トウオガタマ (カラタネオガタマ)  Micheria figo

トウオガタマ(大阪府立大学:2000.5.15)

トウオガタマ(カラタネオガタマ)(大阪府立大学:2000.5.15)

モクレン科* オガタマノキ属* 【*APGⅢ:モクレン科モクレン(Magnolia)属】

Micheria:人名から figo:(不明)

トウオガタマは、大阪付近では5月の初めから中旬にかけてバナナの香りのする3cmほどのクリーム色の花をたくさんつける潅木~低高木で、カラタネオガタマとも呼ばれています。 原産は中国、英名は banana bush です。

この花のつぼみはビロード状の茶褐色の毛がはえたうすい膜 (2枚の托葉が変化したもの) で包まれていますが、 花が開くとこの膜は押し破られて落ちてしまいます。 花には6枚の花びらがあって、外側の3枚はやや幅が広く、内側の3枚はややせまく、先もとがっています (厳密には、外側3枚が「がく」、内側3枚が「花弁」ですが、 トウオガタマのように両者を区別する意味がないときは、両方をひっくるめて「花被」とよんだりします)。

トウオガタマの雌しべと雄しべ 花の真ん中を貫くように軸があって、その先端部には多くの雌しべがらせん状に並び(写真左)、 少し離れて下の方にはたくさんの雄しべがついています。この雄しべは指でさわると簡単にとれ、 そのあとが松かさ模様になっている(写真右の②で雄しべも軸にらせん状についていたことがわかります(写真は2000.5.15 大阪府立大学)

このように、花びらやたくさんの雄しべや雌しべがらせん状に配列している花は原始的な特徴をしめしていると考えられています。 トウオガタマと同じ構造の花をつける木にオガタマノキがありますが、これは10mをこえるような大木になり、神社などによく植えられています。 タイサンボクの雌しべと雄しべ オガタマノキ属に大変近い植物にシモクレン、コブシ、ハクモクレン、 タイサンボクなどマグノリアの仲間ががありますが、 これらは、右の写真(大阪府立大学:2000.6.1)に示したタイサンボクのように、雄しべのつく部分のすぐ上に雌しべのつく部分があるのが特徴で、両者が離れているトウオガタマやオガタマノキとは別属のモクレン(Magnolia)属に分類されています。

モクレン科の樹木で公園や街路でよくみる木にユリノキがあります。 これは北米原産の落葉高木で、5月ごろチューリップに似た形の花をつけるのでチューリップツリーと呼ばれています。 コブシやトウオガタマは赤くて柔らかい実をつけますが、この木は乾いた翼のある実をつけ、秋から冬にかけて風に飛ばします。 実の形が大変違うので、別属のユリノキ(Liriodendron)属に分類されています。