カナリーヤシ -B(フェニックス -B)  Phoenix canariensis

カナリーヤシ

カナリーヤシ (大阪府堺市・フェニックス通り:2019.2.18)

ヤシ科* ナツメヤシ属 【*APGⅢ:ヤシ科】

Phoenix:フェニキア人または不死鳥  canariensis:カナリア諸島の

カナリーヤシの小葉(天王寺都ホテル付近。2019.2.9))
カナリーヤシは私たち大阪に住む人間にとってはいかにもエキゾチックなヤシらしいヤシで、太い幹の先端に3m以上もある長く大きな羽状複葉を四方に広げ、葉には先のとがったたくさんの小葉があります。これらの小葉は二つ折りの形(内向すりあわせ形)で葉軸についているので、小葉の断面はV字型となり、カナリーヤシをふくむナツメヤシ属(Phoenix)の大きな特徴とされています(右写真上)用へに付け根付近でトゲに変化したカナリーヤシの小葉(天王寺都ホテル付近。2019.2.9) また、葉柄の付け根に近い小葉が長い針のように変化しているのも、形のよく似たButia(ヤタイヤシ属)との分かりやすい区別点です(右写真下。いずれも天王寺都ホテル付近。2019.2.9)

属名(Phoenix)を援用して一般にフェニックスとも呼ばれるカナリーヤシは、その名のとおり北アフリカ西岸・カナリア諸島原産の大型のヤシで、適地では幹の直径60~120cm、高さ20m、例外的には40mにも達するそうです。Butia(ブラジルヤシやヤタイヤシ)と同じように耐寒性があり、-10℃の低温にも耐えられるので、南ヨーロッパやアメリカなど世界中の暖帯地方の都市公園や学校、街路などでよく植えられています。大阪でも、たとえば堺市の「フェニックス通り」の分離帯にはたくさん植えられていて、大きいものは高さ10m近くになっています(上写真。南海線「堺」駅付近:2019.2.18)

カナリーヤシの葉柄付け根には多くの植物が芽生えている(大阪府立大学。2000.7.7) カナリーヤシの幹の上部には、多くの場合、野鳥や風で運ばれてきた胞子や種子から発芽したタマシダや、小さな木・草が生えています。これは、古い葉柄や繊維質の葉鞘が分厚く残っていて、保水力が高いなど多くの植物の発芽・生育にとって良い環境になっているためだと思います(右写真。大阪府立大学 :2000.7.7)