ウグイスカグラ  Lonicera gracillipes

ウグイスカグラ(大阪市立大学付属植物園:2000.4.16)

ウグイスカグラ (大阪市立大学付属植物園:2000.4.16)

スイカズラ科* スイカズラ属 【*APGⅢ:スイカズラ科】

Lonicera:人名(Lonizer)から gracilipes:細長い柄の

早春、ウグイスが鳴き始める頃に花をつけるところからこの名がついたという説がありますが、たしかに、ウグイスカグラには「春」という雰囲気が満ちているように思います。事実、堺市大泉緑地での観察会でウグイスカグラの咲き始めを見たのは93年2月でした。

大泉緑地のものは高さ1.5mほどで、細い茎や枝が密生した株にはまだ葉が展開しておらず、ただ、やや赤みを帯びた花が、あるものはロート状に開き、あるものは開く直前の状態でたくさんついていました。対生する枝や葉芽、筒状の花の付け根が少し膨らんでいること、まだ寒いうちから花が開いていることなどからみて、これがウグイスカグラだろうとはすぐ見当がつきましたが、花柄が非常に短く、ほとんど枝にくっついて咲いているように見えました。図鑑の記載では1~2cmの花柄をつけるとあり、また、挿し絵や写真もそのように描いたものがほとんどで、一見、別な種のようにも思えました。しかし、古い枝をよく見ると去年の果柄が1~2cm残っていて、これがウグイスカグラであることは間違いなく、ごく咲き始めのものは必ずしも図鑑どおりではありません。

ウグイスカグラの仲間には葉や花の毛のつき方などに大きな変異があり、葉や花に毛がないウグイスカグラ、毛があるヤマウグイスカグラ、花に腺毛のあるミヤマウグイスカグラなど、それぞれ別の品種あるいは変種として記載されることが多いようです。しかし、これら3つの間には中間的な形態をもつものが多く厳密な区別が困難なため、全体をまとめてウグイスカグラという一つの種とみなす分類学者も多いようです。

ウグイスカグラは夏に赤い実が熟し、食べることができます。ただし、同じスイカズラ属に分類されるヒョウタンボクの仲間にも、おいしそうな赤い実が大小2つくっついて熟しますが、こちらは有毒植物で、小鳥もたべに来ません(写真はアラゲヒョウタンボク(交野市私市:大阪市大植物園(2000.6.24)))