ノウゼンカズラは凌霄(のうしょう、のしょう)、凌霄花(りょうしょうか)などともよばれる
中国原産のつる性の落葉樹で、幹から気根をだして他の木やブロック塀にくっついたり、巻きついたり
しながら長くくのびていきます。葉は対生する奇数羽状複葉で、小葉は3~4対あり、そのつけねの
ところは関節のようにすこし膨れています。7月初めごろから枝先に円錐花序をつくり、花の直径、
長さとも数cmの大きな朱橙色の花をたくさんつけます。花はラッパ型で、花冠は5裂して多少唇型
をしています。花は次々咲きますので木全体としてはかなり長期間花を付けているように見えますが、
一つ一つの花の寿命はそれ程長くないようで、塀を乗り出してのびた枝からこぼれた花が地面に点々と
落ちた様子はなかなか風情があって、多くの俳句や短歌がよまれています。
- 塵取に凌霄の花と塵すこし 素 十
風にゆらぐ凌霄花ゆらゆらと花ちる門に庭鳥あそぶ 佐佐木信綱
ところで、ノウゼンカズラ属には、園芸用の雑種を除くともう1種、アメリカ原産のアメリカノウゼンカズラ
(C. radicans (右写真:大阪市立大学理学部付属植物園 1999.8.14))
があります。こちらもつる性の木本植物ですが、ノウゼンカズラは花冠が大きく開きやや唇型をしていますが、
アメリカノウゼンカズラのほうは花冠の開きはもっと小さく、どちらかと言えば細長い筒状の花という感じです。
そのため、花の色はもっと赤いものの、花木としての華やかさはノウゼンカズラに及ばないような気がします。
ノウゼンカズラの花は、凌霄花として成分、薬理ともに不明のまま利尿、通経などの漢方薬として使われます。 また、根、茎、葉も痛風やリュウマチ性関節痛に用いられるそうです。それに多少関係するのか、 脳を損なうから花に鼻をあてて匂いをかいではならないとか、花についた露が目にはいると失明する などといい伝えられています。