【図解 ナレッジ・マネジメントが見る見るわかる】
サンマーク出版

大浦勇三 著

IT時代を乗り切る強力な武器だ!
人と人が交わり、情報や知識を知恵にまで高めていく営みがナレッジ・マネジメント。
eビジネスとナレッジ・マネジメントは表裏一体だ。

【 目次 】

第1章 ナレッジ・マネジメントとは何か

そもそもなぜナレッジ・マネジメントが注目されるようになったのか、
アメリカ生まれの経営手法が日本に根づくのか−−まず全体像を押さえておこう。

1 そもそも「ナレッジ」とは何だろう
◎新たな価値を生み出していくための知的資産
知的資産をデジタルで管理する
ビジネス価値の創造をめざす
2 ナレッジは経験や勘とどう違うのか
◎ナレッジとは、経験や勘のメリットを継続的・安定的に生かすもの
経験と勘だけでは安定性に欠ける
経験や勘のメリットを生かす
3「暗黙知」「形式知」とは何か
◎主観的で形式化がむずかしい暗黙知と、論理的で客観的な形式知
主観的な知と客観的な知
相互補完のダイナミックな関係
4 ビジネスにおいて「ナレッジ」はどんな意味をもつのか
◎ソリューションの時代は、ナレッジによる価値創造が勝敗を分ける
総合サービス化が求められる時代
モノマネ戦略は通用しなくなった
5 データ・情報・知識・知恵(ノウハウ)を生かす
◎データや情報を知識や知恵に変換し、管理する仕掛けをつくる
ナレッジを4つに分類する
「価値」を生み出す知的資産
6 ナレッジ・マネジメントの基本とは?
◎成功へのキーファクターは「企業文化の確立」である
ナレッジを共有する「企業文化」
業務プロセスを変えていく
7 ナレッジ・マネジメントの目的@
◎現状否定から出発し、最終ゴールは「価値の創造」
最終ゴールは「価値創造」
異質なナレッジを組み合わせる
8 ナレッジ・マネジメントの目的A
◎顧客や市場から学ぶことがナレッジ・マネジメントの第一歩
研究所を事業部門に近づける
市場や顧客のナレッジを活用する
9 小集団活動、TQCなどとの違いは?
◎目的は効率化やコスト削減ではなく、競争に勝つことにある
目的は競争に勝つこと
現存のプロセスを前提としない
10 なぜアメリカで発達したのか
◎情報スーパーハイウェイ構想がナレッジ・マネジメントを加速した
ナレッジ経済への移行
デジタル・デバイドが発生する
11 Know-Whoとは何か?
◎ドキュメントの背景を知る者にコンタクトできるしくみをつくる
資料作成者の意図をくみ取る
Know-Who(誰を知っているか)
12 ナレッジ・マネジメント導入と顧客満足
◎顧客とパートナーシップを組み、顧客満足を継続的に実現できる企業が勝つ
顧客満足を継続的に実現する
顧客に積極的に働きかける
13 日本でも知識・経験・知恵・伝統を生かしてきた
◎歌舞伎などで行なわれてきたナレッジ・マネジメントを見直す
常時、ナレッジの入れ替えを行なう
「匠の技」を見直す
14 従来の経営手法とどこが違うのか
◎「改善」ではなく「改革」をめざす経営手法であり、トップのリーダーシップが ポ
イントになる
上司と部下は「開いた水平関係」へ
「改善」から「改革」指向へ
15 個人のナレッジを組織のナレッジにするには?
◎「組織に対するナレッジ貢献」の評価軸を明確に打ち出す
人事評価を見直す
ナレッジ貢献を評価する

