パパイア  Carica papaya

パパイア (京都府立植物園:2000.11.25)

パパイア科* パパイア属 【*APGⅢ:パパイア科】

Carica:いちじくのラテン名(葉が似ている) papaya: パパイア

パパイアをみるたびに、これは一体樹木だろうか草だろうかと不思議な気持ちになります。 背丈は高いし茎は太いから、確かに樹木と言うべきだとは思うのですが、 それにしては幹は緑で柔らかそうだし、第一全然枝分かれもせずに真っ直ぐ立っている。 しかも手のひら状に深い切れ込んだ大きな葉が幹の上の方だけについています。 こんな樹木なんて他にみたことがありません。系統的にはウリ科やトケイソウ科に類縁があるとされています。

パパイアの雌花(石垣市宮良 2000.1.2.)石垣市宮良小学校(2000.1.2) パパイアは南アメリカ原産の果樹で、スペイン人が中南米のインディオを征服した頃発見され、 その後、世界中の熱帯・亜熱帯に広がりました。大阪ではもちろん温室の中でないと育ちませんが、 沖縄や奄美大島では野外で育ち、多くの家庭で庭に栽培しています。高さは大きいもので7~10m、 幹も20~30cmくらいになります。基本的には雌雄異株で、雌木の葉の付け根に雌花が次々と咲き、 楕円形の果実ができます。ですから、一見幹にたくさんの果実が直接くっついているように見えます(写真左:石垣市宮良小学校校庭のパパイア、写真右:パパイアの雌花。いずれも2000.1.2)

果実の大きさは木によってまちまちで、小さいものでは7~8cm、大きいものでは30cm位になります。 若いうちは鮮やかな緑色をしていますが、熟してくると黄色~橙黄色に色付いてきます。 果肉は黄色~ピンクがかった柿色などいろいろあり、味もいろいろあるようです。 東南アジアの熱帯へは3回ほど行きましたが、朝食の後パパイアの大きな切り身を注文して食べるのがとても楽しみでした。

パパイアの幹や若い果実を傷付けると真っ白な乳液がでてきます。 これには蛋白質を分解するパパインという酵素が含まれており、肉の軟化剤や皮革の柔皮剤、 ビールの製造過程での蛋白質の清澄剤など幅広く用いられています。 一本の木から年間500gのパパインが採れ、スリランカが世界最大の産出国とされています。 また、種子からはカルパインというアルカロイドがとれ、ジギタリスに似た薬効があります。