シャリンバイ  Rhaphiolepis indica var. umbellata

シャリンバイ(堺市百舌梅町:2000.5.15)

シャリンバイ (堺市百舌梅町:2000.5.15)

バラ科* シャリンバイ属 【*APGⅢ:バラ科】

Rhaphiolepis: rhaphis(針)+lepis(鱗片)  indica:インドの
var.:変種 umbellata: 散形花序の

シャリンバイは大気汚染や強い刈り込みによく耐え、公園や街路、庭園などで必ずといっていいほどよく植えられている常緑低木です。 本来、暖地の海岸にはえる樹木で、ウバメガシやマサキ、トベラなど他の海岸性常緑と同様、 葉の表面にはロウ質のクチクラ層が発達しています。分厚い葉の表面は黒緑色、裏面はうすい緑色で、 網目状に走る葉脈のもようがよく目立ち、種の同定に役立ちます(葉を日にかざしてみると葉脈が透けて見え、よく分かります)。

シャリンバイの葉の形や大きさにはかなり大きな変異があり、とくに造園の分野では、 マルバシャリンバイとかタチシャリンバイなどと区別して扱われることがよくあります。 典型的なマルバシャリンバイは、その名のとおり葉に鋸歯がなく倒卵形で、ふつうの狭卵形のもの(シャリンバイ、別名タチシャリンバイ) とは明らかに違って見えます。したがって、これを変種として記載している図鑑もいくつかありますが、 両者の間には中間的な形態を持つものが連続的に存在して区別が困難なため、最近の図鑑ではどちらも同じ種で、 単に名前が違うだけとしています。

シャリンバイの果実(西宮市北山緑化植物園:1999.10.24) シャリンバイ(車輪梅)という名前は、枝先に細い枝が車輪状に出て、 白い5弁の花が多少ウメに似ることに由来するとされています。5月頃、枝先にたくさんの白い花を上向きにつけ、 10月には果実が黒紫色に熟し、鳥に食べられて分布を広げていきます(右写真:シャリンバイの果実(1999.10.24.西宮市北山緑化植物園)

シャリンバイは沖縄や奄美地方ではチカチとかテカチキとよばれており、 樹皮や材、根に多量のタンニンが含まれるため、そのエキスが染色に使われます。 大島紬の帯褐黒色はこれで染めたものだそうです。