(カラ……)
  無造作に置かれていた木材に少女の足が触れ、
 「アッ…!」
 そして…。
 (カラカランッ…!!)
  木材がコンクリートの床へ転がる。 その音を聴くが速いか男達が部屋の外へと出てきた。
 逃げようとしていた彼女を見た男達の形相は恐ろしいものに、少女の心臓の鼓動は恐ろしさに比例する様にさらに大きな音へと変わって行く。
 
「お嬢ちゃん、大人しくしてろって言ったよなぁ?」
 「 まったく、さすがは刑事の娘さんだ。大人しそうな顔をしててもなぁ、いやはや、なかなかのもんだ」
 「そんな格好で逃げだそうだなんてなぁ、大変だったろう。でも、見つかったらもうお終いだ、絶対逃げられない様に天井から吊るしてやる」

 「あ…、や…、いや…」
 手足を縛られた身体を後ずさりさせながら、か細い声での少女の哀願。男達はその声を全く無視してにじり寄って行く。
 「お前のオヤジさん、刑事だからって肩で風切って色んな事をしていたんだぜ、
手入れがある先のキャバレーの女に手を出したり、女主人を寝とっちまったりなぁ」
 「その女主人ってのがなぁ、俺達の母親さ、おめぇのオヤジのせいでウチはガタガタになっちまったんだ、その罰を今度はおめぇとオヤジが受けるのさ、そのためにさらって来たんだ」
 「 まぁ、安心しな、俺達はあっちの方には全く興味はないんだ、ただお前を誘拐した事で精神的な苦痛を与えてやる。お嬢ちゃんにも多少の痛い目はみてもらうことにはなりそうだ。 俺や俺達の母親だって苦しい目をみているんだ。そうでもしなけりゃバランス取れないだろ?さあ、あっちの部屋でおイタのお仕置きだ。しっかり吊るしてやるから覚悟するんだな」

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