ハイウエイは全線舗装されており、このルートには既に過日のような冒険の要素は少ない。しかし、そこに横たわる距離は開拓時代と何ら変わることなく、大きな空白を旅人は克服せねばならない。アリスへの到着は良きに付け悪しきに付け文明への帰還を意味する。荒野好きを自任するワシもアリスの街に着いた時、正直ホッとしたと白状せねばならない。荒野に忽然と現れる都会（人口3万人足らずだが、大都会に見える）、MacもKFCもウールワースもコールズもある。旅人は久しぶりに文明を享受できる。旅の後半戦を控え、ワシは荒野のオアシスで鋭気を養った。