タマミズキは日本の本州の中部から四国、九州、沖縄、さらに台湾、中国大陸にも分布するモチノキ科の落葉樹で、大変背が高く、また幹の太さも数十cmに達します。
わたしがタマミズキをきちんと知ったのは、10年ほど前の11月頃、ある講座で奈良公園へ行き、奥山ドライブウェーの地面に落ちた直径3mmぐらいの赤い実をびっしり付けた果枝を見つけたときでした。まわりを見回してもそんな実をつけた木が見あたらず、どこから落ちて来たのかと疑問に思いましたが、
双眼鏡で頭上を見上げますと、はるか上の方に、葉の間に真っ赤な実をいっぱいつけた木がありました。
その木は灰白色のなめらかな樹肌をしたきれいな木で、直径が40cmくらい、高さも10数mはあったと思います。双眼鏡で葉の形を見定め、落ち葉を探してやっとタマミズキと確かめました。
気をつけてあたりを見ますと同じ木が道沿いに点々とあり、その道は、学生時代からいえば、それこそ何10回と通ったはずなのに、それまで全く気がつかなかったのはうかつなことだったと思いました (右写真:タマミズキの樹幹(奈良公園/2004.1.1)。
96年1月の百樹会で、箕面に意外にたくさんのタマミズキが生えていることを知りました。
何度も引用している大阪府植物目録(桑島正二著)には箕面のほか、神峰山寺、滝畑、天野山、
蕎原など大阪府下各地の産地が記載されています。
ただし、同書に[山地・やや希]とされるように、それほど普通にあるわけではなく、
また、たくさんの個体が群生することもあまりないようですので、
落葉後の、真っ赤に熟した果実を枝いっぱいにつけた時期に行き当たらないと見過ごしてしまうのかも知れません。
タマミズキはたいへん美しく、公園樹や庭木としてもっと利用されてもよさそうなのに、 いままでこの木が植えられているのを見たことがありません。雌雄異株で、おまけに実がなるのに年数がかかるなど、 いろいろ問題が多いのだと思います。