シナサワグルミ  Pterocarya stenoptera

シナサワグルミ(長居公園:2004.6.5)

シナサワグルミ (長居公園:2004.6.5)

クルミ科* サワグルミ属 【*APGⅢ:クルミ科】

pterocarya :翼のあるクルミ  stenoptera :狭い翼をもった

大阪市内の公園や街路にごく普通に植えられているシナサワグルミは明治の初期に日本にきたとされる中国原産の落葉高木で、成長は大変早く、胸高直径1m、樹高30mにもなることがあるそうです。葉はほかのクルミ科の樹木と同じく羽状複葉になっていますが、葉軸のところにすこし葉身状の翼が残っています。この点、ウルシ科のヌルデによく似ていますが、小葉の形や大きさ、毛の生え方などがまったく違いますから、間違えることはないとおもいます。ただ、シナサワグルミについて詳しく記載した図鑑はあまりなく、たとえば牧野の植物図鑑には載っていませんし、保育社の図鑑には記載はあるものの図は載っていませんので、名前を調べようとして困った方も多いかも知れません。

シナサワグルミ実生:大阪城公園 2010.5.8シナサワグルミ果実:長居公園 2008.9.4 シナサワグルミは大きな核果をつけるオニグルミとちがって、30cmくらいのひも状の果序に2枚の翅をつけた果実をたくさんつけて枝先からぶらさがっています。一見、カエデの実のようにも見えますが、カエデの方は2つの果実がくついているのに対し、シナサワグルミや日本のサワグルミの方は、一つの果実に翅が2枚ついています。秋口には茶色くなってバラバラ地面に落ちてきますが、種子の発芽は大変よく、公園などで4つに深く切れ込んだ子葉をもった実生がたくさん出ていることがあります(写真左:地面に落ちたシナサワグルミの果実(長居公園 2008.9.4)、写真右:シナサワグルミの実生(大阪城公園 2010.5.8))

シナサワグルミで面白く思うのは、葉腋から出る芽が普通の樹木と違って2つあることです。褐色の毛に被われた裸芽ですが、葉腋から1cmぐらいのところに小さい芽が一つ、さらに2~3cm離れたところに大きい芽があって、ふつう、こちらの方が大きくなって新しい枝になります。日本のサワグルミもこのように芽が2つあるのかと思い、金剛山のケ-ブル駅のそばに植えてあるものを見ましたが、芽は一つしかないようでした。