2章 なぜナレッジ・マネジメントが必要なのか

社員が持っている経験や知恵や知識を企業の中で体系化し、
知的財産として再利用していかなければならない時代になった。

16 IT時代のビジネスモデルとは何か
◎エクスパティーズ(高度専門性)を統合してビジネスを展開する
「独自性」と「全体感」をもつ企業
エクスパティーズの統合が不可欠
17 ナレッジをベースにした価値創造と経営方針
◎大量生産から、ナレッジをベースにした価値創造へ方針を転換する
知的資産規模が勝負を決める
人材の教育と育成を重視する
18 知的資産を生かすしか、道はなくなった
◎仕事の仕方をゼロから見直し、ITをうまく活かそう
顧客の要求はますます高度化する
知的資産の特性を生かす
19/顧客と企業双方が得をする「 Win-Win関係」をつくる
◎効率重視の組織から、創造を前提とする組織に変えて顧客のナレッジを取り込む
双方が満足する関係
「外部の知」をあらかじめ取り込む
20 アメリカ企業の取り組み方は?
◎ナレッジ・マネジメントは、収益の源泉の主役として期待されている
収益逓減から収益逓増へ
評価段階から実施段階へ
21 価値創造のプロセス(仕事の進め方)を見直す
◎「価値」をつくり出す業務を明確にし、定型的な業務はアウトソーシングする
常に情報を発信し続ける
価値創造業務に注力する
22 人事評価は顧客満足に基づいて行なう
◎「成果」「能力」「意識」の3つの側面から評価を行なう
評価を公開する
「成果」「能力」「意識」を評価
23 知識・経験・知恵を"棚卸し"する
◎経営の視点から知的資産の定期的な棚卸しを行なう
個人のスキルや技術を洗い直す
知的資産と物的資産に違いを確認
24 知的生産性を向上させる
◎同じことで競争をするな。新商品・新サービスで差別化しよう
ナレッジを事業展開の核に置く
意識的活動と無意識的活動
25 人材の採用基準を見直す
◎一生学習し続けることができる人を採用しよう
自分のキャリアを切り開いていく
インフォーマルなネットワーク

第3章 ナレッジ・マネジメントの進め方

ナレッジ・マネジメントをスタートさせ、成功に導くためには
具体的にどのようなプロセスと手順を踏まなければならないのだろうか。

26 成功させるための5つのポイント
◎ビジョンを明確にし、人材、ITの活用を考える
向かう方向とゴールを決める
成功のための5つのポイント
27  まず経営ビジョンを再確認し目標を明確にする
◎インタビューやイントラネットによって内外の意見を集めよう
何をやるのか、何をやりたいのか
市場と顧客の立場に立つ
28 成果の評価基準を全社員に明示する
◎ゴールに対する評価の基準を明確にしておこう
評価基準を設定する視点は?
基準は初期と普及段階では異なる
29 「コミュニティ」を中心としたナレッジ組織をつくる
◎「グループ・インテリジェンス(グループとしての強み)」を持った企業は強い
社内横断のインフォーマル組織
「刺激」と「反応」を相互に行なう
30 ナレッジ・ワーカーを育成し、権限を委譲する
◎採用の段階で、価値創造の潜在力を有する人材を評価する
求められる資質は「好奇心」
「学習マネジメント」が必要
31 ITで「デジタル・ナレッジ・フロー」を構築する
◎ITの3つの特性がナレッジ・マネジメントを支援する
ITの3つの特性とは?
バーチャル・チームを構成する
32 チーフ・ナレッジ・オフィサー(最高責任者)の役割
◎ナレッジ・マネジメントのビジョンと戦略を策定し、成果に対する責任を負う
副社長や役員クラスを任命する
ナレッジ・マップを設計する
33 ナレッジ・マネジャーの役割は?
◎社内の組織を「知」を重視する文化・風土に変えていく
実質的な現場責任者を決める
経営トップ直属にする
34 チームワーキングが創造の源
◎技術・スキルに優れた者を招集して「ドリームチーム」を結成する
互いの技術・スキルをぶつけ合う
コラボレーションによる価値創造
35 ナレッジ・データベースをつくる
◎大切なのは、顧客などのさまざまな情報を、価値あるものに変換していくことだ
情報を価値あるものに変換する
Know-Who情報を活用する
36 「学習する組織」をつくり上げる
◎仕事を通じて学習し、学習したことを普遍化し、共有して仕事に生かす組織を
「学習」を共有し仕事に生かす
ウェブ・ベースド・ラーニング
37 ベンチ・マーキング手法を活用する
◎優良企業のノウハウや実際を、自社のナレッジとして取り込む工夫をする
優良企業と自社を比較する
他社の強みを取り込む
38 Know-Whoネットを確立する
◎社内外や顧客との間にネットワークを築くことでナレッジを有効活用する
ベストなナレッジを社外に求める
顧客の知恵を取り込む
39 イノベーション力を高めて「組織IQ」を上げる
◎組織全体としてのIQを高めることで、ビジネスの勝者となる
新商品が総売上げに占める割合は?
「コミュニティ」の活発度合は?
40 ナレッジ・マネジメントを推進する部門は?
◎事業部門が責任主体となり、情報システム部門がそれを支援する
事業部門を情報システム部が支援
全社レベルのCKOを設置する
41 推進のガイドラインを作成する
◎事業特性や顧客特性の違いを見極めた上で作成する
ビジネスと密着したものにする
ガイドライン自体がナレッジ
42 投資の成果を測定する方法は?
◎企画提案書の提案件数やナレッジ登録数などを尺度とする
成果測定はビジネス別に
結果にこだわりすぎない
43 ナレッジ・マネジメントの阻害要因を取り除く
◎オペレーション文化からコラボレーション文化への改革を進める
自分の市場価値を知る
コラボレーション文化への意識改革

