1999年のトラコラム
愛虎の日記
- その補強、完璧のごとし -

終わってみれば最下位であった。順位だけみれば去年までと何ら変わってないが、今シーズン中日ドラゴンズ以外に首位に立ったのは阪神タイガースだけだ。これだけでも今年は大きな収穫があったといえる。前半の好調が嘘のように後半は見る影もなく失速、沈没してしまったが、来年に向けて何がどうなればいいのかということが少し見えてきたように思う。ポイントは何といってもトレードである。FA云々既にいろんな情報が流れているが何が起こるかわからないプロ野球。うまく戦力を補いたい。

投手編:まず、先発ローテーションは、ヤクルトから山部を獲得する。福原を先発に固定する。それに薮、川尻、舩木、プラス若手から1人。中継ぎについては問題ない。球界最高のリリーフ陣が必ずいいセットアップをしてくれるはず。問題はストッパーだが、近鉄の大塚はちょっと無理そうなので、西武から森慎二を獲得するってのはどーだろう。だめなら西崎、あるいは思い切って日本ハムのシュールストロムという手もある。おー、これは我ながらかなり現実的な話しではないか。

野手編:そもそも守備力には不安はないのだから、攻撃面を考えると、今の阪神には日本人の4番が絶対必要だ。どんな手を使っても広島の江藤を獲得すべきだ。ロッテの初芝も捨てがたいが無理っぽい。ケガが治った時には守るところがなくなってそうな中日の山崎もいい。清原は申し訳ないがこちらからお断りしたい。1番ライト坪井、2番ショート田中、3番センター新庄、4番サード江藤、5番ファースト大豊か外国人、6番レフト桧山か外国人、7番セカンド今岡、8番キャッチャー矢野、9番ピッチャー。すばらしい! 完璧だ。

どれもこれもトレード要員多数の我が阪神だからできるいい選択だ。しかも、タイガースから移籍した選手はいろいろな呪縛から解き放たれ大活躍するのは証明されているので、他球団は必ずのってくるはずた。
うむうむ、これはストーブリーグも目が離せないぞ! (10/13)



- その若手、希望のごとし -

死のロードが終わって9月に入るとシーズンも終盤、通常阪神ファンはこの時期になると来年以降を見据えて活きの良い若手に注目するようになる。本当にタイガースは若くて良い選手がたくさんいるのだ。中でも今シーズン特に最近目を惹くのが5年目23歳の田中秀太(たなかしゅうた)だ。

もともと彼はシーズン序盤戦から和田の代わりに時々セカンドを守っていた。また代走の2番手(1番手は高波)としても試合には出ていたが、これまでそれほど目立ったことはなかった。ところがここにきて今岡が故障し戦線を離脱して、ショートの定位置を獲得してからはすばらしい活躍ぶりだ。斬れ味のあるフィールディング、粘り強いバッティング、そして脚もすごく速い。

彼の母校は名門、熊本工業高校である。同校はまたの名を球界屈指の俊足養成所と呼ばれ、OBに元巨人の緒方、広島の前田(タイプは違うが)、など数多くのプロ野球選手がおり、球界に良い人材を送り込むことでも知られている。したがってこの田中秀太、今後の活躍も大いに期待したい。

こんな良い選手が他にもまだまだいる。早々と気持ちを切り替えて「また来年があるさ」というのはもうやめにしよう! 昨年では考えられないこの時期の好調は彼ら若い力のおかげ、そしてまだ闘争心が消えていない証拠、まだ力が残っているのだ。残念ながら我が阪神タイガースは今年も優勝から見放され、タイトル争いをするものもいない。しかしながら、こういう若い力を中心に1つでも上を目指して全力で戦ってこそ本当の意味で来シーズンにつながるというものだ! (9/6)



- その幸福、特権のごとし -

もしこれがジャイアンツであったなら、それはそれは大変なことになっていただろう。評論家の批判、監督の去就問題、ファン離れなどなど、マスコミが大歓迎のネタ大放出に違いない。しかしタイガースは違う。ファンもコロコロ寝返ったりしない。野球観が根本的に違うのだ。私は阪神ファンは日本一の野球ファンだと思っている。

負けが込んでたとえ最下位になろうとも、ファンは阪神を見捨てない。タイガースというチームがある限り応援し続ける。勝てば無条件に歓喜のお祭り騒ぎ。負けてもまた次があるこれからこれから。選手やベンチの一挙手一投足に注目し、どこか良いところを探して称賛し拍手を送る。

