シロヤマブキ  Rhodotypos scandens

シロヤマブキ(大阪府立大学:2000.4.12.)

シロヤマブキ(大阪府立大学:2000.4.12)

バラ科* (バラ亜科) シロヤマブキ属 【*APGⅢ:バラ科】

Rhodotypos:バラの形 scandens: よじ登る性質の

世の中がサクラに気を取られている頃に、シロヤマブキが花を咲かせます。 それほどよく見かけるわけではありませんが、細い幹が密生した株に純白の花を一面につける様子は、 確かにシロヤマブキという名前がふさわしく、大変魅力的です。 惜しいことに花の寿命は長くなく、数日のうちに花弁が落ちてしまいます。 その代わり、花の後に艶のある6~7mm程の黒い果実が(3~)4つ熟し、 こちらの方は小さな葉のような形をした4枚のガクのうえに一年以上も残り、 生け花などにもつかわれます。

シロヤマブキを初めてみて、これがバラ科の植物だと考える人はまずいないのではないでしょうか。 わたしもこれを最初に見たとき、見当をつけた科が全部外れて名前を調べるのに苦労しました。 これがバラ科に分類されていると知っても、未だに釈然としない気持ちを持ちつづけています。

シロヤマブキの果実(大阪府立大学: シロヤマブキは図鑑ではヤマブキのとなりに記載されている場合が多いとはいえ、 詳しく見ると共通点はあまり感じられません。確かに花の大きさは似ていますが、 花弁やガクの数はヤマブキは5であるのに対しシロヤマブキは4、 また、葉の大きさや形は多少似ていますが、なにより枝への付き方がヤマブキの互生に対しシロヤマブキは対生です。 種子の大きさや数もだいぶ違います(シロヤマブキの果実(大阪府立大学:1999.8.7))

そもそも、バラ科はマメ科やキク科とならんで非常に大きなグループで、 あまりに仲間が多いため科の中をサクラ亜科、ナシ亜科、シモツケ亜科、 それにバラ亜科の4つの亜科に分けています。 しかし、このいずれのグループも、葉の形は単葉、複葉あるもののその付き方は互生だし、 また花を作る花弁や萼の基本数は5で、シロヤマブキのように葉や枝が対生し、 花の基本数は4というのはないのです。バラ科のなかの異端者という所でしょうか。