第4章 ナレッジ・マネジメントの導入事例

先進企業ではどのようにナレッジ・マネジメントを実践しているのだろうか。
ナレッジ・マネジメントを成功させるために、いくつかの導入事例を見ておこう。

44  知的資産が収益を生む時代になった!
◎自社にどのような知的資産があるかを点検し、その資産の再配分に焦点を当てよう
知的資産こそが収益を生み出す
顧客とともにナレッジを創り出す
45 ビジネスにおけるナレッジの活用とは?
◎eビジネス・モデルには4つの事業成功要因がある
価値のネットワークを組み立てる
失敗は成功のための学習
46 金融サービスにおけるナレッジの活用とは?
◎内部の知的資産だけにこだわらず、外部のビジネスヒントを積極的に取り込む
情報、知識、知恵の勝負
他業界からビジネス・ヒントを得る
47 CRMとSCM(サプライチェーン・マネジメント)への活用
◎顧客との密着度を高めて、需要変動に対応していかなければならない
フレキシブル需要変動の時代
商品、サービスを迅速に提供する
48 研究開発と商品企画における活用とは?
◎異質なナレッジをぶつけ合うことによって、新しい技術や商品が生まれる
異質な人材や風土を取り込む
ITで組織の壁に風穴を開ける
49<事例1/バックマン・ラボラトリー社>
ビジネス・コンセプトを180度転換
◎新商品売上比率が、10年間で15%から35%に上昇した!
ナレッジそのものを売る
新しい市場と顧客を掘り起こす
50 <事例2/ルーセント・テクノロジー社>
企業を買収して異質の知を取り込む
◎会社を買うのではなく、その会社の人材を買う
会社を買うのではなく人材を買う
小規模コミュニティを育む
51 <事例3/アマゾン・ドットコム>
電子商取引データを徹底的に分析する
◎個々の顧客の嗜好に合ったさまざまなサービスを提供
データ・ウェア・ハウスの活用
顧客同士のコミュニティが成立
52 <事例4/航空測量大手A社>
技術と営業のデータを全社的に共有
◎提案内容が説得性を増し、成約率が向上した
顧客は複合サービスを求める
知的資産を提案営業につなげる
53<事例5/情報通信大手B社>
全員がホームページを持ちナレッジを共有する
◎ホームページを通じて、他部署のメンバーに仕事を依頼する
個人の仕事歴、得意スキルを掲載
ホームページで自分を売り込む
54 <事例6/ウォルマート社>
「オペレーション・スピードの向上」をめざす
◎週7000万件の顧客購買履歴を編集・分析し、購買行動のトレンドを抽出する
週7000万件の顧客購買履歴
「変化し続ける」企業文化
55 <事例7/チェースマンハッタン銀行>
重要顧客へのクロス・セリング(抱き合わせ販売)を徹底する
◎顧客情報から重要顧客を絞り込み、広範囲にサービスを提供
銀行業から総合金融サービスへ
クロス・セリングを展開
56 <事例8/建設大手C社>
提案活動の質を高め、類似案件のナレッジを再利用する
◎仕事のヒントが生まれ、他部門との連携が可能になった
文書、図面をデジタル化
新規の提案活動の質を高める
57 <事例9/大手シンクタンクD社>
顧客に斬新なナレッジを提供して他社に勝つ
◎個々人の持つ知識やノウハウを全社で共有する
暗黙知を共有する
協働で価値を創造する
58 <事例10/IBM社>
コミュニティ活動を通じて意識改革
◎約50のコミュニティがコア・コンピタンス(核となる「自社の強み」)をつくり出す
全体の枠組みを再設計
グローバル・ラーニング戦略
59 <事例11/広告大手E社>
個人の知識創造を全社的な効果へつなげる
◎個人技の限界を見据えながら、個人技をより発揮させる
個人のアイデア、独創性が命
価値創造の原単位は個人にある
60 <事例12/流通大手F社>
売れ筋商品を発掘して俊敏な販売活動につなげる
◎営業日報のデータを「知」に変換し、翌日の午前中に各店舗に送付
チャンスを逃さない販売体制
「よく売れる売り場」づくり
61 <事例13/大手製薬G社>
全社イノベーションを推進する「知創部」を創設
◎毎日の仕事のなかで、一人ひとりが「何をやりたいか」を真剣に考える風土をつくる
全社イノベーションを推進
「知の広場」を開設
62 <事例14/医薬大手・メルク>
すべてを紙ベースからデジタルへ移行する
◎特許をデジタル化し、新薬開発のスピードアップにつなげる
数%しか使用されていない特許
「Wisdom」が求められる時代
63 <事例15/ABB社>
ナレッジの創出が、世界戦略を進める上での基本になる
◎世界各国のグループ企業と、リアルタイムでのコミュニケーションを可能にする
ナレッジを組織全体で共有する
全世界のメンバーと対話できる
64 <事例16/3M社>
失敗を知的資産として活かし、新製品売上比率を高める
◎目標は「過去4年間で出した商品で、売上高の30%を稼ぐ」こと
失敗から大ヒット商品を生む
勤務時間の15%を好きな研究に
65 <事例17/ヒューレット・パッカード>
Know-Whoネットワークを生かす
◎コミュニティ活動を重視し、経験や知見を継続的に共有する
最高の人材を雇用し、手放すな
誰でも参加可能なコミュニティ
66 <事例18/プロクター&ギャンブル社>
あらゆるデータを基準化し、ムダを削除する
◎「データ基準」化が、意思決定の正確性と数億円規模のコスト削減に寄与
世界中の地域を標準化
DWH活用でコスト削減を実現

