ウリハダカエデ  Acer rufinerve

ウリハダカエデ(奈良公園:2012.5.8)

ウリハダカエデ (奈良公園:2012.5.8)

カエデ科* カエデ属 【*APGⅢ:ムクロジ科】

Acer: カエデの一種のラテン名 rufinerve: 赤褐色の脈のある

日本にはカエデ属の樹木が26種あるとされていますが、その多くは大阪より気温の低いところに自生しており、少し高い山にのぼりますと、こんなにたくさんカエデがあるのかとびっくりしてしまいます。また、葉の形や大きさのよく似たものがたくさん出てきて同定がなかなか難しく、実物を前に図鑑と格闘するということも少なくありません。そんな中で、ウリハダカエデは標高の比較的低いところ(たとえば箕面や奈良春日山など)にも頻繁にでてきて、しかも同定も容易なカエデです。

ウリハダカエデというのは名前のとおり木の肌がウリに似ているということですが、木の肌がかなり太くなっても緑色をしており、ひし形の皮目(樹肌にできる割れ目)と黒い斑点のあるようすがウリを連想させるところからきています。ですから、冬に葉が落ちてしまってもこの樹肌の色ともようを見ただけでウリハダカエデだと分かります(右写真:ウリハダカエデの樹幹(大阪府能勢町青貝山:2012.2.15)

ウリハダカエデの葉は日本のカエデの中では大型なものに属し、長さ、巾ともに6~15 cm、ほぼ5角形をしていて、3~5つに浅く切込んでいます。一見プラタナスに似ていますが、プラタナスよりは小さく、また、しわがたくさんあります。秋には黄色、または赤く紅葉し、一部緑のまま残ったところとのコントラストが美しく、私の好きな樹木の一つです。

この木の樹皮は強靭で、昔はこれをつかって荷縄、蓑(みの)、箕(み)に利用さ れました。また木材は淡黄白色でイタヤカエデより柔らかく、東北地方ではコケシをつくるのに用いられたり、笠などをつくるための経木材にもされたそうです。

ウリハダカエデはかなり大きくなる雌雄異株の木で、場合によっては直径数十cm、高さ12m位になることがあります。いつだったか、箕面の政の茶屋で百樹会をしたことがありましたが、ビジタ-センタ-の近くにかなり大きな木があったことを記憶しています。