コナラ  Querucus serrata

コナラ(池田市五月山公園:2010.12.1)

コナラ (池田市五月山公園:2010.12.1)

ブナ科* (コナラ亜科) コナラ属(コナラ亜属) 【*APGⅢ:ブナ科】

Quercus: 良い材木 serrata: 鋸歯(きょし)のある

コナラはブナ科に属する落葉広葉樹で、大阪近辺の雑木林を代表する重要な樹木ですから、是非知っておいていただきたい木の一つです。スギやヒノキの植林地以外の林であれば必ずと言っていいほど出現する、ごくごく普通の樹木です。大きな木では、直径数十センチ、高さ15メ-トル程にも達しますが、昔は、炭を焼いたり薪(たきぎ)にしたりするため、20~30年周期で伐採されて来ましたので、大阪近辺でそんな大木を見ることはあまり無いといってよいでしょう。

コナラ属はブナ科の中でも種類の多い、大きなグル-プですが、実はアラカシやシラカシなどの、いわゆるカシの仲間もコナラ属に入っています。

この仲間は、大きく言って、落葉性のコナラの仲間(コナラ亜属)と常緑性のカシの仲間(アカガシ亜属)に分けられますが、この両者は、じつは、果実(ドングリ)のつけねを包む総苞(穀斗(かくと)ともいう)の鱗片が瓦を並べたようになっている(覆瓦状にならぶ:コナラ亜属)か、鱗片が合着して同心状の輪になっている(アカガシ亜属)かで区別されているものです。ただし、生け垣などによく使われるウバメガシは常緑性ですが、アカガシ亜属ではなくコナラ亜属に分類されていますが、これは穀斗の鱗片の状態が覆瓦状であることによって分類されたものです。

ミズナラ:大台ヶ原山(2001.6.10) コナラとよく似た木にミズナラがあります。葉の形による両者の区別は、葉柄の有無、鋸歯(きょし)の形などで行いますが、判別が大変むつかしい場合もあります(写真左:コナラ(神戸市立森林植物園 2007.10.7)、写真右:ミズナラ(金剛山 2001.6.10))。また、コナラは低山性、ミズナラは亜高山性というふうに成育地をすみわけていますので、特に大阪平野のように夏の暑いところでは、自然にミズナラが生えることは少なく、ミズナラが出現するのは大体、標高 1000mをこえるところに限られるようです。ただし、コナラはかなり高いところでも成育し、両者の分布はかなりオ-バ-ラップしていますので、標高だけを手がかりに区別する事はできません。