これだけチームの状態が悪くても、オールスターでは最高のプレーで大活躍。ファンを納得させてくれる新庄は、まさに阪神タイガースの選手になるために生まれてきたようなもの。それだけで楽しむことができる阪神ファンは本当に幸せだ。勝った負けたでしかプロ野球を見ることができないよそのファンはまことに不幸である。

と強がってはみたものの、一度は首位に立ったことがあっただけにいまの状況はとても寂しい。甲子園をあけ渡し、死のロードと呼ばれる長期遠征もはじまった。後半戦最後のがんばりに期待してまた元気に応援だ! (8/5)



- その投手、過保護のごとし -

阪神に限ったことではないが、私は常々ピッチャーの役割分担的な起用法、あるいは位置づけに疑問を感じている一人である。特にストッパーといわれる仕事にはどうも私自身印象が良くない。

現代のプロ野球は1球1球につかうエネルギーが増加しており、特に先発ピッチャーは疲労回復にも時間がかかるといわれる。それゆえ最近の先発投手は完投させないしできないので、救援投手という仕事があるわけだが、中でもストッパーは9回1イニングだけ投げて追いつかれさえしなければ、セーブがつき高い評価を得ることができる。これは楽な仕事である。

当然リリーフ投手であるから毎日ベンチ入りしなくてはならないし、肩もつくらなくてはならないなど大変なこともあるが、 このところのストッパーは終盤ピンチででてくることがほとんどないし、出てきても抑えられない。もちろんノーアウトでスコアリングポジションにランナーがいれば無得点に抑えるのはとても難しいことであるが、それをやってのけてこそ本当の抑えのエースなのだ。最近の野球ではむしろワンポイントリリーフやセットアッパーのほうがよほどすばらしい。優勝請負人として他球団を渡り歩いていた頃の江夏のようなストッパーはいなくなり、ほとんどが大魔人化しつつある。いわゆる過保護といわざるをえない。

それをふまえて我がタイガースの投手陣を考えると9回だけ抑えるためのストッパーなど贅沢極まりない。ジャイアンツのようによそへ行けばエース級というような投手が二軍にゾロゾロいるようなチームではない。毎日が総力戦になってあたりまえだ。先発だの抑えだのこだわっている場合ではない。先発投手が薮とメイしかいないのにローテーションもなにもないのだ。いまの阪神は首脳陣そして投手陣がこの事を自覚し、はやく建て直しをはからないとかなりまずい状況だ。 (7/16)



- その番号、凶数のごとし -

久しぶりに連勝して貯金もできたが、このところ5割を行ったり来たり、安定といえば安定なのだが、序盤戦の勢いは感じられない。
今まで必死にがんばってきたから疲れているのだろう。それとも梅雨で雨にあたってさびてしまったのか。
化けの皮が剥がれたなどと失礼なことを言うやつもいるが、最近のゲーム内容では言われても仕方がない。
このまま沈んでしまうのだろうか。私も思考回路がおかしくなってきた。

そうだ、きっとサイコロを振って4が出たのだ。4番を入れ替えて4連敗して貯金を使い果たした時のことを考えても、どうも4番が定着しないと調子が出ない。いや、でもそれはどこのチームも同じことだし...。
はっ、我が阪神にとって4という数字は良くないのか。
そういえば日本一の次の年、マット・キーオが来日してピッチャーのくせに背番号4で最下位だったではないか(バースも44だけど...)。むむむ、では高波は使ってはいけないのか。
とにかく今考えられるマイナスの要素はすべて取り除きたい気持ちである。 (7/4)


- 番外編「阪神百貨店レポート」-

この間仕事で大阪へ出張したとき、生まれて初めて阪神百貨店へ行ってきた。
もちろん目当てはタイガースグッズ購入と、純金ノムさんの見学である。
デパートの外壁には「TOPでいきましょう...」の垂れ幕が掛かっており、さすが地元は違うなあという感じ。
6階のタイガースショップは平日にもかかわらずお客さんでいっぱい。通販では手に入れることができないものがたくさんあり、遠方のファンにはとてもたまらない。
ここぞとばかりに買い物かごにあれこれ入れているうちにあっと言う間に1時間が経過。お会計27,450円也。帰ってくるまで何買ったんだかよくわからなかった。
純金ノムさんは9階の貴金属売場に展示されていた。
身長10cmくらいだろうか、小さくてとてもかわいいがゴージャスなノムさんがガラスケースにしっかりと納まっていたのであった。



