オフィスIQ 向上指南 vol.1

「オフイスで知識や経験の活用がうまく行われていますか ?」
 これからのビジネスは一生懸命に他社と同じことをして競争するのではなく、他社にない新しい商品やサービスで勝つことを考えていかなければなりません。勝負どころは斬新なアイディアや知恵に移ってきたのです。かっては顧客がもつ情報は限られており、顧客の要求内容もそれほど厳しいものではありませんでした。しかし、現在は、顧客の目は肥え情報や知識を豊富に持つようになりました。
  そのため、今までの経験や成功体験だけに頼ってはもはや顧客の心に響くものを生み出せなくなっています。とはいえ、顧客の声にただ忠実に応えるだけでは真の顧客サービスにはならないことも事実です。顧客自身がほんとうに自分が望んでいるものを自らの口を通じてうまく説明できなくなっているからです。とすると、顧客に商品やサービスを提供する側としては、知識や経験を活かし顧客の潜在的なニーズをコンセプトの形で深く堀り下げることをやらないと、顧客のほんとうの満足を得られないことになります。
しかし、これは誰にとっても簡単なことではありません。我々はうまくやってきたことに対して自信と愛着がありますのでそれを簡単に捨てることには抵抗があります。また、慣れ親しんだ方法を別のものに変えていくのも負担が多く気がすすみません。それでもそのような状況を打ち破っていかざるをえないのです。
 十数年前、アメリカは今の日本と同じく、八方ふさがりの状況にあり、今までの成功体験や仕事の方法を根本的に見直さざるをえませんでした。そのためには、カニバリゼーション(共食い)といわれる、自社の商品やサービスを仲間内で競争させたりすることも辞さなかったのです。問題はこれらをただ力まかせにやったのではなく、今までの知識や経験を一度棚卸しした後、組織全体の知識や経験として全員で共有し、新たなアイディアや知恵を生み出す仕組みを作っていったことです。しかも、顧客のニーズやビジネス環境は日々変化しますから、それにあわせて知識や経験を常に最新のものに更新していくことも欠かせませんでした。
日々学びつつ常に新たなアイディアや知恵の創造に挑戦していったのです。
 何だか学校で勉強するみたいだ、と思われるかもしれません。その通りです。21世紀は仕事と学校の境界がなくなっていきます。仕事をしながら学び、学びながら仕事をする時代になります。アメリカではすでにだいぶ前からこのような状況になっています。「知識や経験をお互いに共有し利用する形態が、組織を活性化しアイディアや知恵の創造につながる」といわれるようになっています。これが最近いわれる「ナレッジ・マネジメント」の本質であり、現在、毎日のように耳にする「IT革命」の中味(コンテンツ)の部分にあたるものです。
 また、インターネットがパソコンだけではなく、携帯電話、ゲーム機、複写機などからも利用できるようになり、取り扱う情報や知識は部門や社内という身近な範囲から、社外や国内外までの地球規模にまで広がってきました。身の回りの情報や知識だけで間に合わせるのではなく、ほんとうはこういう情報や知識が欲しいという理想に近い内容を短時間・低コストで追求することができるようになってきたわけです。それによって、より価値の高いアイディアや知恵を生み出す可能性が一段と大きくなってきました。アメリカでは近い将来、ほとんどの情報や知識はコストが限りなくゼロに近い形で手に入るようになると予測されています。とすると、今後はただ情報や知識を集めることに一生懸命になっても、他社も簡単に同じものを手にすることができますので、それだけでは何の差別化も創り出せないことになります。情報や知識を活かしたアイディアや知恵で勝負せざるを得なくなってきたこと、一生学習し続けることでしか生き残れなくなってきたということなのです。

あなたのオフイスでは、知識や経験の活用がうまく行われていますか?