夕暮れの、部活帰りの下校途中。少女は自転車で帰宅道を急いでいた。 田んぼが続く農道。こんな時間、しかも農閑期である。すれ違う車、人などいない。
「不審な車が出没危険」「気を付けよう、甘い言葉が命取り」等との看板は目にもくれずに ただただ自転車で道を急いでいる。 (おなかすいたなぁ…)

「すいませ〜ん、この村のイイとこ知りませんかぁ?」
  前方より走ってきた車から男が1人身を乗り出し少女に声をかけた。
(あ…コレもしかして弓矢の旅?)
  今はもうテレビは当たり前の時代、こんな田舎でも色んな番組を放送している。すぐに少女の脳裏に人気番組のコーナータイトルが浮かぶ。
(でも、こんな田舎に来るのかなぁ?)
  なんて事を思いながらも質問にはハキハキ答える少女。車内を良く見ればテレビカメラの様な物、ケーブル等の機材が置いてある。
  そうこうしているウチに道を聞く男達に誘導され、車内でのインタビュー。だが……! 後部座席のさらに後ろ、荷台にいた男が少女の首筋にスタンガンを押し付けた。一番弱い電流、それでも少女の抵抗を奪うには訳も無かった。
  しびれて動けない少女の身体をテーピング用のテープでグルグル巻に縛り上げる。なんとか声を上げようと口を開けた瞬間、口に布切れを詰め込まれさらにその上からテープで口のあたりを巻き上げられてしまう。
「ク…くフうぅ…うううん!」
  そのまま少女は荷台に転がされる。彼女の乗っていた自転車は後から来た2台目の車に積まれ、そのまま2台の車は走り去っていく。

続き

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