土曜日の緊縛魔

 昨今巷を騒がしているのが緊縛魔のニュースだ。その緊縛魔は…彼にとっては悦楽行為を行うのが必ず決まって土曜日であることから「土曜日の緊縛魔」と呼ばれている。
 強盗ではなく、ただ少女を縄でグルグルに縛り監禁してしばらく放置し、それを眺め悦にいるだけの怪人で、縛られた少女の姿体、もがき苦しむ姿態を眺めながら酒を飲みその日のうちに解放する。とはいってもその目標となった少女にはたまったものではないのだが。

 そしてまた土曜日がやってきた。彼はお決まりの様に少女をさらい、グルグルと縄で厳しく縛り上げて廃工場である彼のアジトに監禁した。

「フゥッ…フグゥ!ウグググう…!!」
 縛り上げられた上に猿轡までされてしまった少女「古浜菜緒(こはま なお)」は廃工場の埃ぽく冷たい床の上でもがき苦しむ。菜緒は男がワイングラスを片手に縛られて自由も無くただうごめく自分をニヤニヤと舐める様な目つきで自分を眺める様子から「土曜日の緊縛魔」に誘拐された事を理解した。

 テレビでのニュースや新聞、友人間のうわさ話で伝えられる話では「ただ縛られるだけ」とのことではあるのだけれども…菜緒は不安に怯え身体を揺すりもがく…緊縛魔がニヤニヤするエサを与えるだけの結果 になるのだがどうする事も出来ない菜緒。

 そこで突然、緊縛魔が歌を歌いはじめた「ぐるぐるあぶない土曜日ぃ〜」。その歌い方が突然で尋常もなく異常なものであったためさらに菜緒は怯え身体のゆすり方も激しくなる。そのフレーズだけを歌い続け菜緒に近付いてくる緊縛魔。

「ウウゥー!!ムググっ…グゥー!!!!」
 猿轡からもれる菜緒の呻き声が大きくなる。土曜日が終わるまで後何時間、この異常な状況が続くのかと考える余裕もなく菜緒の苦しみの時は続く。

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