「よくここをみつけたなぁ、でもその途端に捕まってるんじゃどうしようもないよなぁ」
通称「西部」と言われている、ある國の一地方。ここでは治安が悪化の一途を辿り、ついには民間会社までが治安維持ビジネスに乗り出す始末。
彼女もそんなビジネスの世界で生きているのだから、危険とは常に隣り合わせである。
こう治安が悪いと酒類も政府系機関の統制化に置かれてしまっている。アルコール3%以上の酒はこの時期全廃されてしまい、自由を求める酒類業者は地下へと潜り闇市場を形成していた。
闇市場の調査に入ったリリーはその圧倒的な酒の多さに驚く。そこには人間の酒にかける情熱、職人の意地が溢れていてどう考えても悪人の巣窟には見えない。
「お嬢さん、どっから来たんだい。まぁ、一杯呑もうや」いけないとは知りつつも、その市場の熱気に圧されたのかつい一杯、リリーはその酒を飲んでしまう。
その途端、身体にふらっとくる、翔ぶ様な感覚が彼女を襲う。その場にへたりこむリリーを前に先ほど酒を勧めた男が薄く笑う。
「どうだい、探偵のお嬢ちゃん、旨いだろう?50度数のウオッカの味は」
「さ、最初から解ってて・・・」
「俺達のネットワークをなめちゃいかんよ、特に君みたいなカワイイ子の情報はすぐに入ってくるのさ」
「俺達の自由な酒造りの邪魔はさせないぜ」
そのままアルコールで気を失うリリー。目覚めた時、彼女は手足を厳しく縛り上げられ、猿轡をされた上に首輪までされて酒蔵に監禁されてしまっていた。
「酔いはさめたかい?君みたいな女の子を送ってくるなんて誰だかしらんが味な事するねぇ」
男の1人が彼女を興味深そうに見る。もがくリリーだが、こう縛られてしまっていてはどうする事も出来ない。ただただ視線から身体をそらそうと懸命になるばかりだ。
「君にはしっかりと依頼人の名前を白状してもらうんだけど、僕らも君も楽しい方法で白状してもらうつもりさ、なにせ酒がこんなにあるんだからねぇ」
「君だって政府の奴らの合成酒ぐらいしか飲んだ事ないだろう、あんなまがいものの酒とは違って素晴らしい物が飲めるんだから白状ぐらいはしてもらわないとなぁ」
リリーの前には様々な種類の酒が並べられて行く。
「さぁ、より取りみどりだ、どいつがいいかなぁ〜」
男は開けたビンの口をリリーの鼻まで持って行く。その臭いだけでももう酔っぱらいそうな刺激臭が彼女に襲いかかる。
「じゃぁこいつからだ、この25年モノは旨いぞ〜」
もう1人の男が彼女を押さえ付け猿轡を外す。前からはビンの口が彼女の口へと向ってくる。
「や、やめ・・・むぐごぼぼッッッ」
酒が彼女の胃袋へと流れ込んで行く。このピンチをリリーは乗り越えられるのか・・・。