ソテツ  Cycas revoluta

ソテツ雄株 ソテツ雌株

ソテツの雄株(左:大阪府立大学 1999.7.21)と雌株(右:大阪市立大学植物園 1999.8.14)

ソテツ科* ソテツ属 【*APGⅢ:ソテツ科】

Cycas:ソテツのギリシャ名(kykas)より revoluta:外旋の、反巻の

大学には時々植物についての相談の電話がかかり、交換台の女性が答えてくれそうな研究室につないできます。私のいる研究室には樹木に関するものが圧倒的に多いようで、先日も一件ソテツについて電話がありました。

内容は、庭に植えているソテツの芽が緑にならず、何か得体の知れない病気にかかってモジャモジャした白茶けた毛の生えた小さな葉になってしまった、このまま枯れてしまうのではないかと非常に心配しているというものでした。数年前にも一度こんなことがあり、その時はモジャモジャの葉のところにハ-ト型の赤いものがくっついていた、というわけです。今までこんなことがなかったのに、急に様子の変わったことが起これば心配するのが当然で、血のように赤いものは、ひょっとして植物がガンにかかったものではないかと、気味悪い思いをされていたのかもしれません。これはソテツの雌花が咲いたのであって心配することは全くありません、赤いハ-ト型のものはソテツの実で、これを蒔いておけばまた小さなソテツが生えてきますよ、とお答えしましたら、安心された様子でした。

ソテツの仲間はイチョウとともに裸子植物の中でももっとも原始的な性質を残していると考えられています。その一つの証拠はめしべについた花粉からのびた花粉管のなかで鞭毛(べんもう)をもった精子ができ、それが胚珠の核とむすびついて受精が起こることで、このことは日本の植物学者が発見し、イチョウに続く例として世界的な話題となりました。また、ソテツの雌花は、高等植物の花が、葉が変化してできてきたことをしめすもっとも分かりやすい例としてどんな教科書にも出てきます。