
八ツ淵の滝は、滋賀県で唯一「日本の滝100選」に選ばれた、素晴らしい滝群です。かつては比良登山をする人だけが知る秘境の滝でした。名峰・武奈ヶ岳のバリエーションルートとして古くから開かれてきた道ですが、一般的な登山道ではなかったため、滝を訪れる人は多くありませんでした。 現在では、滝入口のキャンプ場(ガリバー旅行村)が整備され、休日には多くの家族連れで賑わい、散策ルートとして八ツ淵の滝を訪れる人も増えてきました。 また「日本の滝100選」は、1990年4月に環境庁と林緑の文明学会、グリーンルネッサンス、緑の地球防衛基金の三団体の主催による滝選考会で選定されたものです。滝そのものだけでなく、周囲の自然景観も考慮し、未来にわたって子孫に受け継ぐべき環境を重視して選ばれました。しかし残念ながら、選定された滝の中には観光開発によって自然環境が悪化してしまった例もあります。 八ツ淵の滝は、その中ではまだ比較的良好な環境が保たれています。本稿で紹介する自然と滝の写真をご覧いただき、私たちが自然を守るために今何ができるのか、何が必要なのかを考えていただければ幸いです。 |
八ツ淵の滝の読み方は、通常「ヤツブチノタキ」ですが、一部では「ヤチノタキ」と紹介されることもあります。滝名は、連続する八つの滝と淵に由来し、その名の通り、下流から順に「魚止」「障子」「唐戸(空戸)」「大摺鉢」「小摺鉢」「屏風」「貴船」「七遍返し」の八つの滝が連なっています。 「大摺鉢」「小摺鉢」を除き、「貴船滝」「貴船淵」のように、「滝」と「淵」の両方の呼び方が用いられる場合がありますが、本稿では表記を「滝」に統一します。 これら八つの滝のほかにも、いくつかの美しい小滝が点在し、上流の自然林から流れ出る清らかな水が、発達した花崗岩の渓谷を流れ落ちていきます。この一帯は豪雪地帯でもあり、2〜3月には2メートル以上の積雪が見られることも少なくありません。遅い年には、5月半ばまで残雪が残ることもあります。 なお、大摺鉢以外の滝へのルートは鎖場が多く、一般向けの登山道とはいえません。 |
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| 魚止滝 | 障子滝 | 唐戸滝 | 大摺鉢 | ||
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| 小摺鉢 | 屏風滝 | 貴船滝 | 七遍返し |
武奈ヶ岳北面のスゲ原を水源とする流路は、もともと八雲ヶ原を経て奥の深谷へと流下していました。しかし、八池谷における侵食作用が著しく進行した結果、谷頭侵食によって分水界が切り崩され、奥の深谷に達しました。これにより河川争奪が生じ、流路は北方へ転向し、大量の水が八池谷へ流入するようになりました。 その後、増大した流水による下刻・側刻作用によって急峻な斜面が削られ、花崗岩体を基盤とする渓谷地形が発達しました。この侵食過程の結果として、現在見られる八ツ淵の滝群が形成されたと考えられます。 |
滝周辺の詳細な地図を作ってみました。谷の様子などは緻密に記号等で再現したつもりですが、全体の距離感などはあてにしないでください。また鎖や梯子、橋なども具体的に書き込みましたが、変わっているかもしれません。図は2000年5月現在の様子です。八池谷全体図・障子の滝付近の拡大図・貴船の滝付近の拡大図があります。 |
| 順次追加アップ予定。取りあえず12点のみ展示中 |