ウメはもともと中国中部原産の樹木で、かなり古い時期に日本へ導入されました。 いまでは「花」といえばまずサクラをさしますが、万葉集や古今集で「花」といえばウメをさしたとされています。 外国からきた花木というので珍重されたのかも知れません。
ウメもサクラも同じバラ科サクラ属に属しますが、果実の形を比べればすぐ分かるように、 ウメには縦にくびれがあって、この2つはやや仲間が違います。モモの果実にも同じように縦にくびれがありますが、 葉腋(葉柄のつけ根)につく芽の数が1つか3つかなどによってスモモ亜属とモモ亜属とに区別しています。 ウメはスモモ亜属に属しますが、この仲間には果実に毛のあるアンズやウメ、果実に毛の無いスモモやセイヨウスモモが入っています。
ウメは中国では非常に古くから好まれた花木で、現在、中国の国花になっています。
日本にも多くの園芸品種があり、その数は300にも達しています。
大きな品種グル-プとしては、野梅性、豊後(ぶんご)性、杏(あんず)性、紅梅性(花色や枝の色に関係なく、枝の断面の髄の色が赤いもの)などがあります。
ウメにはアンズとの雑種も多いようで、ブンゴウメという変種はアンズとの雑種ではないかともいわれています。
ウメの果実にはクエン酸、コハク酸、酒石酸などが沢山ふくまれていますので、 大変すっぱい味がします。また、ウメの未熟果をくすべて乾燥したものは「烏梅(うばい)」とよばれ、 解熱、鎮咳、去痰などに効く薬ですし、紅の染色の時に媒染剤としても有名です。 ウメという日本語は、中国語の梅(メイ)から転化したとも、烏梅から転化したともいわれています (万葉集では「烏梅」と書いて「うめ」と読む例もあるそうです)。