第5章 21世紀のビジネスはどうなるか?

ナレッジを有効活用した企業が生き残る時代になった。では、IT革命が進むなか、
21世紀のあるべき企業の姿とは?

67 ナレッジを生かした企業が勝つ
◎ナレッジがからむビジネスは、収益がしだいに増大していく
クルマは限りなく無料に近づく
知的資源の全体を最適配分する
68 ビジネスはどう変わるか−−規模の追求から価値の追求へ
◎メンバー一人ひとりの「情熱」「頭脳」がビジネス変革のテコになる
何を変え、何を残すかを明確に
境界のない連携関係
69 日本の文化を生かしたナレッジ・マネジメントとは?
◎日本の生産文化をつくりあげてきた「匠の技」こそがナレッジだ
「匠の技」とナレッジ
「永年雇用」にもメリットはある
70 個人の「リベラル・アーツ(一般教養)」を生かすには?
◎取り込んだ情報を価値に変換する役目を果たすのが「リベラル・アーツ」
ソリューション対応の時代
要素を統合する構想力
71 IT革命とナレッジ・マネジメント
◎ナレッジ・マネジメントはITの有効な利用法を提示している
情報技術の可能性は?
ナレッジのソフトウェア
72 ナレッジを重視した収益構造改革とは?
◎@事業ポートフォリオの見直し、A事業システム改革、B業務プロセス改革−−を検討する
新しい価値を生み出すしくみ
収益構造改革の3つの方策
73 前例にこだわらない「意識改革」を進める
◎「新しい発見を繰り返す」ためにナレッジを共有し、活用しよう
自分の役割を鮮明にする
「Out of the Box」 の発想
74 「思考プロセス」のリエンジニアリングを!
◎自分自身をぎりぎりまで追い込み、「問題設定能力」を鍛えていく
「WHAT」を追求する
自分をぎりぎりまで追い込む
75 顧客とともにナレッジをつくり出す
◎顧客を、ナレッジに関するパートナーと位置づけよう
「一物一価」の時代は終わった
顧客との積極的な連携をはかる
76 人材教育を評価制度とリンクさせる
◎仕事の価値と報酬をリンクさせた評価制度をつくる
仕事の価値に重点を置く
成果と報酬をリンクさせる
77 創造性を高めるオフィス設計が求められる
◎増加するプロジェクト形態に合わせた仕事環境を整える
創造性を高める環境をつくる
創造的な「場」を用意する
78 今、乗り越えるべき4つの課題とは?
◎「あるべき姿」を描いてギャップを克服する
経営トップの認識とのギャップ
エクスパティーズを育成する
79 ナレッジ・マネジメント失敗の責任は誰が取るか
◎CEOの責任とするのが妥当だが、実際はそう簡単な問題ではない
30%以上が失敗している
一部の人間だけでは解決できない
80 21世紀に生き残る企業の条件とは?
◎「知」をぶつけ合いながら「より大きな創造」を実現していく
真の資産は「知的資産」
交流を通じて価値創造する