- その順位、漁夫の利のごとし -

ここにきてセントラル・リーグはまるで戦国絵巻。順位が毎日入れ替わる大混戦だ。
我が野村猛虎軍も苦しみながらも必死で戦っている。
あの清原に3発食らったのはショックだったが、新庄が敬遠ボールをサヨナラヒットしてお返ししてくれた。
しかしながら結果は負け越し。我が軍と尾張の星野竜軍は長嶋巨人軍を足止めできなかったことを深く反省せねばなるまい...。

私は、同率でならんでいるときは首位と思いたくない。 結局1日天下で終わってしまったが、6月10日には戦わずして1位になった。中日ドラゴンズが負けたおかげで6年ぶりの単独首位になった。
どうしようかと思った。
予想外の出来事でどうしていいのかわからなかった。あまりにも久しぶりでよろこび方を忘れてしまった。

それにしてもできすぎだ。
監督が変わるとこれほどチームは変わるものだろうか、いったい何がそんなに違うのだろう。とてもうれしいけどびっくりしているというのが正直な気持ちだ。
野村監督はすごい監督だ。
やりくり一つで、この戦力でもここまで戦えるということを証明している。まさに名将たるゆえんだ。
でも6月は負け越していることをかんがえると、いくら混戦といっても今の順位はタナボタだ。やっぱりシーズンが終わったときに「今年の阪神は強かった」と言われたい。

我が愛虎よ野村監督の御意に従え、さすれば勝利は見えてくる!! (6/14)



- その戦力、砂のごとし -

強かったはずの阪神に陰りが見えてきた。

5/27〜30日、ま、まさかの3連敗、どうしたのだ。特に最下位ジャイアンツにメイ、薮をたてての連敗は痛い、痛すぎる。おまえたちで負けたら誰で勝つんじゃー!!。

確かに今年は最初から投手力に不安があった。川尻、中込、湯舟の誤算で先発ローテーションが崩壊している。薮は完投できるが、メイはまず無理。吉田豊も不安定。山崎、井川もどうかわからない。井上や山岡がこれから大化けするとも思えない。
今それを補っているのが遠山、福原、田村そして、野村監督の采配なのだ。
負け惜しみと言われるのは忍びないが、現在の戦力で今の防御率をシーズン通して維持するのはかなり難しいことくらい私はわかっていた。

それから、タイガースはもともと守備の良いチームであるが、開幕からの2カ月であらためて確認したことがある。
新庄抜きではどうしても外野の守りがきつくなる。新庄ならば右、左中間の打球が普通の外野フライであることが多く長打が30〜50%減るだろう。新庄のいない序盤戦はセンターに打球が行くとよく目を覆ったが、完全に復帰したのでこの点は安心。
だが、内野の守備については一つ問題があるように思える。それは、今岡抜きでは塁間が甘くなることだ。
残念ながら和田は全盛期ほど横に動けない。また、プロワーズはライン際を守っており、阪神のショートは守備範囲がとても広い。今岡のフットワークなくしてはその大役はつとまらない。星野や田中ではちと荷が重い。だから今岡にはあまり休んでもらいたくないのだが...。

ともあれ長いシーズン調子の波などあって然るべき。
また猛虎が雄叫びをあげるのを信じてビールでも飲みながら待とう。 (6/1)



- その走塁、矢野ごとし -

さて、なぜ今年阪神タイガースはかくも強いのか。

阪神を愛し続けて26年、1985年の日本一から14年。
虎キチであるが故の苦しい思いもしてきたが、このまま行けばそんなことは全て忘れられそうな快進撃ぶりである。

1999年ペナントレース開幕戦、宿敵ジャイアンツに惜しくも破れはしたものの、明らかに去年とは走塁が違うことに私は気付いた。
特に気に入ったのは矢野の前傾姿勢とモモの上がり具合だった。野球の走法は、あまりモモを上げないのがセオリーなのだが、この気合いの入った走塁に前向きな姿勢を感じずにはいられなかった。
他の選手もみんな凡打しても全力で走っている。

そして今年のランナーとしての選手達に注目して欲しい。スキあらば常に次の塁を狙っており、それが得点につながっている。
走ることだけでも相手に相当なプレッシャーを与えている。
まさに西武ライオンズのような走塁だ。 (5/29)


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