万引きGメン 望月朔乃進の事件簿1
「事例1 夏休み初日、反抗的な少女」


 夏休み、万引きという窃盗犯罪が多発する季節だ。最近は年寄りから子供まであらゆる年代層がこの犯罪に手を染める。もちろん理由は様々。生活苦のため、そんなものは良い方でまだ同情の余地も多少ながら残されている。ただし一回限りにおいてだが。
  特に私が許せないのは「やんちゃ」だの「大人への通過儀礼」だの御為ごかしな理由でこの犯罪に走り、そして「たかが万引き」「1,000円位 のモノなら〜」などという開き直りの言い訳をこねくり回す人間だ。
 自己の行為を正当化し、我々の行為を行き過ぎと断罪する。不良をテーマにして「自由な生き方」などという下らんテーマのドラマにでも影響されているのであろうか、大人がこんなもんを祀り立てて「若者文化」などと持ち上げたりするから影響されて馬鹿な行為し、犯罪を正当化する若者が増えるのだ。
 そんなもんに影響されたのであろうか、今日もまた1人万引…いや窃盗犯を捕まえた。

「お嬢さん、いけないなぁ?万引き…いやこれは窃盗だ。犯罪だよ」
「私やってません!証拠はあるんですか、見せて下さい」

 久しぶりに生きのイイ獲物だ。普通ならシュンとなってうなだれ一切合切白状するもんだが、こいつは何食わぬ 顔で反論しやがる。まぁ、いい。証拠を見せてやろう。おっとその前に、ここから逃げられない様にしなきゃな。

「あ…何すんのよ!やめて!縛らないでよ、このジジイ!変態!!」
「黙れ!大人しくしろ、この犯罪者め!!」

  私は彼女に縄をかける。逃げられない様にするのが第一義、縛る事を「いましめ」ともいうが言葉通 り「戒め」の意味が第ニ義。しかし本当の第一義は…フフフ。
  少女の上半身を縛り終え、強制的に彼女を床に座らせる。

「ここは俺専用の取調室だ、お前さんがいくら騒いだって誰も来やしない。ましてやお前さんの様なタイプの犯罪者にはそれ相応の事をしてオッケーと店長からも指示が出ているんだ」
「ほら、この写真を見てごらん?君がしっかりと服の下に化粧品、口紅を入れている写 真だ。これを見てもまだシラを切るっていうのかな?」

 その昔探偵業を営んでいた頃の余技みたいなもんだが盗撮はお手のもの、あの頃は色んなものを撮った。密会写 真、浮気の現場、そして趣味の下着…いや、口が滑った。
 私の写した連続写真を見て少女の顔色がこわばる、明らかな証拠を突き付けられ、どうしようもない焦燥の色だ。フフフ、何とも私の嗜虐心をそそる顔をする。そして私は彼女にたたみ掛ける様にこう告げる。

「いいかい、これから君の身体検査、まぁ隠した場所は解ってるんだけどしようと思うんだ。だけど君がもし『私がやりました』と言ってくれれば身体検査は許してあげてもいいよ」
「そしてもう一つ。警察に引き渡さない上に家族にも連絡しない変わりにしばらく君をここに縛ったままにしておくよ。やった事は犯罪だからね、少しはお仕置きを受けてもらわないといけない」

「クッ…………………」

 少し涙を浮かべた彼女の目が私を弱々しく睨み付ける。だが彼女に選択肢は残されていない。私が悪質だと警察に届ければ晴れて前科1犯。さらに家族にバレてこっぴどい目に合うのはあきらかだ。

「反論はないようだね、じゃあ決まりだ。君みたいな子の色々反省の弁も聴いてみたいなぁ、とにかく 君が反省したと僕が思うまでここに縛られていてもらうよ」

 さらに彼女はうなだれる。私は天井に取り付けてあるカメラに向いVサインをした。一部始終は店長に見えていたのである、それは何故か?ウチの店長はこう言ったシチュエーションで見せる縛られた少女とその顔を観賞するのが大好きなのだ。私も同様だ、まさに趣味と実益…おっと、また口が滑ってしまったようだ。建前でも我々は更生のためにこのような行為をしていると言わなければいけない立場だ。

「さて、反省の弁を考えてもらおうかな。20分後に最初の解答を聴かせてもらうからね、楽しみに期待しているよ」

 唇をキュッと噛みしめながらも彼女の顔が変わった。しっかりと反省した事を私に認めてもらわなければならないからだが、そう簡単に認めるなんて事はしない。ククク、何回やり直しをさせよう、店長ともゆっくり相談するか。

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