大阪の近くの、いわゆる雑木林を歩いていて、お互いよく似ているため慣れるまでは区別がつけにくくて困ってしまう木が3つあります。
クリ、クヌギ、アベマキです。3つともほぼ同じ幅(はば)か、途中でややくびれたような形の細長い葉で、
中肋(葉の真ん中の太い葉脈)から葉の縁に向かって真っ直ぐに側脈が延び、
鋸歯(きょし)に終わっています。これらの種はいずれもブナ科に入っていますが、
クヌギとアベマキはコナラ属、クリはクリ属に属します(右写真:クヌギの種子と殻斗(大阪府立大学 1999.10.8))。
この3種の区別は、クリ(Castanea crenata)では果実全体がトゲトゲのイガに覆われているのに対し、 他の2種では外へそりかえったやや長い鱗片からなる総苞(いわゆるボウシ)がドングリの下の方を包んでいますので、 秋の始めになって実がなればクリかどうかは簡単に区別出来ます。
しかし、クヌギとアベマキ(Qurcus variabilis)の区別や、春から夏にかけての時期や、 冬の落葉期にこの3種を区別するには、葉や幹の特徴を手掛かりにしなければなりません。 それには下のような点が手掛かりになります。
しかし、葉が展開した直後ではクヌギの葉も毛でおおわれていて、アベマキとの区別に自信の持てない時があります。 指で葉をこすり、毛が簡単に取れるかどうかを見ればよいでしょう。
【幹の特徴】
・やや平滑な灰色~黒灰色の樹肌で縦に深い割れ目がある・・・・・・ クリ
・やや不ぞろいに縦に割れた網目模様のコルク質の樹肌で、色は灰褐色
コルク質の発達がやや悪い・・・・ クヌギ
コルク質の発達が良い・・・・・・・・ アベマキ
【葉の特徴】
・鋸歯の先端まで緑色である・・・・ クリ
・鋸歯の先端は緑色でなく、黄白色のトゲのようになっている
葉が成熟すると葉の裏に毛が残らず緑色となる・・・・・・ クヌギ
葉が成熟しても葉の裏の毛が残り、緑白色となる・・・・・ アベマキ