シンジュ (ニワウルシ)  Ailanthus altissima

果実をつけるシンジュ(99/9/5:長居植物園)

シンジュ(ニワウルシ) (長居植物園 1999.9.5)

ニガキ科* ニワウルシ属 【*APGⅢ:ニガキ科】

Ailanthus:天の木 altissima:最高の、非常に高い

何年か前の2月頃、新大阪近くで冬枯れた見なれない街路樹に気がつきました。それほど大きくない 木でしたが、すでに葉は一枚もなく、幹は灰色で、枝先がかなり太いままぶっきら棒に終わっている のです。街路樹に使うほどだからそんなに珍しい木のはずはないと思ったのですが、 その時は全く見当がつかず、2本、3本と見ていくうちに、一本の枝先にうすいヒラヒラしたものが ぶらさがっているのをみつけました。手が届かなかったので地面をさがすと同じ物がいくつかあり、 明らかに翼をもった何かのタネだとわかりました。はじめは、キササゲの仲間かトチュウの実かと思 いましたが、キササゲだとサヤがあるはずだし、またトチュウにしては実が大きすぎる上、特有の グッタペルカがないからこれらとは違うと判断しました。しかし、これだけヒントがあれば同定は 簡単なはず、と家に帰って図鑑をパラパラめくりますと、数分のうちにシンジュにいきつきました。

シンジュはニワウルシともいいますが、ウルシ科の樹木ではなく、ニガキ科に属しています。 成長が早く、たいへん大きくなる木で、高さが20mを越えるのもあります。私が見たものの中では、 堺市のザビエル公園にある数本の木がとくに見事で、1mをこえる大きな羽状複葉をつけた枝を大きく 広げますと、それだけで公園を被ってしまうかと思うほどです。また、百樹会で見たものの中では、 多分、城北公園のものが一番大きかったと思います。ただ、城北公園へ行ったのは冬でしたので、 葉を展開したすがたをみることはできませんでした。そのかわり翼をもった特徴のある種子がたく さんついていましたかシンジュとすぐに分かりました。

シンジュの種子は発芽が大変良く、大きな木の下にはたくさん実生が生えています。 小葉のつけねの両側に1~2個の歯牙と蜜腺(みつせん)がありますから、これがいい区別点に なります(右写真赤枠:長居植物園 1999.9.5.)。