ニオイシュロラン  Cordyline australis

ニオイシュロラン(大阪府立大学:2000.11.20)

ニオイシュロラン (大阪府立大学:2000.11.20)

リュウゼツラン科* センネンボク属 【*APGⅢ:キジカクシ(クサスギカズラ)科】

Cordyline:棍棒(大きい多肉質の根茎をさす)australis:南半球の

ニオイシュロランの果枝(大阪府立大学:2000.11.20) ニオイシュロランは個人庭園や校庭、建物まわりなどによく植えられている単子葉植物の樹木で、 原産地のニュージーランドでは高さ20mにも達するそうです。 しかし、日本ではせいぜい太さ約10cm、高さ7~8m程度ではないでしょうか。 根元や幹の途中で枝分かれした茎や枝は直立し、その先端に幅5~6cm、長さ数10cm~1mほどの細長い葉を四方に出します。 また、5月頃、葉の間からたくさんの白い花をつけた大きな複円錐花序を出し、 人の目を引きつけます(右写真:ニオイシュロランの果枝(大阪府立大学:2000.11.20))

この木は、私たちがふつう山で見かける木とはまったく違った形をしていて、 非常にエキゾチックな印象を受けますが、その最大の原因は、シュロとソテツをのぞき、 私たちのまわりにこのように茎の先端から放射状に葉を出すロゼット葉をもつ植物があまりないからです。

そもそも単子葉植物というのは、被子植物の進化のかなり初期の段階に草本植物に向かって進化した植物といわれ、 ふつう、茎の形成層がないか、あってもその働きが活発ではありません。 それゆえ、タケやシュロのように幹が一度ある太さにまでなってしまうと、 それ以上太っていかないのが原則です。ただ、ニオイシュロランやユッカ、ドラセナなどのリュウゼツラン科の仲間やある種のヤシの仲間には、 進化の途中で一度失った形成層の働きを取り戻したものがあり、これらは幹が肥大成長するという意味ではかなり例外的な単子葉植物といえます。 ただし、形成層のでき方がふつうの裸子植物や双子葉植物の木とは違い、またその働きが弱いので、むやみに太くなることはありません。

日本では、この木はもっぱら観賞用に植えられていますが、葉からは強い繊維がとれますし、 また、果糖を含むシロップがとれるそうです。

ニオイシュロランは、園芸的にドラセナと呼ばれることが多いのですが、 本当のドラセナ(リュウケツジュ)属植物ではないので注意が必要です。